みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「女性センター図書選定基準」を入手/福井県男女共同参画審議会議事録(5/22,7/3)も。

2006-08-15 17:19:32 | 「ジェンダー図書排除」事件
まずは
一期一会のクリックを


福井県生活学習館(ユーアイふくい)で、
154冊の図書が一時撤去されていた事件について
「5月2日以降のすべての文書」について、
第3次の情報公開請求していたところ、
今日71枚の公文書が郵送で届きました。

ほとんどがこの事件に対する県民個人や団体からの意見です。
一部公開されたもの7件は、撤去に批判的な意見ばかり。
「全面非公開」で、黒塗りの紙もでてこないものも多く、
電話で担当課に聴き取りしたところ、合わせると53件。
撤去のときと同じく、戻す判断をしたときも、
「意思の経過がわかる文書」はなにもありません。

このなかに、
「女性センター図書選定基準」なるものを見つけました。
福井県生活学習館の設置の翌年に施行されたものらしい
のですが、11月28日に、男女参画・県民活動課長が、
「書籍の選定に当たっては、全国の男女共同参画センターにおける
推薦・紹介の状況や女性問題専門書店での取り扱いを参考にしており・・・」
と「選定基準はない」ととれる回答をしているので
なんとも不思議な感じです。使われてなかったのかしら???




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             女性センター図書選定基準

次の1~6のいずれかに該当する図書を購入対象とする。
ただし※は購入対象から除外する。

1 「ふくい女性ソフィア」および「ふくい女性大学」の講師から推薦のあった図書
2 国立婦人会館に収蔵されている図書のうち、「女性・女性問題」に分類されるもの
3 女性問題図書総目録(女性問題図書総目録刊行会発行)に記載されている図書のうち、「女性論」「男性論」「女性史」「家・家族」「性・からだ」「労働」のいずれかの項目に分類されるもの
4 女性の社会参加を促進するために必要と考えられる図書のうち、本館の女性センター図書の分類(「女性問題・男性問題」「女性史」「性・からだ」「家・家族・福祉」「仕事・労働」「教育・その他」)に該当し、理解が比較的容易で女性問題の入門者が読むのにふさわしい図書
5 女性問題を研究する上で必要な歴史的文献
6 福井県の出身、あるいは福井県に縁の深い女性問題運動家・研究者、文学者の活動に関する著作や文献

※特定の女性団体等の歴史をテーマにした図書
※文学全集等、一般の図書館で閲覧可能な図書
※健康法等、単に技術・ノウハウを開設した図書

附則
平成8年3月3日施行
平成9年1月15日改正
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この図書選定基準を読む限り、150冊の本には、
排除されなきゃいけない理由は何もありませんね。

ところでこの間、5月と7月に
福井県「男女共同参画審議会」が開かれていたはずで、
審議会の議事録を探したのですが公開文書に入っていません。
「なぜこの議事録が入ってないのですか?」と尋ねると、
「公開請求した日にはできていなかった」とのこと。
今日までにはできている議事録を資料提供してもらいました。

以下は、5月と7月の議事録です。
5月の分は、HPで公表しています。

  

 
第一回「男女共同参画審議会議事録」
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●男女共同参画審議会議事録
1 開催日時
  平成18年5月22日(月)13:30~15:30
2 開催場所
  県庁特別会議室(7階)
3 出席者
 (1)委員 10名(全員出席)
 (2)事務局
    杉本総務部長、田島男女参画・県民活動課長、男女参画・県民活動課員、
    福井県男女共同参画推進会議幹事課
4 審議内容

