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昨日は、福井県の「ジェンダー図書排除事件」のことが、
中日新聞の特集「核心」に載った。
今日は、岐阜県の「裏金問題」の記事が朝日新聞「時々刻々」で、
「巨額裏金 岐阜県ドロ沼」として大きく取り上げられた。
いずれも、わたしたちが当事者としてかかわっている「事件」。
特に、岐阜県の「裏金」の使い道とされている、
「訴訟費用」や「ミニコミ誌」は、いずれも
「県民ネット」として取り組んできたものばかり。
情報誌には脅され、裁判に時間とエネルギーをかけてきたけれど、
こういうカラクリだったのか!!
「ドロ沼」というよりは、腐臭を放ち、
ズブズブと沈む「底なし沼」だと思うんだけど!
朝日新聞「時々刻々」(2006.8.22)
巨額の裏金 揺れる岐阜県 組織ぐるみ、解明遠く
「官官接待」など自治体の不正支出が問題になってから10年以上たった中、岐阜県が組織的に巨額の裏金を作り、その一部を県職員組合の口座に隠していたことが発覚した。「処分に困り、燃やした」。あきれた実態が次々明らかになり、県民の怒りは募るばかり。梶原拓前知事の関与も指摘されている。古田肇知事は、弁護士による検討委員会が近く公表する調査結果をもとに今後の対応を決め、区切りをつけたい考えだが、市民団体は徹底調査を求める構えだ。
「400万円焼いた」証拠なし 組織ぐるみ遠い解明
「一刻も早く納税者に金を返して欲しい」「責任者を処分しろ」
裏金問題が発覚した先月5日以降、岐阜県庁には抗議の電話やメール、ファクスが殺到し、21日夕までに2700件を超えた。「死ね」「腹を切れ」など脅迫めいた言葉を浴びせる電話もあり、心労で体調を崩す職員も出たという。
こうした抗議が増えたきっかけは、県の内部調査チームが今月3日に公表した調査結果だった。
94年度の裏金の総額は約4億6600万円。不適正な会計をチェックする役割の監査委員事務局(100万円)、出納事務局(400万円)を含め、県のほぼすべての課や室で、カラ出張や食糧費、タクシー代の架空請求などで裏金作りが行われていた。
また、98年度の裏金は総額4億4100万円だったが、このうち半分を超える額が県幹部の指示で、県職員組合の口座に集められた。現在の残高は1億4600万円。県立高4校のPTA会費など計1300万円の「表の金」まで、各校の担当職員が裏金と誤解して振り込んでいた。
最も批判が集中したのは、報告書の中で、6人の職員が計約500万円の裏金を焼いたり、一般ごみに混ぜて捨てたりしたと指摘されたこと。1人で400万円焼いたとされる職員が勤める県教育委員会の幹部は「本人への聞き取りでは、前任者から引き継いだが、処理に悩み、思い余って不要な書類と一緒に焼却したようだ」と説明する。
ただ、県庁内では「金を焼いた」との説明を信じる向きは、ほとんどない。ある幹部は声を潜めて言う。
「焼却はあくまで、事情聴取に対する本人の主張。着服したとしても証拠がない。もっと詳しく調べないと県民の怒りは収まらないだろう」
隠し口座「放置を了解」
「改革派」前知事にも矛先
なぜ、これまで岐阜県で裏金問題が表面化しなかったのか。
県の報告書などによると、裏金作りは、梶原氏が知事に就任した89年2月以前から行われていたとみられる。しかし、梶原氏は95年から97年にかけ、県議会で再三、「他県に見られるような乱脈な食糧費の支出はなかった」などと答弁し、組織的な裏金作りを否定。95年には情報公開条例を施行し、むしろ「健全さ」をアピールしていた。
梶原氏は、強いリーダーシップで地方分権を唱え、政府の三位一体改革をめぐっては、全国知事会会長として「闘う知事会」の先頭に立った。ただ、その手腕には「ワンマン」との批判もくすぶる。「知事に耳の痛いことを直言する幹部はいなかった」(県職員)。結果的に各地の自治体が改革を進める一方、ウミを出して再出発する機会を失った形になった。
そうした体質が、県の組織再編前の99年や金融機関のペイオフ一部解禁を控えた01年、裏金の存在が表面化しないように、県幹部の指示で職員組合の口座に集中的に隠すということにつながった。
しかも組合の口座は、県の監査はもちろん、情報公開の対象でもない。95~99年度に中山間農業技術研究所(当時)などで実験用に栽培した農産物の販売収入を裏金にして停職処分を受けた職員ら7人の生活費として約1100万円も「助成」されていたことも、今回初めて明らかになった。
8日、問題発覚後初めて記者会見に応じた梶原氏は一転、「知事就任当時、『公然の秘密』だった裏金作りは十分承知していた」と裏金の存在は認めた。
しかし、当時の副知事である森元恒雄参院議員(自民党)が「しばらく事態の推移を見守ることには、知事の了解を得ていた」と裏金隠しへの関与をうかがわせたことには「やましいことは一切していない」と強く否定した。
