みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

《生活防衛》投資商法・失業者の確定申告/『ジャーナリズムの可能性』(原寿雄)

2009-02-12 17:51:00 | ほん/新聞/ニュース
ちかごろ鼻水が出て目がかゆい、「すわ花粉症」ってことで、
久しぶりにザジデンを飲んで寝たら、効きすぎて一日中うとうと。
午後にはベッドに入ってしっかり2時間ほど寝てしまった。
これでは、車の運転も危ないので副作用の少ない抗アレルギー剤にしないとやばい。
で、
「なばなの里」のベゴニアガーデンのお花の画像をやっと整理したんだけど、
アップするには1時間くらいかかりそうなのでパス。
ソフトな記事とハードな記事を交互に載せるつもりだったんだけど、
今朝の中日の新聞記事を切り抜いておいたので、こちらをアップ。

一人でも多くの人に読んでほしい友人の白井康彦さんの記事です。

多重債務問題やマルチ商法にいち早く警鐘を鳴らし、
全国を飛び回って、社会的弱者の視点に立って署名記事を書き続けている
白井さんは、わたしが敬愛するジャーナリストです。

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【生活防衛】投資商法
中日新聞 2009年2月12日

 老後の不安 背景に拡大
「うますぎる話」は危険


 高配当をうたって三万人以上の人から千二百六十億円もの資金を集めた東京都新宿区の健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」(L&G)の幹部らが今月五日、組織的詐欺の疑いで警察に逮捕された。高い利回りを約束して資金を集める「投資商法」がはびこっているのを象徴する事件だ。投資商法の現状を追って、消費者の自衛策を考えてみた。 (白井康彦)

■「高配当」 
 L&Gは、バザーなどでさまざまな商品と交換できる疑似通貨「円天」を流通させたり、多くの有名歌手をイベントに登場させたりして「年利36%の配当がある」という話を信じ込ませ、老後の蓄えを一気に失ったような被害者を多数生んだ。
 投資商法は「金を増やせるいい事業がある」とうたって高配当を約束して資金を集める。「利殖商法」とも呼ばれる。手口は年々巧妙化。将来の年金不安や超低金利が長く続いている背景もあって被害者が増えた。
 各地の消費生活センターや国民生活センター(東京)に寄せられた出資関連相談の件数を見ると、二〇〇七年度は〇四年度の五倍ほどになっている(グラフ参照)。
 警察が摘発した近年の事件は▽エビ養殖事業をうたった「ワールドオーシャンファーム」(摘発は二〇〇八年、推定集金額は約八百五十億円)▽IP電話の基地局になれば高配当が得られると宣伝した「近未来通信」(〇七年、約四百億円)▽高利回りを約束して出資金を集めた通信会社「平成電電」(〇七年、約四百九十億円)-など。
 それでも、投資商法の実態に詳しい法律家らは「投資商法のほんの一部の業者が摘発されているにすぎない」と口をそろえる。消費者は「うますぎる話が来たら消費生活センターに相談する」という方針で自衛すべきだ。

■リスク 
 投資商法業者の「絶対安全」という決まり文句を信用するのは禁物。実際は、出資した資金のほとんどを失う危険性(リスク)が大きい。
 業者が「年10%」などという高利の配当を続けるのは至難の業。無理を続ければ、経営は当然苦しくなる。
 業者が経営破綻(はたん)すると、業者の話を信じ込まされた人は悲惨。大規模な被害者弁護団ができても、取り戻せるのは出資した金額の数%程度であることが多い。預金保険制度によって、経営破綻の際にも保護されている銀行預金とはまったく事情が異なる。

■規制強化 
 投資商法の被害を抑えるには行政や立法の措置が求められる。まず、早期摘発に向けて警察や関係省庁の協力を強化する必要がある。
 業者に違法行為で得た収益を吐き出させる「違法収益はく奪」のための法整備や、行政機関が被害者の代わりに悪質業者などに訴訟を起こす「父権訴訟制度」の導入も急ぐべきだと弁護士らは強調する。
 日本弁護士連合会消費者行政一元化推進本部事務局長の石戸谷豊弁護士は「消費者庁を早く作って消費者庁が司令塔になって投資商法被害の対策を検討すべきだ」と話す。

