みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

「解説がほしいケース」「女性問題への敏感さを問う」/福井新聞を読んで~藤原房子

2006-08-28 08:56:02 | 「ジェンダー図書排除」事件
まずは
一期一会のクリックを


8月26日の午前中、ジェンダー関連図書排除事件の舞台となった
「福井県生活学習館」に行ってきた。
福井インターから近いので、車で福井入りの上野さんと、
ともまささんとわたしと今大地さんが待ち合わせ。
他の原告も駆けつけ、情報コーナーを見てから、
定池りゆ子館長と少しお話した。

  

くだんの「情報コーナー」は正面玄関を入った右側にあり、
前館長は撤去をまったく知らなかったというけれど、
ここで、秘密裏に本を撤去したとは考えにくい。
職員のだれかひとりでも移動に疑問を持てば、
なんとか食い止められたのではないか?
本庁にものを言うのはむずかしい知れないが、
まさに、現場が水際で違法を止める、
毅然とした、「勇気」が必要だ。

153冊の本の排除成功に味をしめたのか、
男女共同参画推進員の男性は撤去中の4月になって、
さらに37冊の排除本のリストを持ち込んで、
排除を迫ったというのだから、開いた口がふさがらない。

いくら公募の市民とはいえ、
男女共同参画推進条例により委嘱された男女共同参画推進員が、
同じ条例で拠点施設と定められた生活学習館の書架から、
本を撤去せよというのは異常なこと、と誰か言わなかったのだろうか?
公文書が公開され、事実関係が明らかになった今も、
行政がどのような意思決定を経て、だれが何をしたのか、
の記録は何もない。「不存在」の3文字からは、
本来為すべきことをしなかった、「行政不作為」の罪が浮かんでくる。

とはいえ、お忙しいところ、突然の訪問に
こころよく対応してくださった定池館長さん、
ありがとうございます。

ところで、
地元紙の福井新聞には、なぜか今回の事件の報道が少ないと聞いていたので
昨日買った新聞を興味深く読んでいたら、こんな記事を見つけた。


あなたとつくる風の森
新聞を読んで~解説がほしいケース
       ジャーナリスト 藤原房子



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・・・・・・(前半略)・・・・・・・・・・・・・
 8月12日付第2社会面に3段の見出しで報じられた県生活学習館の撤去図書リストの公開問題は、県の担当者の記者会見を簡潔に報じたが、読む側には、よほど記憶力のいい人を除いては、全容は分かりにくかったかもしれない。
 男女共同参画推進員を県から委嘱された男性が、図書室にある本の内容に疑義を呈し、館に153冊の撤去リストを提出。館は内容を検討するとして3月に書棚から図書を撤去。その後個人へのひぼう中傷などはなかったとの理由で、5月末一括書棚に戻した。県の審議会でも、公開された議事録ではこの対応にも質疑が出た。
 他方、権利を侵害されたとする著者や団体は、書籍リストの公表を求め、いったんは墨塗りリストを示されたが、さらなる抗議で全面公表に至る。底流には全国的にこうした女性学関連の啓発活動に対する批判が強まっている背景があり、他の自治体にも波及しないかと周囲では懸念された。
 6月の本欄で私は昨秋の発端とその後の経過をごく簡単に取り上げ、行政の対応など不透明な点を指摘したが、まるで拍子抜けするような結末だった。一体あの時の混乱は何だったのだろう。
 インターネットの普及で福井発のニュースが全国を一瞬にして駆けめぐる。私も東京にいて、それを知ることができ、思いがけない速度で重層的に伝わり、論じられるのを知った。本誌の記事では「リスト作成者の了解を得て、あらためて総合的に判断」と県担当者は述べたが、双方への均衡ある配慮、内容チェックの実態、手続きなどなお釈然としない。一件落着とはいえ読者には「片付かない気分」を残す。真夏の出来事で終わらせず客観的解説がほしいケースだ。
                         (2006.8.27 福井新聞)
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記事を読んで、いそいで6月の「新聞を読んで」を探した。
探し物は、福井県に請求した公開文書のなかから見つかった!
そういえば、前に読んでいい記事だと思っていた。
あらためて、紹介したい。

