まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

穢土荘厳の塔

2007-03-09 | 北米映画 00~07
 最近、ますます忘れっぽくなってる私。
 アクセサリーのつけ忘れ。携帯の置き忘れ。録画セットし忘れ。薬の飲み忘れ。入浴中、あれ?体、洗ったっけ?とか、犬、もう散歩に行ったっけ?と、ほんとに思い出せない。ボケた婆さまが、私まだご飯食べてない!と一日中リピートしてるのを、嗤えません...
 こう度重なると、単なるモノ忘れの域を越えてるのでは、と不安...だけど、忘れっぽいくせに、私の頭の中の消しゴムのカスのような、どうでもいい&イヤな記憶は、いつまでも忘れられないまま。都合の悪いことを忘れられる、都合の良い記憶喪失になら、喜んでなりたいんだけどなあ。

 「バベル」
 カンヌ映画祭やアカデミー賞で旋風を起こし、世界中の映画ファンの間でも、話題沸騰&賛否両論となっている作品。
 モロッコ、メキシコ、日本。遠く隔たった場所で起こる事件と、それに関わる人間模様。まったく関係がないように見える三つの世界を繋げているものとは...
 同じアレハンドロ・ゴンザレス・イニ、ニ、ニャ(ガブっ痛っ舌かんだ~!)イニャリトゥ(名前、難しすぎて、いまだに覚えられない&言えない~!)監督の「アモーレス・ペロス」「21グラム」も、人間関係と時間が錯綜する展開と演出でした。TVドラマの「24」みたいに、同時進行する複数の場面を、コマ割り同画面で見せてくれるような、解かりやすさや親切さはないので、脈略もなく突然、まったく違う世界に飛ぶ展開や、ちょっと入り組んだ時間差に、??!?になる。慣れてくると、パズルが合い始めたかのような面白さになるのだけど。
 モロッコもメキシコも日本も、まったくの別世界だけど、人間の本質は同じ。渦巻く愛憎、敵意、エゴ、不平等、不条理、怒りと悲しみ、絶望と失意、そして希望と理解...厳しい状況下に置かれた登場人物たちが、ゆくりなくも取ってしまう言動が、イタくて悲しい。人間愚は、ほんとボーダレスです。
 なにげない善意(モロッコ人のハンターに、ライフルをあげる日本人)や、悪意のない過ち(誤射、飲酒運転)が、人の運命を大きく狂わせるのだ、と怖くなります。そんな愚かさを人間は日々、バベルの塔を建てるように積み重ねていく...
 イニャリトゥ監督の才能ゆえか、作品ごとにキャストが豪華になっているような。
 モロッコで災難に遭うアメリカ人夫婦を、ブラッド・ピット&ケイト・ブランシェットが。
 ブラピは、なかなかの熱演。憤怒や悲痛さが伝わってきて、観てるほうも息が詰まりそうに。同じ立場だったら...と想像すると、ほんとゾっとする。モロッコ、絶対行きたくない...
 この映画が日本で、映画ファン以外でも知られる存在になったのは、言うまでもなく、オスカー候補になった菊池凛子のおかげ。でも...はっきり言って、この映画の彼女、めちゃくちゃ気持ち悪いです!
 菊池凛子の役は、聾唖の日本人女子高生。他人とうまく意思疎通できない、というより、自分が聾唖者だと知ると男が引いてしまうことに、欲求不満。ウサ晴らしに、ノーパンで男を挑発したり。クスリと酒でハイになったり。あげくは、若い刑事の前に全裸で現れたり。キモい&怖い~!
 いつもイライラor虚ろな表情も、すごく異様。私には、異常な色狂い娘にしか見えなかった。あのキャラって、聾唖の女性を侮辱してるような...黒々としたヘア、痛々しい全裸姿も不気味な菊池凛子。確かに強烈ではあります...
 って、ワタシ的には、リン子=どーでもヨシ子さん。私の目当ては、言うまでもなく、ガエル・ガルシア・ベルナル
          
 きゃガエル、ちょっと胡散臭いけど、やっぱカッコカワイいなあ。何となく優しい感じの英語と違って、攻撃的で男っぽくなる母国語スペイン語が、チャーミング。小さな役だけど、やっぱ彼ってスターだよなあ、と再認識させるオーラです。でもサンティアゴ(ガエルの役)、ほんとバカ野郎なんです。警察に捕まりそうになりパニック、おばさんと小さい子供を車から砂漠に放り出して、ひとりでトンズラ!ひどい!
 と、飲酒運転ガエルも、モロッコのライフル少年も、バカなせいでトンでもない事態を招いてしまうんだけど...マイノリティ的な彼らがそうなってしまった遠因は、アメリカと日本にある...という描き方が、ちょっと引っかかります。豊かさの中、倦怠的で虚無的な日本の青少年たちの姿といい、世界を力と金で支配するアメリカと日本への、遠まわしで痛烈なメッセージなのでしょうか。悲惨な目に遭うアメリカ人や、グロテスクな日本人から、虐げられてる者の恨み節が聞こえてきそうです。
          
         ↑ ガエル&まちゃまちゃ?
 
 
 
コメント (2)
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