gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

アレクセイ・ゲルマン監督『わが友イワン・ラプシン』

2012-04-24 05:57:00 | ノンジャンル
 アレクセイ・ゲルマン監督の'84年作品『わが友イワン・ラプシン』をDVDで見ました。
 「父から聞いた遠い昔の物語。貧しかったが、お互いに助け合って生きていた。ラプシンも父もアコーシキンも公園を通って通勤していた」のナレーション。カメラはカラーで部屋の中を写して行きます。
 「半世紀前」のナレーション。画面はモノクロになり、9才の私が父に命じられて電話をしています。私と父が住んでいた警察官舎。経理主任のジャチーエフと全権委員のトチリンが「褐色の疫病(ファシスト)」の一幕を演じます。1935年当時は大人気のコントでした。刑事課長のイワン・ラプシンはこの日に40才を迎え、皆から祝福されます。
 一瞬カラーとなり、森を通って通勤する父とラプシンとアコーシキン。薪の横流しが行われていて、アコーシキンを見た運び屋は逃げ出します。「これが殺しの発端になった」というナレーション。モノクロに戻り、市電に乗って辻馬車駅でラプシンが降りると、舞台女優のナターシャが今度娼婦役をやるので、本物の娼婦を紹介してほしいと言ってきます。ラプシンは娼婦のカーチカにナターシャを会わせますが、カーチカは途中で興奮し「自分は何も悪いことはしていない」と叫び始めます。
 2つの死体をトラックに乗せるのを指揮するラプシン。「お尋ね者のソロビヨフは3年前に逮捕され、市役所職員殺害の罪で死刑になりますが、脱獄し、ラプシンが追うことになった」というナレーション。
 薪を届け、停電となっている家で歓迎されたラプシンは、知人のハーニンから、アルダンの金鉱への旅に誘われ、今は飛行士の伝記を書いていること、妻が6日前に発作で死んだことを教えられます。ハーニンはラプシンと行動をともにすることになりますが、ラプシンの拳銃で自殺を図ります。家を締め出されたと怒るアコーシキン。ソロビヨフがつるはしで殺人を犯した現場にいた男に訊問するラプシン。ナターシャと食事をし、歌を歌うラプシン。失神していたラプシンは目覚めますが、それは国内戦で打撲傷を負い、その後遺症で年に2度ほど発作を起こした結果なのでした。
 「署員の半数がナターシャが出る劇を見に行きましたが、ナターシャは舞台から転落した」というナレーション。劇がはねた後、アコーシキンは結婚するため官舎を出ると言い出します。頭痛がすると言って家に帰ったナターシャを追って、彼女の部屋に入り込んだラプシンでしたが、彼女はハーニンが好きになったと言ったため、ラプシンは部屋を後にします。
 アコーシキンが官舎を出て行き、「ラプシンは冬の間中ソロビヨフを追跡した」というナレーション。ある日通報があり、記者を連れて現場に到着したラプシンは、ソロビヨフのアジトを急襲しますが、それは罠で、見張りについていたハーニンが撃たれます。ハーニンをトラックで病院に運んだ後、別の場所に潜んでいたソロビヨフを射殺するラプシンと、泣き叫ぶ女。
 回復したハーニンはモスクワの新聞社で働くために船に乗り、ナターシャも後を追うことになります。結婚に失敗したアコーシキンが戻ってくると、ラプシンは上級研修を受けることを決意し、楽隊を乗せた電車が進んでいきます。
 カラー画面になり、半分凍った川が写され、「町は広がっていった」というナレーションとともに映画は終わります。

 ラプシンの日常が淡々と描かれ、物悲しい行進曲が印象的で、コントラストのきいた白黒画面も美しい映画だったと思います。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/