大橋みつるの平和ト-ク・・世直しご一緒に!

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日本語版新聞紹介

はろう3月号より

2006-05-19 | 世界の変化はすすむ
ドイツの友人から「欧日協会」の活動の紹介と、その会報を送っていただいた。
その中に民営化の問題、「水道」に関する読み物がありましたのでご紹介します。

グローバル化
民営化の罠
 かつて公共企業であった郵便局、鉄道、水道、教育、テレコム(電信電話)、医療、エネルギー供給分野の民営化が「消費者利益のため」と銘打って世界中で進行している。

電力
2005年9月にアメリカで起きた大停電は民営化された電力事業で発生している慢性的事故連鎖の一つに過ぎない。アメリカではその他にも電気料金が絶えず値上がりし、国民総生産額に占めるサービス部門の割合が70%以上を越え、これは更に増大する傾向にある。この割合はヨーロッパでは「たった」40%に過ぎないが、国民多数の意図とは無関係に、この割合を増大することが決定されている。

鉄道
多国籍コンツェルンは国民に料金値下げを、市町村には収入増大を約束している。しかし、ヨーロッパの鉄道民営化の例に見られるように、現実はこうした約束とは逆の事態が進行している。鉄道民営化の結果、幾つかの国で鉄道料金が大幅に値下げされただけでなく、「人的ミス」または「技術的ミス」―収益性を上げるため安全性をおろそかにしている事態の迂回表現―に起因する死亡事故が増大している。
その最も極端な例が何十もの私鉄に分割された≪Britisch Railway≫で、現在ではイギリスで陸路の旅をすることは中世の危機レベルに逆戻りしている。各国での節約措置にもかかわらず、民営化した鉄道に(国有時代を上回る)補助金が投入され、ドイツでは民営化前の10倍にも上るという。
しかし、自家用車への回避が可能な鉄道と異なり、国民にとり回避する可能性のない領域へも大型コンツェルンが手を伸ばし、≪製品ライン≫の一部としている。

水道事業
誰もが必要としている水がその例である。
世界銀行がボリビアに「水道事業の民営化」を強要し、アメリカの某建築コンツェルンが1999年ボリビア政府から上水供給の認可を受けた。数週間もしないうちに水道料金が200%上昇。ボリビア第3の都市コチャバンバで反乱が起き、それが全国に波及した。数ヶ月に及ぶ激しい闘争の末、マネージャーは逃げるように国外に退出。政府は認可を取り消し、コンツェルン側は政府を相手取って、2500万ドルの損害賠償請求裁判を起こした。このコンツェルンは2003年以降、荒廃したイラクで莫大なぼろ儲けが噂されている企業だが、2年間にわたる秘密交渉の末、国際仲裁裁判所で提訴を取り下げた。

このコンツェルンが水道事業独占の認可を受けていた時期には。貧民街の住人が雨水を容器に集め、飲料、洗濯用に使うことすら禁じられていた。平均的貧困家庭の支払う水道料金は最高、月収の1/3に達した。
数年前に水道事業が民営化され、その後再び国有化に戻り、再び二つの巨大多国籍企業に売り飛ばされたジャカルタでは水道料金が絶えず上昇し、2003年4月には1立方米あたりの価格が49セントとなった(40%値上げ)。国民大多数の1日平均所得が2ドル以下の国の話である。しかも、「民営化ウォーター」の味はひどく、金のある人は瓶詰めの水を買っている始末である。こうした例には全くお構いなく、EUは2003年の「国際淡水年」にあたり、水道事業民営化を最後通牒の形で加盟国に要求している。

民営化された鉄道の破局的状態が、大きな事故を引き起こし、かなり頻繁にマスコミをにぎわしているのに反し、民営化された飲料水供給及び下水事業の状況も同様にひどいものであることはあまり知られていない。
少しでも通常を上回る降水量があると、ロンドンの下水システムが機能しなくなり、浄化されぬまま下水がテームズ川に流れ込む。こうした汚水処理されぬまま下水の水量は2004年には5740万立米に達した。ロンドンでは給水施設から家庭に水が届くまでに1/3の水が水道管の水漏れにより失われている。
オリンピック期間中に排出物や死んだ魚がテームズ川を浮遊する可能性があることが、2012年のオリンピック候補都市ロンドンの失点項目となっていたことはあまり知られていない。

