夫婦別姓と女性の再婚禁止期間の民法の二つの規定をめぐり、
16日、最高裁が判決を出した。
民法の「夫婦同姓」については合憲、
女性の再婚禁止期間については違憲と判断は分かれた。
昨日まで出かけていて、最高裁の判決は出先の「号外」で読んだ。
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16日、最高裁が判決を出した。
民法の「夫婦同姓」については合憲、
女性の再婚禁止期間については違憲と判断は分かれた。
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社説:時代に合わせ柔軟に 家族と法と最高裁 2015年12月17日 中日新聞 夫婦別姓と女性の再婚禁止期間をめぐって最高裁の初判断が出た。社会事象への考え方が多様化する中で、時代に合わせた立法が必要といえよう。 結婚のとき、じゃんけんで姓を決めたと聞いて問い合わせると事実は違った。日本ユニセフ協会会長の赤松良子さんの場合である。 「二人で話し合った結果、戸籍上は私の名字にすることに決めました。夫は旧姓をペンネームとして使っていました」 赤松さんは旧労働省の局長時代に男女雇用機会均等法を制定する中核役を果たした人だ。文相を務めたこともある。姓をどうするかは、話し合いで決められる。 夫婦別姓の議論深めて じゃんけんでも決められる。民法では「夫か妻の姓を名乗る」と定められているだけで、夫の姓を強制されるわけではない。この規定だけでは男女差別とはいえまい。夫婦別姓を求めた今回の裁判で、最高裁大法廷は「家族は社会の基礎的な集団単位で呼称を一つに定めることは合理性がある」とし、民法の規定は「合憲」との立場をとった。 問題なのは、どちらかの姓を強制されてしまう点だ。96%が「夫の姓」を選んでいる。女性が「自分の姓で生きたい」という願いを持った場合、法律婚は事実上、無理で、届け出をしない事実婚を選ばざるを得ない。 だが、事実婚では、税法上の扶養家族になれず、配偶者控除などの適用外となる。相続の場合にも難しい立場に置かれる。経済的に負担となるのだ。 だから、夫の姓を選んだ上で、旧姓を通称として使ったりする。会社など勤め先でも、それを認めるケースは増えた。ただし、その場合でも、新規につくる銀行口座や健康保険証、運転免許証などでは通称は使えない。差別的だと考えるのも理解できる。議論を進めねばならないテーマだ。 再婚禁止そのものは? 姓名とは個人を他人と区別する識別標であるには違いない。個人の人格の象徴としてみれば、人格権の一要素をなしているのだろう。姓を個人の意思に反して奪うとなれば、利益を失うこともある。海外でも夫婦同姓を義務づける国は、今ではほとんどない。 法制審議会が一九九六年に希望すれば各自の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓制度」を答申したのも、そうした背景がある。冒頭の赤松さんは「私は女性が長く職業を続けることが大事だと思っています」と語っている。 「結婚したら、どちらかが名前を変えなければいけないというのは、仕事を続ける上で迷惑なことと思います。夫婦同姓にしたり、別姓にしたり、選べるようにしたらよいのではないでしょうか。民法で姓を変えることを強制しないでほしい」 明治民法では「家制度」が根幹にあった。夫の姓が当たり前の時代だった。「家族の一体感が失われる」などの意見は、この発想の延長線上にあるのかもしれない。だが、今や社会はグローバル化し、価値観も多様化している。選択的夫婦別姓など二十一世紀にふさわしい制度を立法府は早く構築すべきであろう。 女性の再婚期間の禁止規定についても同じことがいえる。最高裁が「百日超の禁止は違憲」としたのも、半年間が長すぎるからだ。 再婚禁止制度は古代ローマ法にその起源があるとされる。夫が亡くなったとき、服喪期間という意味があった。明治民法においては「血統の混乱を避ける」という意図があったらしい。 妊娠の事実を知らずに再婚することがありうるので、医師でなくとも妊娠の有無がわかる「半年間」という制限を戦後の民法も、そのまま踏襲していた。 今回、再婚禁止を「百日」としたのは、父親を推定する民法規定と関係する。「離婚後三百日以内に生まれた子は前夫の子」「婚姻後二百日後に生まれた子は現夫の子」とする二つの定めがあり、重複するのを避けたのだ。 むしろ立法府で議論すべきなのは、再婚禁止の規定そのものをなくすかどうかだ。確かに規定には、子どもの父が誰かをめぐる紛争を未然に防ぐ意味はあろう。だが、例えば離婚時に妊娠していないことを証明するなど、その代替機能を担える方法はある。世界的には再婚禁止期間を設けない国が多くなっている。 子どもの視点も必要だ 地球規模で性差別の撤廃をめざす大潮流がある。日本でも女性の活躍が大きな政策課題だ。最高裁の違憲判決によって、民法は改正せざるを得なくなる。その際には、女性はむろん、子どもの利益に立った発想が必要である。 法律は生きている。人々のいとなみと合致するよう柔軟な手直しが求められる。 |