■マルチ型 
 L&Gは、会員が知人などを勧誘して新会員を獲得する手法を使った。商品を扱う通常のマルチ商法は、特定商取引法で連鎖販売取引として規定されており別物だ。しかし、L&Gはマルチ商法の要素を巧みに取り入れ「信じ込まされた人が善意で知人などを勧誘する」という状況を作って組織を膨張させた。
 国民生活センターはこうした手法を「マルチ商法型出資勧誘」と名付け「親しい人から誘われてもきっぱり断るべきだ」「契約後に他の人に出資の勧誘をすると、金融商品取引法違反の刑事罰の対象になるおそれがある」などと警告している。
    × ×
 内閣府は十四、十五両日の午前十時から午後四時まで「マルチ商法110番」を実施する。受け付け電話番号は03・3280・2870(当日のみ)。全国消費生活相談員協会が協力し、消費生活専門相談員がマルチ商法被害についての相談に応じる。
(中日新聞 2009年2月12日)

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【生活防衛】 失業者の確定申告 
中日新聞 2009年2月5日

払いすぎた税金還付
5年以内なら申告可能  源泉徴収票 用意を

 所得税の確定申告のシーズンを迎えた。景気が急速に悪化する中、しっかり理解しておきたいのは「昨年中に失業した人の多くは確定申告をすれば、払いすぎた税金が還付される」という事実だ。どうしてなのか、実際に申告するにはどうすればいいのか、考えてみた。 (白井康彦)
 「確定申告すればほとんどの失業者は還付が受けられるのだから、実行するのが賢明。うちの団体ではそのようにアドバイスしている」。名古屋管理職ユニオン(名古屋市中区)の山上博信委員長は力説する。
 サラリーマンの大半は、勤め先の会社が昨年十二月に年末調整で所得税額を計算してくれていて確定申告が不要。しかし、昨年会社を辞めて失業したまま年を越した人はまったく話が別だ。
 会社は通常、従業員が一月から十二月まで勤務するものとして、源泉徴収税額表を見て、給与や社会保険料などに応じて毎月の所得税額を差し引く。
 年の途中で会社を辞めた場合は、十二カ月働いていないのに十二カ月働いた水準の税額が差し引かれたのだから、税額は多くなることが多い。会社に雇われていた期間が短くて収入が少なかったときは、所得税がゼロになることもある。このため確定申告をして、払いすぎた分を取り戻そうというわけだ。
 申告には、勤めていた会社にもらった源泉徴収票が必要。人によっては生命保険料控除や住宅ローン控除など、これまで年末調整で行ってきた控除も、自分で確定申告すると得になる。確定申告した場合の還付金の額は人によってさまざまだが、多いときは数万円以上になることもある。
 雇用保険の失業手当をもらっている人がありがたいのは、失業手当が非課税であること。これについての申告はしなくていい。
 失業していると気持ちに余裕がないので「確定申告に取り組む時間がない」と考えがち。だが、実際にはこのような還付申告は五年以内に行えばいいことになっている。山上委員長は「再就職したりして落ち着いた状態になってからでも申告できるので、あきらめずに取り組んでほしい」と強調する。
    ×  ×
 所得税の確定申告の受け付けは今月十六日-三月十六日。今回は大半の人が影響を受けるような制度変更は見当たらないが、さまざまな改正点はある。
 主なものは▽自分の居住地以外への寄付が税制上有利に行える「ふるさと納税」制度の創設▽住宅ローン控除の対象に省エネのための改修工事を追加▽メタボ健診を受けて実施される一定の特定保健指導の費用を医療費控除の対象に追加-など。こうした制度の対象者は確定申告を忘れないようにするべきだ。
 確定申告に慣れていない人は、今の時期に書店にずらりと並ぶ確定申告の解説書を読んだりして勉強するとよい。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」は自動計算機能があって便利だ。
(中日新聞 2009年2月5日)


