特別養護老人ホーム(特養)に入所を希望しながら待機している人が、
厚生省の調査で52万人を超えました。
消費税が8パーセントにあがっても、
高齢者など社会的弱者の政策はすすんでいません。
政府は、「施設ではなく在宅に」と言っていて、
それが当事者の高齢者のため、ならよいのですが、
どう考えても、増え続ける高齢者に税金を投入したくないから、
手厚い高齢者福祉をする気がないとしか思えません。
関連の、昨日の新聞各紙の社説です。
社説:高齢者の負担増 政治が先送りしたツケ 毎日新聞 2014年04月07日 たしかにお年寄りには肌寒い春である。70〜74歳の医療費の窓口負担が1割から2割へ引き上げられ、年金は過去の物価下落分(0.7%)の引き下げが今月から行われる。「これでは消費増税の意味がない」との批判も国会で聞かれるが、短慮はいけない。何年もかかって各党が議論を重ね、たどり着いた社会保障改革なのだ。再び政争の具にしては新たな停滞を生むだけである。 70〜74歳の2割負担は小泉政権下の医療制度改革で決められ、2008年度から実施されるはずだった。ところが07年参院選で自民党が大敗したため実施できず、民主党政権になってからも見送られてきた。やむを得ず毎年2000億円の補正予算を組んで財源を確保してきたのだ。 公的年金は物価や賃金の変動に応じて年度ごとに支給額が改定されることになっているが、過去に物価が下落した際に支給額を据え置いたことで、現在は本来よりも1.5%高い水準で支払われている。それを民主党政権時の法改正で段階的に特例水準を解消することになった。 いずれも批判を恐れた時の政権が高齢者に厳しい改革を実施できなかったのだが、もうツケの先送りはできない。最も人口が多い団塊世代がすでに年金受給年齢となり、あと3年すればこの世代が70歳を超え始める。個人差はあるが医療費が顕著に増えるのは平均75歳ごろからで、その前に本来の改革案を実行しなければならないというわけだ。 国民皆保険・皆年金が始まった1960年代に比べ、男女とも寿命が10歳前後延び、健康でいられる年齢も延びている。社会を支える若年層が急激に減っていくことを考えれば、健康寿命の延びに合わせて医療保険や年金制度を変えるのは当然である。また、世代内の経済格差が大きいのが高齢層の特徴だ。生活保護を受給する人が多い一方で、経済的に余裕のある人には応分の負担をしてもらわなければ社会がもたない。税制を含めて多くの世代が納得感を持てる負担のあり方を考えていかねばならない。 もう一つ指摘したいのは、医療に対する考え方である。幻覚やうつなど認知症の周辺症状を改善することはできても、現在の医学では認知症そのものを治すことはできない。認知症の人の介護や生活支援も医療の本来の仕事ではない。にもかかわらず、地域の受け皿がないために大勢の人が病院に入っている。 認知症に限らず、複数の持病がある高齢者に必要なのは高コストの医療よりも、むしろ介護や看護である場合が多い。私たちは医療に頼り過ぎてきたのではないだろうか。窓口負担増を機に考えてみたい。 |
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【社説】特養待ち増加 あらゆる受け皿つくれ 2014年4月7日 中日新聞 特別養護老人ホーム(特養)への入居を待つ高齢者が五十二万人を超えた。四年前の前回調査から約十万人増えた。進む高齢化に整備が追いつかない。幅広く受け皿を増やすべきだ。 特養は常時介護が必要で在宅での生活が難しい人向けの施設だ。二十四時間介護を受けられる上、費用も高額ではないため入居を希望する人は多い。 全国に七千八百施設ある。定員も前回調査の二〇〇九年から七万五千人増えたが、待機者は増え続けている。うち入所の必要性が高い要介護4と5の人で、在宅で入居を待っている人は八万六千人いる。 待機者は東京都で四万三千人、岐阜県が一万七千人、静岡県が一万四千人、愛知県が一万一千人、石川県は三千八百人いる。 