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高橋洋『映画の魔』その6

2016-11-12 05:42:00 | ノンジャンル
 昨日、法務省が、熊本県で女性を2人殺害した田尻賢一死刑囚(45)の死刑を執行したと公表しました。死刑の執行は3月以来で、第二次安倍政権では17人目。裁判員裁判対象事件の死刑執行は2例目となりました。一、二審判決によると、田尻死刑囚は04年に熊本県宇土市で、11年に熊本市でそれぞれ女性を殺害、現金を奪うなどして、一、二審で死刑判決を受け、上告していたが取り下げ、刑が確定していたのだそうです。死刑制度廃止を宣言したばかりの日弁連のほか、人権団体や弁護士グループなどが死刑制度存続に反対、賛成双方の立場から意見を表明しました。2020年までに死刑制度廃止を目指すとする宣言を10月7日に採択した日弁連は、中本和洋会長による抗議声明を発表。死刑は冤罪の危険性が避けられず、死刑廃止は国際社会の潮流だ、などと指摘した上で「今回の執行に対し強く抗議するとともに、改めて死刑制度の廃止を目指すべきだ」と答えたとのこと。弁護士や人権活動家らでつくる「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90」は「日弁連の宣言に対し死刑制度を堅持するという回答だ」と非難。アムネスティ・インターナショナル日本の若林秀樹事務局長は「日弁連の宣言という大きな前進があり、これから議論が巻き起ころうとしている中、政府が真っ向から反対の姿勢を示した形だ」と主張。一方、日弁連の宣言は被害者の人権に配慮していないなどと批判し、死刑制度存続の必要性を訴えている弁護士団体「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」は「死刑は最高裁でも合憲とされている制度で、裁判所の慎重な審理の上で言い渡されている。法律に従い、執行されるのは当然」との声明を発表したとのこと。
 フォーラム90に参加している私はもともと死刑反対論者の一人ですが、「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」の主張にはやはり無理があると思わざるを得ません。最高裁まで行って有罪が確定した冤罪者は今まででも数知れず、死刑は残酷刑として憲法違反であるという議論がすっとばされています。とにかく残虐刑としての絞首刑と、冤罪の危険のある死刑は直ちに廃止すべきだと思います。皆さんはどう思われるでしょうか?

 さて、また昨日の続きです。
・「2001年日本映画①ピストルオペラ(鈴木清順)②レディ プラスティック(高橋玄)③恋愛ピアノ教師 月光の戯れ(常本琢招)④桶屋(西山洋一、『シネマGROUND』の一篇)⑤天国から来た男たち(三池祟史)⑥SELF AND OTHERS(佐藤真)⑦異常性欲団地妻(山田広野)⑧夜の哀しみ(岡泰叡)⑨ゾンビ極道(佐々木浩史)⑩どんてん生活(山下敦弘)」
・「さて、今年見た最も強烈な映画体験は新作にあらず、一本はアングラでの『叛軍No.4』(岩佐寿弥)、もう一本は美学校で新谷尚之氏の講義で見た狂気のピンスクリーン・アニメ、アレクサンドル・アレクセイエフの『鼻』(1963)であった」
・「2002年日本映画①Unloved(万田邦敏)②極道ジハード聖戦(横井健司)③KT(阪本順治)④新・仁義なき墓場(三池祟史)⑤害虫(塩田明彦)⑥殺し屋1(三池祟史)⑦宣戦布告(石侍露堂)⑧陰陽師 呪詛返し(白石晃士)⑨狂気の桜(薗田賢次)⑩模倣犯(森田芳光)」
・「2003年日本映画 順位、選出作品なし 今年は気になっていたのに見逃してしまった映画がやたらに多く(『ばかのハコ船』とか『亀虫』とか荒戸源次郎の新作とか)、ベストテンが選べない状況である。見た中で端的に面白いと推せるのは、白石晃士『陰陽師2 人魔調伏』一本であった」
・「本当はアメリカ映画を語るにおいても、ビデオ屋に並ぶ膨大な未公開作品群を視野に入れなければならないはずだし、たとえば『F-16』とはそうした映画の一本なのだが、私自身、それは雑多なモノとして見出したのではなく、ジョナサン・モストウの映画だから手に取ったのである(で、紛れもない傑作だった)。アメリカ映画に対しても、我が国のVシネマに対しても、量として向き合うだけの余力を私は持てずにいる。だが、それを果敢に実践している人々はいるはずなのだ」
・「だがハッキリ言えるのは、(中略)『シンドバッド七回目の冒険』は何であんなに魅入られるように面白かったんだろうということだ」
・「スペクタクルの社会とは、シチュアシオンニストとは(中略)とりあえず思い起こされるのは、ジョン・カーペンターの『ゼイ・リブ』だろうか。このトコトン通俗的なバカみたいな単純さ、から打ち出される主人公の行動の驚き。この直接性。あるいは、ダイアナの死に様とクローネンバーグの『クラッシュ』。『自動車』と『スター』と『カメラ』。20世紀の大衆社会が生みだした最もエロティックな存在の融合」
・「似たような事態は、先頃フィルムセンターで特集上映された戦前の日本アニメで、大藤信郎や大石郁雄らの諸作と、ほぼ同時期に作られた政岡憲三の名高い『くもとちゅうりっぷ』を見比べたときにも起こった。政岡憲三には明らかに今日の観客が抵抗なく受け入れるキャラクターが発生しており、こおっから戦後の東映動画にはっきり一本の道筋がひかれている」

 以上、楽しく読めた一冊でした。