みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

ほんとに安全なの?「日本における放射線リスク最小化のための提言」(ドイツ放射線防護委員会)

2011-04-05 21:21:22 | 地震・原発・災害
福島第一原発からの「高レベル」放射性汚染水は、3日目になっても垂れ流し。
東電は苦肉の策として「低レベル」汚染水を放出して、
そこに「高レベル」放射性汚染水を入れるという案を出し、
原子力「安全」保安院も了解して、昨夜から放水が始まっています。

東日本大震災:福島第1原発事故 低濃度汚染水、
海に放出 高濃度の保管先確保(毎日新聞 2011年4月5日)


これで、海がさらに汚染されることは確実になり、
漁業関係者と消費者に不安と怒りが広がっています。
そんな中、茨城県でとれた(イカナゴの稚魚)から
暫定規制値(1キログラムあたり500ベクレル)を超える
526ベクレルの放射性セシウムを検出されたそうです。

いままで魚類には「暫定規制値」がなかったので、
とりあえず、野菜と同じ規制値にしたそうです。

「暫定規制値」というのは、文字通り「暫定的な(とりあえずの)」規制値で、
チェルノブイリ原発事故でも、直後は緊急時ということで高く設定し、
ちょっと数値が落ち着いてきたら、低くしていったという経過があります。
というわけで、「暫定規制値」とは、けっして「食べても安全」な数字ではないのです。

ではどれくらいならだいじょうぶなのか。
放射線の被ばくはこれ以下なら安全という「閾値(いきち/しきいち)」がないというのが通説で、
放射線の低線量被ばくの害も指摘されており、少なければ少ないほどよいのです。

低線量被ばくの人体への影響について:近藤誠・慶応大(On 2011年4月5日)

放射線被ばくの規制が厳しいドイツの、「ドイツ放射線防護委員会」というところが、
「日本における放射線リスク最小化のための提言」を出していますので参考にしてください。

これを翻訳しているのは、岐阜の放射線医学の専門医・松井英介さんと
嘉指信雄さん(NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表)のチーム。

提言は、 NO DUヒロシマ・プロジェクト/ウラン兵器禁止を求める国際連合(ICBUW)
ヒロシマ・オフィス
のホームページにアップされたものを転載させていただきました。

「日本における放射線リスク最小化のための提言」(ドイツ放射線防護委員会)
本提言の厳しい内容と比べると、日本政府によって出されて来ている様々な指針・見解は、いかに放射線リスクを過小評価したものかが際立ちます。….内部被曝を含めた放射線リスクの見直しの一助となることを心より願います。
----------------------------------------------------------------------------

ドイツ放射線防護協会 www.strahlentelex.de
Gesellschaft für Strahlenschutz e.V.

2011 年3 月20 日
日本における放射線リスク最小化のための提言
ドイツ放射線防護協会と情報サービス放射線テレックスは、福島原発事故の発生後の日本において、放射線核種[いわゆる放射性物質:訳者注]を含む食物の摂取による被ばくの危険性を最小限に抑えるため、チェルノブイリ原発事故の経験をもとに下記の考察・算定を行い、以下の提言を行う。
1.放射性ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面、汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念することが推奨される。
2.評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kgあたり4 ベクレル〔以下 Bq:訳者注〕以上のセシウム137 を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。成人は、1kg あたり8Bq 以上のセシウム137 を含む飲食物を摂取しないことが推奨される。
3.日本での飲食物の管理および測定結果の公開のためには、市民団体および基金は、独立した放射線測定所を設けることが有益である。ヨーロッパでは、日本におけるそのようなイニシアチブをどのように支援できるか、検討すべきであろう。

考察と算定
以下の算定は、現行のドイツ放射線防護令の規定に基づいている。
飲食物を通じた放射性物質の摂取は、原子力災害後、長期間にわたり、身体にもっとも深刻な影響を与え続ける経路となる。日本では、ほうれん草1kg あたり54,000Bq のヨウ素131 が検出されたが、こうしたほうれん草を100g(0.1 ㎏)摂取しただけで、甲状腺の器官線量は次のとおりとなる(*1)。