特養は整備費を補助する行政の財政を圧迫している。都市部では土地の確保も難しく、整備が進まない理由にもなっている。 政府の規制改革会議は、施設増に向け主に社会福祉法人しか特養を運営できない規制を緩め株式会社の参入を議論している。厚生労働省は介護の最後のよりどころである特養の運営は公益性の高い社会福祉法人が適当と考えている。 だが、在宅や通所サービスには株式会社やNPOが参入している。参入拡大を探る価値はある。 遠隔地の施設に入る「移住介護」も本人の意向を尊重しながら検討する必要がある。認知症グループホームや介護老人保健施設など特養以外の施設の整備も要る。 本人が望む介護が受けられなかったり、家族が介護に疲弊する現状こそ問題である。施設をどう増やすかに知恵を絞ってほしい。 高齢化に施設整備だけでは限界がある。厚労省は在宅での介護・医療サービスを充実させる考えだ。自宅を「ついのすみか」にしたいとのニーズは高い。最大の受け皿は在宅介護である。この分野に人材を集め、住宅拡充などと合わせサービスの充実を図るべきだ。 特養にも在宅の高齢者を一時的に短期間受け入れるショートステイがある。すぐに利用できたり長期間滞在できたりすれば在宅で生活を支えられる。在宅生活での安心感が広がれば特養のニーズも減るだろう。 社会保障の財源は四月から引き上げられた消費税だけではない。政府は予算を組み替えてでも財源を確保すべき喫緊の課題である。 さまざまな方策を駆使して介護・医療の体制を整えるべきだ。 |
社説:特養待機者急増 在宅支援の拡充が不可欠だ 2014年04月07日 読売新聞 52万4000人――。厚生労働省の調査で明らかになった特別養護老人ホームの入居待機者の数だ。4年前の調査より10万人以上増えた。 待機者の解消に力を注がねばならない。 待機者数は、全国の特養ホームの総定員数、つまり入居者数とほぼ同じだ。定員は増えているが、高齢化に伴う需要増に供給が追いついていないのが現状である。 特に問題なのは、要介護4、5の重度者でありながら、自宅で待機している人が8・7万人にも達していることだ。 政府は、2015年度から特養の入居要件を要介護3以上に限定する介護保険法改正案を今国会に提出している。 入居の必要性が高い人に対象を絞り込むのは、やむを得まい。 特養は24時間介護が受けられる上、有料老人ホームなどに比べて低料金であるため、入居希望者が多い。低所得の要介護者が入れる施設は、特養にほぼ限られる。 だが、介護保険の対象サービスの中でも特養の費用は割高で、国や自治体の財政負担は重い。多額の建設費が必要なこともあり、整備はなかなか進まない。 特に、地価が高い大都市部では、用地取得が困難で、特養の新設は、より難しい。首都圏などに待機者が多いゆえんである。 統廃合された学校の跡地利用や、マンションの一部フロアでの開設など、自治体は、特養向けの用地や建物の確保に知恵を絞ってもらいたい。 特養の大幅な増設が容易でないことを考えれば、受け皿となる在宅介護サービスの充実が、ますます重要な課題となろう。 住み慣れた地域で暮らし続けたいと願う高齢者は多い。施設頼みを脱し、在宅生活を安心して続けられる環境整備が求められる。 具体的には、医療・介護サービスが夜間も含め、一体的に提供される体制が必要だ。厚労省と自治体は、24時間対応の訪問介護・看護や在宅医療の拡充を進めなければならない。 在宅生活を支えるには、見守りや配食、買い物などの生活支援も不可欠である。費用を抑えつつ適切なサービスが提供されるよう、自治体はボランティアやNPO、民間企業などの活用に、積極的に取り組むべきだ。 介護の担い手確保も懸案となっている。介護職員の賃金は、責任の重さや厳しい労働条件の割には低水準で、早期の離職者が多い。処遇改善が急務である。 |
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