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共同通信の編集主幹をされた原寿雄さんは、友人の原真さんのお父さま。
二度ほどお会いしたことがあり、尊敬するジャーナリストの一人です。
1997年に書かれた『ジャーナリズムの思想』(岩波書店)もとてもよい本だったのですが、
1月20日に、その続編ともいえる本が岩波新書で出ました。


『ジャーナリズムの可能性』(原寿雄著/岩波書店)
■目次 はじめに
序 章 問われるジャーナリズムの権力観
第1章 権力監視はどこまで可能か
第2章 強まる法規制と表現の自由
第3章 ジャーナリズムの自律と自主規制
第4章 放送ジャーナリズムを支えるもの
第5章 世論とジャーナリズムの主体性
第6章 ジャーナリズムは戦争を防げるか
第7章 ジャーナリズム倫理をいかに確立するか
終 章 ジャーナリズムをいかに再生させるか


序章から、読売新聞グループ主筆の渡邊恒雄を厳しく批判、
終章まで、権力と対峙して自省的にジャーナリズムの現状の危機を論じていて、
読みごたえがあります。

『ジャーナリズムの可能性』(原寿雄著/岩波書店)

 高まるメディア不信―いま「報道の力」を問い直す
 著者の原さんは、1997年に岩波新書『ジャーナリズムの思想』を刊行されました。この本は、国内外の様々な事例を取り上げながら「そもそも、ジャーナリズムとは何か」という本質的な問題について、豊富な現場体験をもとに考えたものです。ジャーナリズムを知るため、考えるための基本書として、現在も広く読まれています。
 前著から10年余り。本書『ジャーナリズムの可能性』では、前著以降のメディアをめぐる動きを鋭くとらえています。そこに描かれた事例を見れば、マスメディアの劣化は深刻だと感じざるをえません。権力との癒着、権力に対する鋭い批判の不在、事件が起きるとメディアがこぞって押し寄せるメディアスクラムの横行、事件の容疑者や加害者に対する激しいバッシング一辺倒の報道、強まる自己検閲、捏造や盗用の不祥事などなど。
 また、メディア状況にも大きな変化が訪れています。これまで不特定多数に情報を発信できるのはマスメディアに限られていましたが、現在では、インターネットが普及し、マスメディアに頼らずとも情報を素早く受け取ることができます。また、個人がブログなどを使い、多くの人に向けて情報を発信できる時代となっています。
 こうした状況にあって、マスメディアに対する不信は高まりつづけ、「もうマスメディアなどは要らない」「マスメディアは役割を終えた」という声さえも聞こえてきます。いま、マスメディアは、報道は、何を目指すべきなのでしょうか。
 原さんは、いまこそジャーナリズムの原点に返って、マスメディアがジャーナリズムを積極的に取り戻すべきだと強く主張します。なぜジャーナリズムが必要なのか、ジャーナリズムが再生するために何が必要なのか、いま何をすべきかのかなど、鋭い提言が本書にはたくさん盛り込まれています。そこには、ご自身が長年にわたってジャーナリストとして活動され、そして、現在もメディアの問題をご自身の問題としてとらえている、原さんの強い問題意識が感じられます。基本書である前著『ジャーナリズムの思想』の、いわば「応用編」といえるのかもしれません。
 現役の記者、報道関係者などメディアに携わる人はもちろんですが、日々メディアに接し、情報を受け取っている一般の方々にも広く読んでいただければと思います。メディアを見る眼を鍛えること、そのこともジャーナリズムを取り戻すための大切な一歩だと感じます。


関心のある方は、ぜひ手にとってお読みください。

オマケは、前述の友人の原真さんの本です。


『巨大メディアの逆説』(原真、リベルタ出版:2004)

メディアやインターネットの問題点や今日的課題を
すでに2004年にこの本で指摘しています。
 

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