2 共産党議員の生活相談は、みんなで仲良く暮らすお手伝い
■□サラ金地獄からの救済は大変だが…
相談者の気持ちによりそい共産党議員ならではの力を発揮
共産党への生活相談は、 現代の駆け込み寺。他党議員や他の誰かに頼んでも解決できなかった難題が持ち込まれる場合が多いのです。こんなこともあるのかという相談もたくさんありました。まだ独身だった私が、最初に受けた相談が、なんと離婚相談だったことも、心に残っています。
サラ金地獄で困っておられる方を助けるのは並大抵ではありません。初めに借りたお金は、一〇万~二〇万円でも、返済のために借金を重ねて、五〇〇万円にもふくらんでいたケースがあります。こうなったら利息だけでも返せません。多い方は八〇ヵ所ほどから借りておられました。なぜこんなことになったのかと問いかけ、自分で考えてもらわなければなりません。
相談者から返済振込の領収書の山が持ち込まれると、一枚ずつ広げて、業者ごとに、日付順に仕分けして、コピー用箋に書き出していきます。パソコンがまだ普及していないころでしたから、何日も徹夜でした。「もう朝やで、いつまでやってるの」と妻もあきれていました。
整理した資料を持って法律事務所に何度足を運んだことかわかりません。弁護士に解決を依頼するときは、本来なら振込用紙の整理は事務員がやってくれますが、私は自分でしないと相談者の気持ちがつかめないと思いガンコに取り組んでいました。
■□映画のままだった暴力団事務所
サラ金業者は、暴力団とかかわりが深いところが多いのです。
「すみませんが返しに行って、借用書をもらってきていただけませんか?」という相談もありました。金額が多いので直接持っていかなければならないが、 怖くて行けないというのです。自分で行けばよいのにと思いながら、追い詰められた様子を目の前にして、住所・業者名・電話番号を聞いて引き受けました。
伏見区にあった金融業者の事務所は一方通行の、とてもわかりにくい所でした。何度も公衆電話から連絡してやっとたどり着きました。若い衆が近くまで迎えに来てくれました。二階へ上がってくれと言われて部屋に入ってびっくり、映画に出てくる暴力団親分の部屋と同じつくりです。神棚があって、提灯飾りがあって…。応接椅子に座ってまず名刺を出し用件を告げると、「ご苦労さん。本人が来ればええのに…また入用があったら連絡してください」といたってていねいでした。借用書と領収書をもらって帰ってきましたが、常に子分が一歩下がって控えている密室で、監視カメラもあって、居心地のいいところではありません。
暴力団は、なくさなければなりません。日本の歴史では、権力者が十手持ちと暴力団を操って、民を苦しめてきたのです。この人たちも元をただせばいつも命令でこき使われて、利用されている人たちですが、理屈・理論でなく義理人情でつながっていますから、初対面で理屈は通りません。私としては、普段、誰とでも接する態度と同じように、普通に対応することにしています。
■□音信不通の息子の「事故」で脅迫が
「お前とこの息子が衝突事故で俺の外車にキズをつけた弁償しろ」と、やくざ風の男二人が押しかけてきたというのです。
相談を持ち込まれた方は、長男とは何年も音信不通でした。
「息子はどこで何をしているのかわからない。本当に事故を起こしたのか、どんな約束をしたのかもわかりません。傷ついた車は五条署の駐車場にレッカー車で引き上げられたので、それも引き出してこいと言い、 『月夜の晩ばかりではないぞ』と脅されました。今晩またくると言っているのですが…」との相談です。さて!どうしたもんか?
私は、「会うしか仕方ないでしょう」と待っていたら、二人が決めてあった時間通りにやってきました。話を聞いた後、私は「この話を家族に言ってくるのは筋違いだ。あなた方も大人でしょう、男同士の約束はそちらで解決すべきだ。煮ようが焼こうが好きにすればよい。車を出したいのなら、五条署の前で待ち合わせをしよう」と日時を約束して別れました。
初めからそのような答えを用意していたのではなく、どう拒否しようかと考えていただけでした。約束より一時間ほど前に五条警察署に行くと、事故車は確かにそこにありました。係の警察官に事情を説明して約束の時間まで待っていましたが相手は来ませんでした。それ以来、親への嫌がらせはなくなりました。
住民票を見たら知らぬ間に自分の家に同居人がいる! さあ!どうする?
おばあさんから、「女の名前で何度か商品案内のカタログが送られてくるのが不思議なので調べてほしい」と相談がありました。女は亡くなった息子の元妻で、ずっと以前に離婚し、子供はおばあさんが育てていました。前夫に財産があったから、勝手に子供とおばあさんがいる家に住所を移して、同居の形を取っていたのです。
おばあさんと一緒に、区役所へ行って住民票を取りました。案の定、同居の形をとっているではありませんか。おばあさんは、頭に来て興奮しています。しかし、どうしてよいかわかりません。さあ!どうする?
そこで私は住民課長に名刺を渡し、率直に事情を説明して、どうすれば良いか聞きました。
すると「変な奴が後ろについてるかも知れないので警察の『民暴課』へ行って相談しなさい」と言います。転入前の住所で電話を調べればよいと言い、その上親切なことに、知人であるという警察の「民暴」の係員に連絡までしてくれました。こういうときは警察が頼りです。近くの伏見警察署に行きました。担当の警官がその場で電話をすると相手の女が出てきました。
「ねえさん、おかしなことしたら、おばあさんが困ってるやないか、元の住所に戻しとかんと、また電話せんならん。わかってるやろ! 早うしとかんとあかんで!」
これで一件落着。そして警察官は、「二~三日してもう一回区役所へ行って確かめとき」と、おばあさんに言いました。なるほど、こんな手があるんや、勉強になりました。