       ( 略 )
委員: 生活学習館における不適切な図書についての大枠の説明があったが、不適切な図書とは具体的に話せない内容なのか。
事務局: 図書の問題に関しては新聞等で報道されているが、本のタイトル、著者名は公表を控えている。
事務局: 不適切とは、撤去を申し入れた本人が言っていることであって、県は、不適切とは考えていない。ただ、人権侵害、個人の誹謗中傷や個人攻撃、犯罪奨励等、中身そのものが公益を著しく阻害することはいけないので確認をした。しかし、一切、その中身がどうかとかしていないし、図書をしまって見せないようにしたわけでもなく、その作業のため一旦、引いていたのであり、本人が自分で公表されているものが、報道されているのであって、県として、図書の検閲とか中身のチェックのために撤去したことは、一切ない。
委員: 言われている図書は、公立図書館にも置いてあるのか。
事務局: 生活学習館は男女共同参画センターとして、男女共同参画に関する専門図書の品揃えは、一般図書館よりは多い。
委員: 指摘を受けた図書は、専門書ということか。
事務局: 150冊の中身は、専門書かといえば、いずれも公刊されており、どこの図書館に置いても問題のない図書である。公立図書館にあるかどうかはわからないが、あってもおかしくない。生活学習館としては、男女共同参画について調べたい時は、どこの図書館よりも充実しており、ここに来れば県立図書館で調べるよりは充実している蔵書にしようと努めている。
会長: このような図書の問題については、当審議会で話をしてもらうことが必要でないかと思う。当委員会の委員は男女共同参画にかかる重要事項についての調査、審議、建議、県施策に関する苦情申出に対して意見を言う役割がある。図書の移動については、県が申入れを受けて決定し、一旦後ろに引っ込めて確認をした後に、元に戻したのだが、この件をめぐり公開質問状などが幾つか出されているということの新聞報道等がされているが、審議会でその旨についてどのようなことがあったのか、知らせてもらうことは必要であると思う。
事務局: 本日の審議会で、資料等を示して説明させてもらえばいいのか。
会長: 次回の審議会で示してもらえればいい。
会長: 相談苦情の内容で、図書の内容が不適切と言っているのは、他人の人権を侵している、誰か個人を誹謗中傷しているという申し出があったということか、また、報道されている150冊の本のリストは、本人が示したものなのか。
事務局: 申出の内容は、個人にかかる内容なので詳細には言えないが、本人の考え方によるとおかしいのでないかということである。本人とのやりとりの中で、意見があったことを真摯に受け止め、別の観点から本当に不適切なものがあるのかどうか確認することにし、その確認のための期間があったということである。
 どの本なのかについては、マスコミでの一部報道もあるが、県は一切公表していない。本人が公表している報道もあるが、県が別の観点で確認しているにもかかわらず、図書の内容が不適切であるがごとく県が調べているとの扱いをされることを心配しており、県は一切公表していない。
会長: 本人の申出とは違う観点での対応で行ったというが、たまたま対応時期が一致したということか。
事務局: たまたま、一致したというか、本人が不適切と言ってきていることに対し、本人の考え方があると思うが、県として人権に関することに関しては確認する必要があると考え、購入時にも確認しているが、再度、確認をしたのである。
会長: 苦情申出の回答にもあるが、図書を肯定的に読むか、否定的に読むかは、読む人の自由である。この件はその後続があって議論になっているところだと思う。
(次回審議会:7月3日開催)
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●平成18年第2回 男女共同参画審議会 議事録
1 開催日時
  平成18年7月3日(月)13:30~15:30
2 開催場所
  県庁特別会議室(7階)
( 略 )

