2023年12月17日(日)
米 メトロポリタン美術館
“略奪美術品”返還開始
【ワシントン=島田峰隆】米ニューヨークのメトロポリタン美術館は15日、所蔵品のうち略奪を経て取得したことが明らかになった美術品14点をカンボジアに返還する作業を始めたと発表しました。タイにも2点の美術品を返還します。
返還されるのは9~14世紀のアンコール朝時代に制作された美術品です。英国人美術品商の故ダグラス・ラッチフォード氏が1960年代から90年代にかけて、カンボジアの内戦やポル・ポト政権下の混乱のなかで略奪しました。
メトロポリタン美術館によると、今回の返還でラッチフォード氏に関連するアンコール朝時代の所蔵品はなくなります。
ホレイン館長は、カンボジアや2019年にラッチフォード氏を起訴した検察当局と問題解決に取り組んできたと強調。「この過程で新たに得た情報により、これらの美術品の返還を始めるべきであることが明白になった」「カンボジア、タイとの開かれた対話を重視している」と述べました。
ホレイン氏は今年5月、メトロポリタン美術館が所蔵する約150万点の一部について来歴を調査する委員会の設置を発表しました。9月に略奪などを経て取得したことが判明した美術品は元の国々へ返還する意向を表明していました。