岡野宏文さんと豊崎由美さんの共著『読まずに小説書けますか』で紹介されていた、京極夏彦さんの'04年作品『魍魎の匣』を読みました。
クラスで孤立している楠本頼子は、孤高のクラスメイト・柚木加菜子と親しくしてもらい、加菜子からお互いがお互いの生まれ変わりだと言われます。二人は湖に行くことにしますが、加菜子が駅のホームから転落して大ケガをし、そこにたまたま居合わせた警視庁殺人課の木場は、加菜子の保護者であるという雨宮という男と、加菜子の姉だという陽子と出会います。陽子は突然引退した元映画女優で、木場がファンであった美波絹子その人でした。
「列車の中で知り合った男の持っていた、あの匣が欲しい。胴体と匣の密着度が完璧な、あの匣が」と書く文章。
一方、峠の道で右腕が発見され、相模湖で金属の箱に入った両足が発見されるというバラバラ殺人事件が発生します。駆け出しの作家・関口は文芸雑誌の編集部で幻想文学の作家・久保竣公を紹介されますが、彼は夏であるにもかかわらず白い手袋をしていて、指の何本かを欠損しているようでした。その後、関口が別名で記事を書いていたカストリ雑誌『月刊実録犯罪』の編集者・鳥口が訪ねてきて、バラバラ事件の陣頭指揮を採る木場が関口の知人であることから、その事件の取材を関口に依頼してきます。二人は相模湖めざして車で出発しますが、途中で今三鷹で評判の、不幸を呼ぶ魍魎を箱に封じ込めるという「御筥様」の噂話をします。現場に着くと、木場はいず、彼は最近管轄違いの事件に勝手に首を突っ込んでいると聞きました。二人は夜の帰り道に迷い、森の行き止まりの道を行くと、そこには加菜子が陽子らによって担ぎこまれ、窓もなく、動力音が絶えずしている立方体の建物「美馬坂近代医学研究所」があり、木場が警備しているのでした。
「あの娘を捜すとしよう。何としても」と書く文章。
加菜子の事件以来、頼子は御筥様の信者である母に魍魎呼ばわりされて、家に幽閉されていました。ある日、訪ねてきた御筥様は家の魍魎を箱に封じ込めて帰っていきますが、頼子は加菜子が黒い服を着て白い手袋をはめた男に押されてホームから落ちたことを思い出し、交番に届け出ます。当夜現場にいた警官・福本は、包帯でぐるぐる巻にされた加菜子が研究所に運び込まれた様子を思い出し、加奈子がまだ生きていて警察に厳重に保護されていることを頼子に告げ、加菜子に会わせてあげると言います。研究所に到着した福本は警備している警官の多さに驚き、加菜子を誘拐するという脅迫状が届いたこと、加菜子がさる財界の大物の直系だったことを知ります。木場に頼んで頼子や陽子とともに加菜子の集中治療室に来た福本でしたが、そこには加菜子の体にチューブでつながれた多くの箱が置いてあり、やがて研究所長である美馬坂が現れると、その目の前で加菜子の姿は忽然と消え失せ、頼子は「私の未来は救われた」と思うのでした。
「あの娘が必要だ。祖母の墓を掘り、死骸をバラバラにして箱にすきまなく詰めていく。あの匣の娘もこのように創られたに違いない。先ずは匣を用意しなくては」という文章。(明日へ続きます‥‥)
クラスで孤立している楠本頼子は、孤高のクラスメイト・柚木加菜子と親しくしてもらい、加菜子からお互いがお互いの生まれ変わりだと言われます。二人は湖に行くことにしますが、加菜子が駅のホームから転落して大ケガをし、そこにたまたま居合わせた警視庁殺人課の木場は、加菜子の保護者であるという雨宮という男と、加菜子の姉だという陽子と出会います。陽子は突然引退した元映画女優で、木場がファンであった美波絹子その人でした。
「列車の中で知り合った男の持っていた、あの匣が欲しい。胴体と匣の密着度が完璧な、あの匣が」と書く文章。
一方、峠の道で右腕が発見され、相模湖で金属の箱に入った両足が発見されるというバラバラ殺人事件が発生します。駆け出しの作家・関口は文芸雑誌の編集部で幻想文学の作家・久保竣公を紹介されますが、彼は夏であるにもかかわらず白い手袋をしていて、指の何本かを欠損しているようでした。その後、関口が別名で記事を書いていたカストリ雑誌『月刊実録犯罪』の編集者・鳥口が訪ねてきて、バラバラ事件の陣頭指揮を採る木場が関口の知人であることから、その事件の取材を関口に依頼してきます。二人は相模湖めざして車で出発しますが、途中で今三鷹で評判の、不幸を呼ぶ魍魎を箱に封じ込めるという「御筥様」の噂話をします。現場に着くと、木場はいず、彼は最近管轄違いの事件に勝手に首を突っ込んでいると聞きました。二人は夜の帰り道に迷い、森の行き止まりの道を行くと、そこには加菜子が陽子らによって担ぎこまれ、窓もなく、動力音が絶えずしている立方体の建物「美馬坂近代医学研究所」があり、木場が警備しているのでした。
「あの娘を捜すとしよう。何としても」と書く文章。
加菜子の事件以来、頼子は御筥様の信者である母に魍魎呼ばわりされて、家に幽閉されていました。ある日、訪ねてきた御筥様は家の魍魎を箱に封じ込めて帰っていきますが、頼子は加菜子が黒い服を着て白い手袋をはめた男に押されてホームから落ちたことを思い出し、交番に届け出ます。当夜現場にいた警官・福本は、包帯でぐるぐる巻にされた加菜子が研究所に運び込まれた様子を思い出し、加奈子がまだ生きていて警察に厳重に保護されていることを頼子に告げ、加菜子に会わせてあげると言います。研究所に到着した福本は警備している警官の多さに驚き、加菜子を誘拐するという脅迫状が届いたこと、加菜子がさる財界の大物の直系だったことを知ります。木場に頼んで頼子や陽子とともに加菜子の集中治療室に来た福本でしたが、そこには加菜子の体にチューブでつながれた多くの箱が置いてあり、やがて研究所長である美馬坂が現れると、その目の前で加菜子の姿は忽然と消え失せ、頼子は「私の未来は救われた」と思うのでした。
「あの娘が必要だ。祖母の墓を掘り、死骸をバラバラにして箱にすきまなく詰めていく。あの匣の娘もこのように創られたに違いない。先ずは匣を用意しなくては」という文章。(明日へ続きます‥‥)