裏金問題については、県が依頼した3人の弁護士による検討委員会が今月末にも、「だれが責任を負うべきか」「裏金の返還方法をどうするか」などについて提言をまとめる。県は検討委の調査結果によっては刑事告訴も辞さない構えだ。
しかし、市民団体「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」事務局の寺町知正・岐阜県山県市議は、県の対応に懸念を抱く。「今の検討委の体制や調査期間を考えると、梶原氏の就任以前まで裏金を把握するのは無理。これで調査が打ち切りになることは許せない」。
90年代半ば 各地で発覚
官官接待や職員の私的飲食などの費用を作るため、カラ出張や食糧費の不正請求を重ねる――。こうした手口での裏金作りは90年代半ば、全国各地で発覚した。当時明らかになった不正額は、北海道約77億円、福岡県約61億円、秋田県約44億円にのぼる。
これまで発覚した自治体では、当時在職した元職員や現職の管理職らが毎月の給料などから天引きの形で穴埋めするケースが多かった。96年に会議費などの不正処理が発覚した東京都は、OBと管理職らに自主的な返済を呼びかけ、不正額の約7億円に利子を加えた約8億円を同年12月に完済したが、いまだに返済が続く県もある。
それでも公金の不正処理による裏金作りは絶えない。最近も、議会や警察での発覚が相次ぎ、静岡県警では04年、カラ出張で約1300万円を捻出(ねんしゅつ)していたことが判明。北海道警でも同年、捜査用報償費で約11億円の裏金を作っていたことがわかり、OBや職員が返済する計画を公表した。
(浅野さんのコメントを追記)裏金の「におい」直視しない傾向
浅野史郎・前宮城県知事の話
裏金があって、その「におい」を感じても、トップは見ないふりをしてしまうものだ。知事時代に発覚した食料費の不正支出から私が逃げなかったのは、すでに情報公開制度があり、市民オンブズ マンが情報公開請求していたからだ。「もう逃げられない」という認識があったからこそ全庁的な調査に踏み切った。こうしたシステムをきちんと作っておくことが大事だ。
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昨日発行の「週刊ポスト」(9月1日号)にも載った。
と昨夜、取材のあった新聞記者に聞いたので、
今朝、コンビニで買ってきた。
『週刊ポスト』は、時々うどん屋さんで読むくらいだけど、
新聞より構成も中身も、ずっとおもしろい。
実はわが家にも取材にみえて、ともちゃんのコメントも載っている。
「くらし・しぜん・いのち岐阜県民ネットワーク」代表の寺町知正氏が指摘する。「多重債務者に金を貸すのはヤミ金業者ぐらい。にもかかわらず、県の職員組合はプールした裏金で貸し付けをやっている。しかも無利子。県民の中には、心ならずも多額の借金を抱え、生活に窮している人がいます。ところが税金で暮らす県職員は生活が破綻しても裏金で救われる。こんバカな話しはありません」
この他、懲戒処分を受けた職員の「生活費の貸付け及び助成」として総額2500万円の支出がある。非行職員さえ「裏給与」で支えられているのだ。
岐阜県人事委員会によれば、同県職員の平均年収は626万2000円。これに対し、同県を含む東海地方の民間の平均年収は437万2000円に止まっている。ただでさえ官民の給与格差は歴然としているのに、役人たちはどこまでもカネにあざといようである。』(「週刊ポスト」(9月1日号)P52より)
なぜか岐阜の記者の取材は少なくて、東京からの取材が多い。
切り口や視点も東京発の記事のほうが、シッカリしている。
と思っていたら、大谷昭宏さんのこんなコラム(P56)も見つけた。
-メディア ウオッチング-
<各紙「岐阜県裏金問題報道>
地元紙のスクープで発覚後もキワモノの話題が出るまで動かない
全国紙記者の取材姿勢を問う
数年前、梶原拓前知事時代の知事定例会見の一部始終をビデオで見る機会があったのだか、その最後に広報担当者が「本日の知事との会食は○○亭の××会席を用意してございます」と言ってまわっているのを見て腰を抜かしそうになった。
○○亭の××会席も裏金から出ていたのか。裏金問題では、官公庁や自治体を取材する記者たちの取材姿勢も問われている。(ジャーナリスト・大谷昭宏)。』(「週刊ポスト」(9月1日号)より)
梶原さんが知事になってからずっと、岐阜県相手に訴訟をしたり、
裏金の問題を訴え続けてきたけれど、県の腰巾着のような記者や、
よいしょ記事ばかり書く記者もたしかにいた。
反対に、梶原知事の政策を検証しようとした記者は、
知事の圧力で配転させられたりということもあった。
裏金問題を取り上げる記事が減ってきていることも気がかりだ。
マスコミ各紙が、どこまで本気でこの問題に取り組もうとしているのか、