このような状況になった理由は明瞭である:1989年サーチャー首相が水道事業の私有化を実施した結果、10社の私企業が水道事業を独占した。これは私企業には大きな成果をもたらしたが、顧客には料金の大幅値上げしかもたらさなかった。値上げ分は供給網の整備に使われるということであったが実際には配当、マネージャー報酬の上昇、海外進出費用となった。このため既に1994年に≪Daily Mail≫紙は、「巨大な飲料水略奪」の進行を報じている。

グローバル化批判者の見解では、業界トップの企業が環境汚染裁判で2ダースを超える有罪判決を受け、合計70万£の支払いを命ぜられたが、このくらいの罰金は痛くもかゆくもないと言う。
こうした状況がアメリカでは桁違いのきぼで展開されていることはニューオリンズの例が示している。ここではオフィシャルなメディアも、ポンプ、ダムの整備が―利益を生まないとの理由で―なおざりにされていた原因は、それらが私企業の施設であったためだと指摘せざるを得ない状態である。

こうした事がドイツでも発生する可能性のあることは、アルプスの村で生じた事態を見れば明確である。
この片田舎の村の泉からはずっと昔から化学添加物の入っていない純粋な水が湧き出ていた。数年前からこの湧き水は地域の飲料水供給網に組み入れられ、住民はそれを喜んだ。ところが村人たちは「グローバル化、自由化、規制撤廃」の三拍子揃った「現代の進歩」を考えに入れていなかった。このため来るべきものが到来。利潤に飢えた某国際コンツェルンがこの「金の泉」に襲い掛かり、この多国籍企業の弁護士が村の水道事業の国際入札を要求。もちろん、村人も村役場も反対したが、国際規制をたてに押し切られ、村人は自分たちの水を自分たちに供給するために入札を行うという馬鹿げた事態となった。

役場側は1立米あたり9ユーロという正直な値段を提示。コンツェルン側は5ユーロの値段を提示して落札。村人には「EU規制に合格した」化学物質処理済の水道水を供給し、湧き水は瓶詰めにして中近東に輸出し、1立米あたり5000ユーロの純利を得ている。もちろん、泉は契約で確約されたように「行き届いた整備」を受けている。
また幾つかの私企業は市町村と飲料水供給契約を結ぶ時に「利潤保証」の項目をいれ、驚くことに市町村側がそれをアクセプトしている。すなわち、十分な利益がなければ、納税者が差額を負担している。

1999年、ベルリンの水道事業が部分的に民営化された。設備の整備費用は民営化と同時に50%カットされた。特に整備作業を請け負っていた中小企業が仕事を失い、その結果①供給網の状態が著しく悪化し、②多数の企業が倒産した。そうした中小企業には10000人が働いていたが、されに1000人以上が失業の危機にさらされている。それだけでなく、水道料金は15%値上げされた。
ベルリン州(=市)は部分民営化により17億3000万ユーロの収入を得たが、企業閉鎖、失業に伴う長期的な費用については一顧だにされていない。

医療
アメリカの健康保険制度が工業諸国で最も効率の悪いシステムであることはエキスパートのほぼ一致した意見である。保険組合が患者一人あたりに出費する費用が他の諸国に比べずっと高いからだ。システムがうまく機能していない理由の一つが民営化である。

郵便
ドイツでは郵便居(Post)の100%民営化が計画されている。
≪Spiegel Online≫が2005年5月末に報道した記事によれば、ドイツでは毎日何千通もの手紙、小包が紛失している。その原因は1995年に実施された民営化で、私企業となったPostが国内、国外の安い下請け会社を使っているためである。時にはピザの配達人が郵便箱を開けることすらある。
トリア市ではPostの下請け企業である運送会社に勤めていた運転者(24歳)とその相棒(52歳)が告訴された。理由はトラック一杯の郵便物を盗んで、金目になりそうなものだけ抜き出し、池に捨てたためである。手紙が何通も水面に浮上してきたため、犯行が発覚した。
また、フランクフルト検察は何千通もの書留便を廃棄したPost下請け会社を告訴した。損害は27万ユーロにも及ぶ。下請け会社にによる盗難事件の正確な件数及び損害金額についてPost側は言明を避けている。

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要約≪Matrix3000≫2006年3月4日号
はろう2006年3月号より
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