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2015-11-11 | ちょっと気になるマスコミ報道


 

米で処刑された死刑囚10%が退役軍人

AFP=時事  【翻訳編集】 AFPBB News11月10日(火)20時53分配信

 

【AFP=時事】米国で処刑された死刑囚の少なくとも10%が退役軍人だとする報告書が、10日発表された。裁判所は退役軍人たちの精神状態をほとんど考慮していないと、米非営利組織(NPO)「死刑情報センター(DPIC)」が警告している。

「アメリカン・スナイパー」殺害の元海兵隊員に終身刑

 今年ジョージア(Georgia)州で処刑されたアンドリュー・ブラナン(Andrew Brannan)死刑囚は従軍し、心に傷を負って帰還したが、殺人を犯し、死刑に処された多くの米軍兵士たちの1人だ。

 警察学校では、1998年にブラナン元死刑囚がスピード違反で停止させられた際の映像を見せている。この映像を見れば、ブラナン元死刑囚の心理状態をうかがい知ることができるだろう。

 映像はブラナン死刑囚に殺害された警察官、カイル・ディンケラー(Kyle Dinkheller)氏の車載カメラで撮影された。停止させられたブラナン元死刑囚はピックアップトラックから降りると、ディンケラー氏を挑発しようと 狂ったように踊りだし、同氏の命令に従わなかった。ののしり言葉を混ぜながら「俺はベトナム退役軍人だ」と叫んだブラナン元死刑囚は車に戻って銃を取り出 し、発砲。ディンケラー氏は9発撃たれ、現場で死亡した。

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受けていたブラナン元死刑囚の裁判で弁護士は、情状酌量を求めたが、余地なしとされた。

■栄光から汚名へ

 ニューヨーク州弁護人協会(New York State Defenders Association)で退役軍人の弁護プログラムの法務責任者を務めるアート・コーディー(Art Cody)氏は「米国の人口の中で、退役軍人は7%に満たない。そうしたことから裁判官も陪審員も検事も、被告弁護人でさえも、軍での経験については基本 的に知識がない」「退役軍人の状態についていい加減な知識ならばあるかもしれないが、軍人としての背景や経験が、被告となった退役軍人と彼・彼女らが犯し た犯罪にどう影響を与えているか、法的決定を下す側が十分な理解を欠いている場合が多い」と話した。

 米全土には退役軍人の死刑囚が約300人いる。中に は、勲章を受けた兵士でありながら転落をたどった者もいる。1967年にパープル・ハート勲章(Purple Heart)を授与されたベトナム戦争の退役軍人、ロバート・フィッシャー(Robert Fisher)は、13年後、深く精神を病み、自らの伴侶を殺害した。

 DPICの報告書によると、ベトナム戦争(Vietnam War)から帰還した80万人以上にPTSDの兆候がみられた。アフガニスタンとイラクから帰還した30万人もPTSDに苦しんでいる。後者では、外傷性の脳の損傷もよくみられる。

■帰還兵に殺された狙撃手

 戦闘を経験した米軍兵士たちが、再び一般市民の生活に適応しようとする際の困難は、クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)監督の映画『アメリカン・スナイパー(American Sniper)』で描かれた、「米史上最強の狙撃手」と称されていた故クリス・カイル(Chris Kyle)氏の人生に表れている。カイル氏は、イラクで従軍経験があり、精神に問題を抱えた元海兵隊員のエディー・レイ・ルース(Eddie Ray Routh)受刑者に殺害された。ルース受刑者は今年2月に終身刑判決を言い渡された。

 湾岸戦争(Gulf War)の退役兵、ジョン・アレン・ムハマド(John Allen Muhammad)元死刑囚は2002年10月、首都ワシントン(Washington D.C.)地域での連続狙撃事件で10人を殺害。09年に死刑が執行された。

 AFPが取材した専門家の中には、心の傷となるような戦場での衝撃的な体験と、その人物が後年に起こす暴力的な行為には、必ずしも関連性はないという意 見もあった。退役軍人を支援するPR企業「スカウトコムズ(ScoutComms)」のローレン・ジェンキンス(Lauren Jenkins)氏は「PTSDを患う退役軍人の暴力に関するデータによれば、飲酒や薬物乱用、他の心理的問題の方が暴力の誘因となっている」と語った。

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