乳児(1 歳未満):甲状腺線量20 ミリシーベルト〔以下 mSv:訳者注〕(*2)
幼児(1~2 歳未満):甲状腺線量19.4mSv(*3)
子ども(2~7 歳未満):甲状腺線量11.3mSv(*4)
子ども(7~12 歳未満):甲状腺線量5.4mSv(*5)
2
青少年(12~17 歳未満):甲状腺線量3.7mSv(*6)
大人(17 歳以上):甲状腺線量2.3mSv(*7)
2001 年のドイツ放射線防護令第47 条によれば、原子力発電所通常稼働時の甲状腺器官線量の限界値は年間0.9mSV であるが、上に述べたような日本のほうれん草をわずか100g 摂取するだけで、すでに何倍もこの限界値を超えることになる。原発事故の場合には、同第49 条によれば、甲状腺線量は50mSv まで許容されるが、これはいわゆる実効線量7.5mSv に相当する(*8)。
それゆえ日本国内居住者は、当面、汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取を断念することが推奨される。
ヨウ素131 の半減期は8.06 日である。したがって、福島原発の燃焼と放射性物質の環境への放出が止まった後も、ヨウ素131 が当初の量の1%以下にまで低減するにはあと7 半減期、つまり2 ヶ月弱かかることになる。54,000Bq のヨウ素131 は、2 ヵ月弱後なお約422Bq 残存しており、およそ16 半減期、つまり4.3 ヶ月(129 日)後に,ようやく1Bq 以下にまで低減する。

長期間残存する放射性核種
長期的に特に注意を要するのは、セシウム134(半減期2.06 年)、セシウム137(半減期30.2 年)、ストロンチウム90(半減期28.9 年)、プルトニウム239(半減期2 万4,400 年)といった、長期間残存する放射性物質である。
通常、2 年間の燃焼期間の後、長期間残存する放射性物質の燃料棒内の割合は、セシウム137:セシウム134:ストロンチウム90:プルトニウム239=100:25:75:0.5である。
しかしチェルノブイリの放射性降下物では、セシウム137 の割合がセシウム134 の2 倍にのぼるのが特徴的であった。これまでに公表された日本の測定結果によれば、放射性降下物中のセシウム137 とセシウム134 の割合は、現在ほぼ同程度である。ストロンチウム90 およびプルトニウム239 の含有量はまだ不明であり、十分な測定結果はそれほど早く入手できないと思われる。福島第一原発の混合酸化物(MOX)燃料は、より多くのプルトニウムを含んでいるが、おそらくそのすべてが放出されるわけではないだろう。ストロンチウムは、過去の原発事故においては、放射性降下物とともに比較的早く地表に達し、そのため事故のおきた施設から離れるにつれて、たいていの場合濃度が低下した。したがって、今回の日本のケースに関する以下の計算では、セシウム137: セシウム134: ストロンチウム90: プルトニウム239 の割合は、100:100:50:0.5としている。
したがって、2001 年版ドイツ放射線防護令の付属文書Ⅶ表1 にもとづく平均的な摂取比率として、1kg につき同量それぞれ100Bq のセシウム137(Cs-137)とセシウム134(Cs-134)、およびそれぞれ50Bq のストロンチウム90(Sr-90)と0.5Bq のプルトニウム239(Pu-239)に汚染された飲食物を摂取した場合、以下のような年間実効線量となる̶̶
乳児(1 歳未満):実効線量6mSv/年(*9)
3
幼児(1~2 歳未満):実効線量2.8mSv/年(*10)
子ども(2~7 歳未満):実効線量2.6mSv/年(*11)
子ども(7~12 歳未満):実効線量3.6mSv/年(*12)
青少年(12~17 歳未満):実効線量5.3mSv/年(*13)
成人(17 歳以上):実効線量3.9mSv/年(*14)
現行のドイツ放射線防護令第47 条によれば、原子力発電所の通常稼働時の空気あるいは水の排出による住民1人あたりの被ばく線量の限界値は年間0.3mSv である。この限界値は、1kg あたり100Bq のセシウム137 を含む固形食物および飲料を摂取するだけですでに超過するため、年間0.3mSv の限界値以内にするためには、次の量まで減らさなければならない。
乳児(1 歳未満):セシウム137 5.0Bq/kg
幼児(1~2 歳未満):セシウム137 10.7Bq/kg
子ども(2~7 歳未満):セシウム137 11.5Bq/kg
子ども(7~12 歳未満):セシウム137 8.3Bq/kg
青少年(12~17 歳未満):セシウム137 5.7Bq/kg
成人(17 歳以上):セシウム137 7.7Bq/kg
評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kg あたり4Bq 以上の基準核種セシウム137 を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。
成人は、1kg あたり8Bq 以上の基準核種セシウム137 を含む飲食物を摂取しないことが推奨される。
国際放射線防護委員会(ICRP)は、そのような被ばくを年間0.3mSv 受けた場合、後年、10万人につき1~2 人が毎年がんで死亡すると算出している。しかし、広島と長崎のデータを独自に解析した結果によれば(*15)、その10 倍以上、すなわち0.3mSv の被ばくを受けた10 万人のうち、およそ15 人が毎年がんで死亡する可能性がある。被ばくの程度が高いほど、それに応じてがんによる死亡率は高くなる。
(注)・・・・(略)・・・・
[付記:チェルノブイリ原発事故後の経験に基づいてなされた本提言の厳しい内容と比べると、日本政府によって出されて来ている様々な指針・見解は、いかに放射線リスクを過小評価したものかが際立ちます。本提言は、3 月20 日の時点で出されたものであり、また、日本での地域的な違いが考慮されていないなどの制約があるかと思いますが、内部被曝を含めた放射線リスクの見直しの一助となることを心より願います。なお、*イタリック部分は、原文の意図を表現するため、ドイツ側関係者の了承のもと訳者が追加したものです。
この日本語訳は、呼びかけに直ちに応じてくださった以下の方々のご協力で完成したものです。心よりお礼申し上げます。ただし、翻訳の最終的責任は松井(英)と嘉指にあります。
(敬称略・順不同)内橋華英、斎藤めいこ、佐藤温子、杉内有介、高雄綾子、中山智香子、本田宏、
松井伸、山本堪、brucaniro、他二名。
松井英介(岐阜環境医学研究所所長)
嘉指信雄(NO DU ヒロシマ・プロジェクト代表)]