新聞を読んで~女性問題への敏感さを問う
       ジャーナリスト 藤原房子

 女性問題は新聞ではどうも扱いにくい対象らしい。建前と本音のズレが大きいせいか。確かに国の政策を受けて、男女共同参画が着実に進む様子は紙面で散見する。4月以降でも県の審議会委員で女性議員が3割達成、なお4割を目指すとか、女性で初の認定農業者が選ばれたとか、進出を示す記事によって変化の片りんに気付く。
 だがぎくしゃくする話もある。5月に入って紙面に登場した県生活学習館の図書問題報道の経緯がそれだった。現在はニュースを新聞やテレビなどマスメディアだけでなく、友人らのメールやブログなどで、情報が即時・重層的に幅広く得られるから、読者が一足先に知る機会が増えた。それにつれて報道の時差や表現ニュアンスの違いが目立ち、関心を持つ読者に気をもませることにもなる。
 図書問題を私は女性学の研究者や学者らの交信ネットで最初に知った。県の男女共同参画推進員を委嘱された一男性が、昨年11月に生活学習館の図書室に学習に不適切なと情報公開があるとして、県条例に基づき、その排除を求めて知事あてに要望、扱いが注目されていた件である。
 活字になったのは4月28日だった。まず某宗教団体の機関紙に問題図書が同館の開架になっている図書室から排除されたと一部書籍のリストとともに伝えられた。本紙には5月12日付に敦賀市議の抗議をきっかけに、近くの事務室に移されたとの第一報が出た。共同参画の本旨にそぐわない、内容が過激などの点で、約150冊が指摘され、一般利用者に見えない場所に置いたという。
 その後、内容確認を終えたとして17日付に、書籍をすべて一ヶ月半ぶりに元に戻し、閲覧を再開したと、写真入2段見出しの記事が出た。館長談話として「決して撤去したわけではない。著しい人権侵害などがないかも含めて再確認した。いずれも全国で流通している一般的な本で内容に別に問題はなかった」とある。
 排除、撤去、移動、いずれも書籍が動いたことを表す言葉だが、受ける印象はかなり違う。また憲法では思想、言論の自由が保障された国で、内容点検とは気になる。個人のひぼう中傷の有無などを見ただけとはいえ、公的機関は選定・購入する際、見ているはずだ。同じ記事で「市民オンブズマン福井」が撤去を判断した人物や理由について、公開質問状を出したと報じた。これが脇見出しになっていて「オンブズ福井」と表記された。単なる短縮なのか、それとも本紙側に別の配慮があってのことだろうか。「マン」という言葉に敏感に反応したうえでの判断だとすれば経緯を表したい。
 23日付には県男女共同参画審議会の本年度初会合で、書籍問題につき委員が説明を求めたとの記事を見たが、具体的な意見交換などは書いてなかった。日をおいて出る小さな記事では流れを追いにくい。本は書棚に戻ったが、奇妙な出来事だった。男女共同参画推進員の役割は、同運営要領第2条に4項目並んでいる。解釈は多義的だが、個人の主義主張が行政の実績を左右できるものなのか、市民への真摯な対応とはいえ、組織的に動く仕組みとは、などと考えるべきことは多い。
                        (2006.6.4 福井新聞)
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最後に、昨日書かなかった
「参加者アンケート」を紹介します。

「今までジェンダーフリーに反対する人は絵の中の餅で
じっさいにいるとは思っていなかったので、おどろきました。
そんな中でも
集会に参加した皆さんの一人ひとりの力強い意見や言葉を聞き、
もっと目を光らせていかなければと感じました」

「近くにいた男が大声をだして怖かった(途中から入ってきた)
妨害しに来たとしか思えない。
⇒上野さんとみどりさんの冷静で毅然とした対応がよかった。」

「一個人(県の推進員だからあるイミ権力あり?)の意見で、
公共の図書が撤去されるなんてことが、
この国で起こるんだという事実にビックリしました。
リストを出した側の人の発言・ヤジを聞いて怒りに体が震えました。
あの人たちの考えはヨコにおいといても、
民主主義の基本さえ知らない(「人権侵害なんてナンセンス」その他の発言)、
それで県の推進委員をしていなんて、信じられません。
(男女平等も憲法に保障されてますが、「人権」について中3のレベルです)
日本国憲法など勉強しなおしてからおいで!と言いたい!!」

女性の参加者が多い会場で、おとこを組織的に配置して、
いっせいに大声で罵声や野次を飛ばす野蛮で暴力的な行為は、
主催者として、けっして許せません。

議論をしたいと口では言いながら、応援団を連れてきて
恫喝するとは! 問答無用の本の排除とやり口は同じです。

関連で、昨日帰ってきたら、変なTBが40件ほども。
すべて土曜日の夕方から夜にかけて届いたものです。
嫌がらせとしか思えません。

かれらの正体を見た思いです。

今後は、この種のTBやコメントを「保留」にして証拠保全し、
卑劣な行動にはしかるべきときに対抗手段をとるつもりです。


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コメント (4)
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