昨日の続きです。
リチャードの元を突然ミスター・ピアソルが訪ねてきます。彼は被験者の一人でしたが、親戚の葬式があると言って、プロジェクトへの参加が延期されていたのでした。
(ジョアンナは星星の光の中にいます。そしてメイジーかリチャードが聞いてくれるようにと「SOS」を念じるのでした。)
プロジェクトが中止されていることをピアソルに知らせ、彼が帰ると、今度はミス・タナカが現れ、授業が忙しかったというのは口実で、NDE中に実習の期末試験を受ける現場に行き、怖い思いをしたことがプロジェクトを離れた真の原因だと告白します。リチャードはカールがNDE中にタイタニックにいなかったこと、メイジーもNDE中に船の中にいなかったことを確かめ、自分がNDE中にいたのも実在した汽船会社ではなかったことを調べ、それぞれに共通するのが「メッセージを送る」ということであることに気付きます。NDEは脳が体をジャンプスタートさせようとする最後の努力、救急チームの身体バージョン、体のサバイバル・システムだということが分かるのでした。エンドルフィンで苦痛と恐怖を遮断し、アドレナリンで信号の強さを上げ、アセチルコリンで通り道と接合部を開く。しかしアセチルコリンの副作用で、大脳皮質の連想能力も高まり、押し寄せてくる感覚と視覚と感情を理解しようとする長期記憶が、それをトンネルや天使やタイタニックに変える。メタファーにつくりかえて、それを人々が現実と誤解する。しかし現実は、肉体をジャンプスタートさせられる神経伝達物質を活性化させるために海馬へと信号を送り出す複雑なシステムなのだと。
(ジョアンナのいる暗闇は長い時間を経て、少し薄らいだように感じましたが、やがて空は赤くなり、血の色、災害の赤となっていきました。)
メイジーは心臓移植を待っていましたが、突然NDE状態に陥ります。彼女は多くの被害者を出したサーカス火災の現場に向かい、バニックに陥っている人々と火が襲ってくる中にいる自分を見い出しますが、リチャードがアセチルコリンを投与している声も聞きます。彼女は実際にその火災の時に人々を救出したピエロ、エメット・ケリーにサーカスのテントから助け出されます。
メイジーは蘇生に間一髪で成功した2日後、心臓移植を受け、手術は成功します。一方、マンドレイクの新刊は来月に出版の予定でしたが、彼が主な情報源としてきたミセス・ダヴェンポートが、自分の本『彼方からの便り』を同じく来月に出版し、その本の中で彼女がミスター・マンドレイクの本の内容は全部でっちあげだと非難し、「見た覚えもないことを彼が無理矢理思い出させようとした、しかも自分の話を全然間違って解釈した、光の天使なんかいないし人生回顧もない、黄金の霊気があるだけで、それが自分にサイキック能力を授けてくれた、おかげでフーディニやアメリア・エアハートとコンタクトした」と主張し、その本の前払金の額はマンドレイクの新刊よりまだ上で、マンドレイクは怒り狂っているらしいとのことをリチャードたちは知ります。メイジーはNDEの時、助けてくれたのは本物のエメット・ケリーではなく、ジョアンナだったのだと言います。
(ジョアンナは助けた少女ともに暗い水の上にいます。やがてミスター・ウォジャコフスキーの話によく出てきた空母ヨークタウンが進んできます。ジョアンナは「どんな船もいつかは沈むのよ」と言いますが、「でも、きょうはちがう。きょうだけは」と続けるのでした。
下巻も2段組で400ページ超でしたが、一気に読めました。特にタイタニックとともにジョアンナの全人生が落ちかかってくる場面の描写は圧倒的で、メイジーのキャラクターも魅力的だったと思います。スティーヴン・キングらと肩を並べる、現代のアメリカの優れたストーリーテラーだと思いました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
リチャードの元を突然ミスター・ピアソルが訪ねてきます。彼は被験者の一人でしたが、親戚の葬式があると言って、プロジェクトへの参加が延期されていたのでした。
(ジョアンナは星星の光の中にいます。そしてメイジーかリチャードが聞いてくれるようにと「SOS」を念じるのでした。)
プロジェクトが中止されていることをピアソルに知らせ、彼が帰ると、今度はミス・タナカが現れ、授業が忙しかったというのは口実で、NDE中に実習の期末試験を受ける現場に行き、怖い思いをしたことがプロジェクトを離れた真の原因だと告白します。リチャードはカールがNDE中にタイタニックにいなかったこと、メイジーもNDE中に船の中にいなかったことを確かめ、自分がNDE中にいたのも実在した汽船会社ではなかったことを調べ、それぞれに共通するのが「メッセージを送る」ということであることに気付きます。NDEは脳が体をジャンプスタートさせようとする最後の努力、救急チームの身体バージョン、体のサバイバル・システムだということが分かるのでした。エンドルフィンで苦痛と恐怖を遮断し、アドレナリンで信号の強さを上げ、アセチルコリンで通り道と接合部を開く。しかしアセチルコリンの副作用で、大脳皮質の連想能力も高まり、押し寄せてくる感覚と視覚と感情を理解しようとする長期記憶が、それをトンネルや天使やタイタニックに変える。メタファーにつくりかえて、それを人々が現実と誤解する。しかし現実は、肉体をジャンプスタートさせられる神経伝達物質を活性化させるために海馬へと信号を送り出す複雑なシステムなのだと。
(ジョアンナのいる暗闇は長い時間を経て、少し薄らいだように感じましたが、やがて空は赤くなり、血の色、災害の赤となっていきました。)
メイジーは心臓移植を待っていましたが、突然NDE状態に陥ります。彼女は多くの被害者を出したサーカス火災の現場に向かい、バニックに陥っている人々と火が襲ってくる中にいる自分を見い出しますが、リチャードがアセチルコリンを投与している声も聞きます。彼女は実際にその火災の時に人々を救出したピエロ、エメット・ケリーにサーカスのテントから助け出されます。
メイジーは蘇生に間一髪で成功した2日後、心臓移植を受け、手術は成功します。一方、マンドレイクの新刊は来月に出版の予定でしたが、彼が主な情報源としてきたミセス・ダヴェンポートが、自分の本『彼方からの便り』を同じく来月に出版し、その本の中で彼女がミスター・マンドレイクの本の内容は全部でっちあげだと非難し、「見た覚えもないことを彼が無理矢理思い出させようとした、しかも自分の話を全然間違って解釈した、光の天使なんかいないし人生回顧もない、黄金の霊気があるだけで、それが自分にサイキック能力を授けてくれた、おかげでフーディニやアメリア・エアハートとコンタクトした」と主張し、その本の前払金の額はマンドレイクの新刊よりまだ上で、マンドレイクは怒り狂っているらしいとのことをリチャードたちは知ります。メイジーはNDEの時、助けてくれたのは本物のエメット・ケリーではなく、ジョアンナだったのだと言います。
(ジョアンナは助けた少女ともに暗い水の上にいます。やがてミスター・ウォジャコフスキーの話によく出てきた空母ヨークタウンが進んできます。ジョアンナは「どんな船もいつかは沈むのよ」と言いますが、「でも、きょうはちがう。きょうだけは」と続けるのでした。
下巻も2段組で400ページ超でしたが、一気に読めました。特にタイタニックとともにジョアンナの全人生が落ちかかってくる場面の描写は圧倒的で、メイジーのキャラクターも魅力的だったと思います。スティーヴン・キングらと肩を並べる、現代のアメリカの優れたストーリーテラーだと思いました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)