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ここからは美しい花たち。
ピンク雪柳
   

  

雪柳
   

芝桜
  

口紅水仙
   

スノードロップ
   

香り水仙
   

連翹(レンギョウ)
   

明日は、大好きなもくれんの花を紹介します。
寒さに会わないか心配していたのですが、今年も見事に咲来ました。



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4月4日(月)のつぶやき

2011-04-05 01:25:05 | 花/美しいもの
07:58 from web
RT @cyberbloom: TF1:仏の原子力安全機関には専門家が集まり、東京からラジオ会議で情報を集めて分析している。放射能雲の動きと落ちてくる物質の量を細かく計算。日本人は知らないが、事故直後から24時間体制を敷いている。仏TVで初めて公開。…日本はどうなの? h ...
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RT @HoshikawaJun: 出た! ドイツ気象庁による(福島原発事故放射線)粒子拡散シュミレーションの日本語訳→ http://www.witheyesclosed.net/ 地図はクリックすると拡大。今日から6日にかけては沖縄まで西日本全域が…
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RT @wansmt: 4月16日大阪で反原発デモ:原発いらん!関西行動(雨天決行)集まろう!中之島歩こう!詳細はコチラを→http://wan.or.jp/information/index.php/event_show?id=878
16:42 from web
枝野さんの会見。気象庁は放射能の拡散予測をしていたのに、公表しなかったとのこと。国民には事実を知らせたくないのでしょう。情報は隠せば隠すほど不信感と疑念が深まるということをご存じないのでしょうか。それとも事実をみたくない・・・。
21:29 from Tweet Button
ぎふの桜(ソメイヨシノ)満開に。しだれ桜は咲きはじめ/福島原発:「天災ではない」佐藤栄佐久・前知事?#goo_midorinet002 http://t.co/FcY4WHG
by midorinet002 on Twitter
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