gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

京極夏彦『魍魎の匣』その3

2012-04-19 13:13:00 | ノンジャンル
 またまた昨日の続きです。
 一方、関口や京極堂の知人であり、父が元華族の財産家で、相手の心が読めてしまうという才能を持つ探偵・榎木津は、父の紹介で、財界の大物・柴田耀弘氏の代理人である弁護士・増岡から加菜子の消息を調べてほしいと依頼されます。その弁護士は、加菜子は実は陽子の娘で、耀弘の一人息子・弘明氏が女優時代の陽子と駆け落ちし、その後弘明氏が戦死したため、弘明氏と陽子との間に生まれた加菜子が耀弘氏の唯一の血縁者であること、陽子は女優になる前は難病の母の面倒を一人で見ていたこと、陽子は弘明氏と別れさせられた後も、耀弘氏が援助を申し出たにもかかわらず、加菜子の養育費、母の医療費だけしかもらわず、彼女の生活の監視として耀弘氏側から派遣されていたのが雨宮だったこと、先日耀弘氏が脳溢血で倒れると耀弘氏は全財産を加菜子に譲ると言い出したこと、一方陽子は相続の放棄を申し出たのですが、それには加菜子本人の同意も必要なこと、そして一昨日耀弘氏は亡くなってしまったことなどを述べ、加菜子の誘拐事件についての警察の資料を渡すのでした。
 京極堂のもとに榎木津と鳥口、関口が集まっています。鳥口は、、御筥様の家には「寺田兵衛/正江/忠」という表札が出ていて、兵衛の父は戦後、人形を入れる箱を一手に製作する仕事を始め、息子の兵衛は結局それを継ぎ、やがて金属の箱作りを始めると箱作りに取り憑かれてしまい、戦争で中断した後も箱作りに精を出し、復員して5年後に隣の風呂屋で発見された箱の中身を見た時から様子がおかしくなったこと、兵衛の妻・忠は霊能があったらしく、ある日それを研究している博士が忠の元を訪れたのですが、兵衛に追い返され、その博士が置いていったものが、その箱の中身で、中には壺が入っていて、霊視のために「魍魎」と書かれた紙が中に入っていたこと、最初のうちは信者は少なく細々とやっていたのですが、ある時から大規模の改装工事が行われ、それ以来急に信者が多くなったことを皆に話します。それを聞いた京極堂は御筥様への最初の相談者の名前を調べるよう鳥口に言った後、鳥口が録音した御筥様の祝詞を聞くと、兵衛が伊勢と北九州の築上につながりがないか問い、御筥様の背後には陰で意図を引く第三者がいることを教え、兵衛の華族のことも調べるよう、鳥口に言い、関口には清野の名簿を調べて、次に犠牲者が出そうな家庭に調査をしに行くように言うのでした。私・関口は名簿に頼子の母の名前があることを発見し、それに京極堂が驚いていると、木場が姿を現します。
 「お母さん、愚かな娘を許してください。もう後戻りはできません。私はあの男性のところへ行きます」との詫状。
 木場が現れると、京極堂は他の者に一旦引き上げるように言い、私・関口と榎木津は頼子の家を訪ねることにしました。榎木津は木場が陽子に惚れているので、京極堂が私たちに席を外せと言ったと言います。そして頼子の家に向かう途中で、私は京極堂の家に名簿とともに久保竣公の原稿も置いてきてしまったことに気付きます。頼子の家が留守だったので一旦喫茶店に入った私らは、そこで久保の姿を見つけ、榎木津は彼が加菜子のことを知っていると見抜き、彼女の写真を渡して捜索に協力するよう頼みます。頼子の家に戻ると家を締め出された頼子がいましたが、人に会うのでと言ってすぐに姿を消し、家の中に入ると頼子の母が今にも首吊りをしようとしていました。榎木津は母から不幸な身の上話を聞いた後、頼子の命が危ないことを母に告げると、母は娘のことを急に心配し始めます。(またまた明日へ続きます‥‥)

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/