事務局:  前回審議会の会議録を資料として添付しており、県ホームページで公表する。・・・・・・・・
 生活学習館の図書に関して、経緯を報告する。
 昨年11月に県民A氏から男女共同参画の推進に不適切との苦情申出書が知事あてに提出された。県からA氏に11月28日付けで、「多様な情報の提供は必要なのでご理解いただきたい」と回答。その後、県とA氏間でやりとりがあり、その過程で図書リストの提出があった。(1月~2月中)。生活学習館では、申出に対応するため、再確認をすることにし、作業の都合で書棚から図書を取り出し事務室へ移した。一時的な措置で貸出を求められれば、いつでも閲覧・貸出ができる体制を整えていた。確認作業後、5月15日の休館日に図書をすべて書棚に戻している。5月には新聞各紙で報道され、県民からのメール、FAXによるご意見をいただいた。県では、男女共同参画に関する考え方は様々で、これらに関する情報の提供は学習する上で必要と考えている。図書の購入に際しては、選定基準に基づき適正に購入しているが、今後は、外部委員を含めた委員会に諮りながら多様な情報の提供を適切に行っていきたいと考えている。
会長: 今回は、男女共同参画の推進の仕方について、一部問われたことと、公共図書館での図書の取り扱い方に関連することで、県内外から多くの意見が出ているが、今後、県では男女共同参画社会基本法、県推進条例等に沿う妥当な対応をお願いしたい。
 県条例第21条に苦情手続きがあり、苦情にどう対応するかは知事の判断とある。審議会としては、知事の判断に事後的に説明を求めることは今後もある。どの苦情の案件について、審議会に諮るかは明確でないが、今回のような案件を蓄積していくことで、明確になるのではないかと思う。
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午後になって、
8月11日に福井県図書撤去事件で非公開になっていた
ジェンダー図書が「公開」されたが、その関連の
新聞各紙の記事が今大地さんからFAXで届いた。
まだ紹介していないもののみ、本文をアップします。

 

日刊県民福井2006.8.12)

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県、153冊の一覧全面公開 フェミニズム関連図書撤去
東大教授ら提訴取りやめ

 県生活学習館がフェミニズム関連の書籍を一時撤去した問題で、県は11日、「(撤去を要請した)リスト作成者が公開に同意した」などとして153冊の一覧を全面公開した。これまでに著者や市民団体から3件の情報公開請求があり、県は書名や著者名を黒塗りにして「一部公開」としていた。突然の方針転換に、公開を求めて提訴する方針を表明していた著者の一人、上野千鶴子・東京大教授らは『非公開はそもそも違法だった』と批判している。
 杉本達治総務部長らが記者会見し、リストを公開。「県の情報は原則公開で、リスト作成者や著者の一部も公開を望んだ。県民の関心も高く、総合的に事情が変化したと判断した」と説明。一方で、これまでの実質非公開については「個人情報をみだりに公開しないという観点から妥当だった」とした。
 上野教授らは提訴を取りやめるが、一連の経過について抗議文と、一時撤去の不当性を問う公開質問状を西川知事あてに送った。リストを公開請求した他の2団体も「早く全面公開するべきだった」「もっと説明責任を果たすべきだ」とした。
 上野教授らは26日午後1時30分に福井市の県民会館で予定していた提訴集会を、他の著者にも呼びかけ抗議集会として開く。
(2006.8.12 読売新聞)
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(朝日新聞 2006.8.12)
(中日新聞 2006.8.12)

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ジェンダー関係リスト、一転公開 
県、同意得られたと

 福井県生活学習館(福井市下六条町)が県民からの指摘でジェンダー(性差)関係の書籍約150冊を一時撤去し、そのリストを非公開にしていた問題で、県は11日「(リストを作って指摘した)本人から同意が得られた」などとして、リストを一転公開した。公開を求める訴訟を準備していた社会学者の東大教授、上野千鶴子さんらのグループは提訴を取りやめる方針だが、「撤去に関して説明や謝罪がない」と反発を強めている。
 公開されたリストには上野さんの「スカートの下の劇場」「性愛論」「女という快楽」や「フェミニズム論争」(江原由美子さん著)「離婚判例ガイド」(二宮周平さん)「結婚はバクチである「一時撤去で、リストにある著者、翻訳者、編集者、出版社の権利が侵害された」とする抗議文を県に提出。「当初の非公開決定が違法だったのではないか」などと詳しい説明をするよう求めている。(平野光芳)
(毎日新聞 2006.8.13)
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上限の一万字を超えそうなので、今日はこのへんでさようなら。
ふーっつかれたー。ではまた。


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