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アレクセイ・ゲルマン監督『戦争のない20日間』

2012-04-22 07:25:00 | ノンジャンル
 アレクセイ・ゲルマン監督の'76年作品『戦争のない20日間』をDVDで見ました。
 上陸し野営地で休暇のことを話す少佐たち。敵機の空襲があり、その後穴から這い出す兵士たち。黒々と走る汽車をバックにタイトル。
 列車内の通路で空中戦の自慢話をする若者。ある男は除隊した教師と妻が浮気をし、休暇で帰ると警察署長から事件は起こさないでくれと言われ、教師の母に息子を殺しに来たと村中に言いふらされたという男は、自分からの手紙が来てからは教師と別れたという妻宛に、作家である少佐に妻が感動するような手紙を書いてくれと頼みます。悲し気な歌を歌う男たち。
 少佐が日中の満員の客車から降りると、知人が迎えに来てくれていて、少佐の前の妻が疎開先の劇場のディレクターと再婚したこと、そして彼女の現在の住所も教えてくれます。戦死した友人の遺品をその妻に届け、取り乱した妻から早く帰ってくれと言われる少佐。前の妻の元を訪ねると、今の夫と幸せに暮らしているという彼女に、少佐も何も恨んでないと言います。その一家の夕食に招かれ、戦場の話を聞かれる少佐。二人きりになると元妻は机に向かってばかりいたあなたのせいで別れることになったと言います。
 雪の町。劇場の衣装部で働く女性が話しかけてきて、6才の息子がいて、夫は戦前に出ていったと言います。彼女の私用に付き合い、タバコ談義をする二人。画面がワイプした後、道端で音楽に合わせてダンスする子供たち。市街電車に乗り、もうすぐ訪れる元旦の過ごし方を聞く女性。彼女は自分の家を教え、電車を降りると、4ヶ月も前線の夫から手紙がないという女性が現れ、少佐は極秘作戦に参加しているのだろうと彼女を慰めます。
 大晦日のダンスパーティ会場。そこで出会った知人は、軍の新聞記者として開戦2日目に前線に行き、ミンスクの戦いで腐肉の中から這い出たのに、懲罰委員会にかけられたと嘆きます。
 劇場での映画の撮影で、女性兵士のヒロインの扱いが事実と違い過ぎるとディレクターに指摘する少佐。仲間とガレキの上に寝ていると、仲間からカメラを渡され、記念写真を撮ろうとして、空爆に会う少佐。孤児を連れて来た老女は、味方に合流するまでの不安を語ります。
 武器工場で意気向上のために行われた講演会で演説する少佐。明日前線に帰ることになった少佐は、衣装部の女性の家に行くと、彼女の部屋の時計が音を刻む中、彼女とキスし、夜を過ごします。
 翌朝目覚めると彼女はアイロンをかけていて、父の後妻を憎んでいたが、今では恥ずかしく思っているという話をし、また彼女にせがまれて彼女を抱くと、外に雨が降る中食事をし、用事のある彼女とそこで別れることになりますが、彼女は風邪をひかないでというのが精一杯で、言いたかったことが思い出せないと言い、別れのキスをします。
 楽隊が演奏する中、前線への汽車に乗り込むと、大勢の見送りの中、汽車は出発します。軍の新聞記者をしていたという少佐の知人もモスクワ宛に手紙を書くと言うのでした。いつまでも汽車を追う一人の少女。
 画面は一転し、ぬかるみの中を前線へ向かって行進する部隊。少佐がトラックの荷台から降りると、大佐が負傷したと知らされ、数人とともに師団司令部へと徒歩で向かいます。途中で迫撃砲の攻撃を受けた少佐は、穴の中であと3発で攻撃がすめば自分も衣装部の彼女も運があると言い、実際攻撃は3発で終わるのでした。その攻撃で中尉は負傷しますが、無事回復し、少佐らは遥かな前線へと向かい、最後に少佐のモノローグで「ベルリンまでの道は遠い」と語られるのでした。

 黒が基調の白黒画面が水墨画のような美しさで、たまに輝く光が印象的でした。少佐の日常的なエピソードの数々が淡々と描いていたと思います。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/