わたしも、見届けたいと思う。
とはいえ、社会面トップでとりあげている読売の記事を紹介したい。
岐阜県 裏金で政治団体誌、90年代後半に2000万円
岐阜県庁の裏金問題で、県が1990年代後半、県内の政治団体などが発行する情報誌の購読料を裏金から支払っていたことが19日、わかった。
支払総額は2000万円前後に上る。県は、裏金を充てた経緯について、当時の関係者らから事情を聞いている。
県や裏金の口座を管理していた県職員組合関係者らによると、情報誌を購読していたのは、県庁内の13課と県教委。判明しただけで、95年度から97年度にかけて、情報誌は約30種に及んでいた。購読料には、94年度に県全体で旅費や食糧費を架空請求したり、カラ雇用したりして作った裏金約4億6600万円の一部が充てられていた。裏金は当時、職員組合の口座に集約される前で、各課などの庶務担当職員が管理しており、必要に応じて各課が現金で支払う慣例になっていた。県の調査チームは「通常の予算では出しにくい部分について、裏金を使っていたのではないか」とみている。
情報誌購読を巡っては、市民グループが98年、「情報誌購入に県費が支出されたのは不当だ」として、梶原拓前知事ら県幹部32人を相手に、購読料約2000万円の返還を求めて提訴。2003年、市民グループの主張に沿う形で県幹部らが約1000万円を県に返還することで和解が成立した。
県は98年4月に、購読の必要性を判断する「県購読審査会」を設置し、以後、「問題になるような情報誌の購読はない」(県広報課)としている。
(2006.8.20 読売新聞)
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裏金問題とはちょくせつ関係ないようだけど、
問題の核心に近い論点だ。
「役人はとかく事なかれ主義に走りがちだ。
「個人情報は隠すもの」という風潮は、法の趣旨を大きく逸
法を隠れみのにしたような隠ぺい主義は許されない。
意図的な情報隠しが横行するようでは、
制度の見直しは急務と言わざるを得ない。」
特に、社説の結びの言葉には、
よくぞ書いてくれたという思いで、強く共感する。
岐阜県も懲戒処分した公務員名を市民には公表せず、
陰にかくれて、裏金で救っていたのだから。
法を隠れみのにするな
官僚の経歴ばかりか懲戒免職者の名前まで非公表…。個人情報保護法を隠れみのにするような官庁の対応に、日本弁護士連合会が法の改正を求めたのは当然だ。情報公開法を忘れてもらっては困る。
個人情報保護
今月十五日号の「市議会だより」から、市議会議員の資産報告が消えてしまった。茨城県つくば市での出来事である。
昨年施行された個人情報保護法をきっかけに、「議員の資産は個人情報で保護されるべきだ」という意見が議員側から続出した結果である。議会事務局で閲覧できるとはいえ、全戸配布される広報紙から議員資産という重要情報が消えたのは、情報公開の流れからは大きな後退だ。
同法施行後、世の中でいわゆる過剰反応や不適切対応、便乗事例が横行しているのは、周知の事実だ。
例えば、懲戒免職の公務員が匿名となるのは、「不適切対応」の典型例といえる。
国土交通省関東運輸局では、約四百万円の公金を着服し、懲戒免職となった職員名を公表しなかった。職務上の地位を悪用した事件である。氏名の非公表は、納税者に対する説明責任の放棄に等しい。
官僚の経歴情報などの出し渋りや情報隠しも進んでいる。政策決定を行う幹部公務員の年齢や出身地、天下り先などの情報は、任期を知る上でも、特定地域や特定企業などへの利益誘導をチェックする上でも重要なものだ。行政の透明性を曇らせる法運用であってはならない。
日弁連は先月下旬、法改正を求める意見書をまとめた。個人情報の種類などによって、保護する利益よりも提供する利益のほうが大きい場合は、情報提供できるよう新たに条文を加える。また、行政機関個人情報保護法に例外規定を設け、国会議員や公務員など「公人情報」の優先的提供を可能にする、などの内容だ。
もともと法施行後、三年をめどに見直しを検討する予定で、内閣府国民生活審議会の個人情報保護部会が幅広い見地から検討を続けている。金融や医療など分野別ガイドラインの周知徹底を図る必要があるのはもちろんだが、世の中の混乱ぶりを考えてみれば、もっと法改正の足を速めるべきだろう。
役人はとかく事なかれ主義に走りがちだ。「個人情報は隠すもの」という風潮は、法の趣旨を大きく逸脱するものだ。社会の匿名化は国民の知る権利を奪うことにもつながる。
法を隠れみのにしたような隠ぺい主義は許されない。意図的な情報隠しが横行するようでは、制度の見直しは急務と言わざるを得ない。
中日新聞社説(2006.8.21)
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