2025年2月16日(日)
F35戦闘機 米に巨額支払いも納入されず
政府説明より遅延
不良次々発覚 米製兵器“爆買い”のツケ
防衛省は2024年度に予定していた米国製のステルス戦闘機F35A3機、F35B6機について、ソフトウエア開発の遅れで引き渡しが25年度にずれ込むことを明らかにしました。しかし、ハードウエア(機体)にも不具合が生じ、さらに遅れて26年度以降になる可能性があることが、米国防総省運用試験・評価局が1月、米議会に提出した報告書で明らかになりました。
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F35は史上最も高額な戦闘機で、防衛省の25年度予算案でAの1機あたり単価が173億円、Bは222億円に達し、米軍より高い価格設定です。日本政府は既に支払いを進めているのに「モノ」が届かない―。価格も納期も米側が一方的に決定し、欠陥品も少なくない武器輸出制度「有償軍事援助(FMS)」の矛盾を示しています。
報告書によれば、メーカーのロッキード・マーチンは23年7月に最新機体(TR3構成機)の引き渡しを開始しようと計画していましたが、機体に問題が生じ、ソフトウエアも十分に機能しないため、米軍は受け入れを拒否。妥協策として、先行モデル(TR2)に搭載されている戦闘能力をそぎ落とし、「訓練用」として引き渡すことになりました。報告書は、戦闘能力を有し、実戦配備されているTR3構成機は「1機もない」と断定しています。
報告書は、米国防総省の開発部門はTR3構成機を実戦配備するための適切な計画を持っておらず、「集中的な運用試験は26会計年度(25年10月~26年9月)の中旬~下旬まで行われない」と結論づけています。
防衛省は将来的にF35A・Bを合わせて147機を導入する方針。F35の採用を決めた当初(11年)は42機を導入する予定でしたが、20年に安倍晋三首相(当時)がトランプ米大統領の“米国製兵器爆買い”要求に応じて、105機の追加購入を決定しました。現時点で日本はF35の最大の輸入国です。
F35をめぐっては、これまでも数々の欠陥が指摘され、「史上最も駐機時間が長い戦闘機」と言われています。