社説:夫婦同姓は合憲 国会は見直しの議論を 2015年12月17日 毎日新聞 この判決が、国会の現状にお墨付きを与えたと解すべきではない。 最高裁大法廷は、民法の夫婦の別姓を認めない規定を「合憲」、離婚後の再婚を女性だけ6カ月間禁じる規定を「100日を超える部分は違憲」と判断した。 ともに明治時代から続く規定だ。夫婦別姓を認めない規定について大法廷は「姓を改める者がアイデンティティーの喪失感を抱いたり、女性が不利益を受けたりする場合が多いことが推認できる」としつつ、「姓の通称使用が広まることで一定程度は緩和され得る」と指摘した。 最高裁は踏み込み不足 裏返せば一定程度の不利益は甘受しろ、ということだろうか。こうした主張が、特に女性の理解を得られるのかは極めて疑問だ。 判決は、立法府である国会での議論を促した。同姓と併せ、「各自の結婚前の姓」を選べる選択的夫婦別姓制度についても「合理性がないと断ずるものではない」と言及した。 家族のあり方は、国民生活の基礎になる。国会は国民の声も聞きながら、本腰を入れて法律の見直しの検討を始めるべきだ。 夫婦同姓を定めたのは、1898年に施行された旧民法だ。「妻は婚姻により夫の家に入る」との家制度が背景にあった。第二次大戦後、家制度は廃止されたが、夫婦同姓の規定は残った。現在の民法は、婚姻の際、「夫または妻の氏を称する」と定める。中立的な規定だが、実際には夫の姓を選ぶ夫婦が約96%だ。 女性の社会進出が進み、「姓を変えない自由も認めてほしい」と訴える女性が出てきた。法制審議会は1996年、選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案をまとめた。だが、長く与党として政権を担当してきた自民党内には「別姓は家族の一体感を損なう」との反対論が強く、議論は棚上げされてきた。民主党政権下でも動かなかった。 家族が社会を構成する大切な単位であることは間違いない。だが、姓が異なることで家族のつながりが揺らぐという考えには同意しがたい。 婚姻届を出さない事実婚も増えているが、家族の一体感が損なわれているわけではない。夫婦が同姓であっても離婚は毎年20万件以上ある。 結婚するカップルの3割弱はどちらかが再婚だ。未婚やシングルマザーも増えている。時代は変化し、家族のかたちは多様化している。 改めて確認したいのは、選択的夫婦別姓制度は、同姓を選びたい夫婦の意思も尊重するということだ。毎日新聞が今月実施した世論調査では、選択的夫婦別姓制度が認められた場合も「夫婦で同じ名字」を選ぶと考えている人は73%に上り、「別々の名字」は、13%にとどまった。 意に反して妻の姓に変える夫も含め、別姓を望む少数者の人権は尊重されなくていいのか。この問題の本質はまさにそこにある。 判決が「婚姻の際に姓の変更を強制されない自由は、憲法で保障される人格権とまではいえない」と判断したのは残念だ。 15人中5人の裁判官は違憲と判断した。3人の女性裁判官はいずれも違憲だ。その3人が「96%の女性が夫の姓を称するのは、女性の社会的経済的な立場の弱さ、家庭生活における立場の弱さであり、現実の不平等と力関係が作用している」と、個別の意見を述べた。社会全体、特に男性は重く受け止めるべきだ。 再婚禁止期間も不合理 女性の半年間の再婚禁止も明治時代に作られた規定だ。判決が「100日を超える部分」を違憲としながら、「100日の再婚禁止期間は合理的だ」と判断したのは疑問だ。 この規定は、女性に離婚直後の結婚を認めた場合、すぐに生まれた子供が前夫の子か現在の夫の子か推定が難しくなることが理由だった。前夫の子を妊娠していないとはっきりするまでは再婚すべきではないという考え方も背景にあった。 だが、現在では科学の進歩などで父親の特定は可能だ。科学的な鑑定が家族を決定づけるすべてではないが、女性だけが長期間待たされる根拠は薄くなっている。 判決では多くの裁判官が「離婚後100日以内であっても、父親の推定が重複するケースは限られている」と指摘した。ならば女性全体に必要以上の制約を強いる規定は廃止するのが筋ではないか。 民法は別の規定で「離婚後300日以内の子は前夫の子」と定める。夫の暴力から逃げている女性に別の男性との間の子供ができた場合、この嫡出推定を避けるため出生届を出さず、子供が無戸籍に陥る問題が最近、クローズアップされている。 民法の見直しでは、その問題の解決策も併せて議論すべきだ。 国会の責任は大きい。家族の問題は、伝統や慣習、国民意識などを抜きに制度変更するのは難しい。だが、法制審の提案から19年間議論をたなざらしにしている間に、海外の多くの国が夫婦同姓規定や女性の再婚禁止期間の規定を見直した。 この間、この二つの規定について、国連の女性差別撤廃委員会などが繰り返し廃止を勧告してきたことも見過ごせない。国際社会の潮流も見据えて議論してもらいたい。 |
(社説)「夫婦同姓」の最高裁判決 時代に合った民法を 2015年12月17日 朝日新聞 婚姻や家族のあり方は時代とともに変わるものである。国の制度は現実に合っているか。個人を尊ぶ社会を築くためには、不断の見直しが欠かせない。 明治時代から続く民法の二つの規定をめぐり、最高裁がきのう判決を出した。問われたのは、憲法が定める「個人の尊重」と「両性の平等」に合うかどうかである。 結婚すると夫婦どちらかの姓を選ばなければならないとする750条について、合理性を認め、合憲とした。 男女の役割などが多様化し、家族像が大きく変化しているなか、この判決は時代に逆行する判断と言わざるを得ない。夫婦別姓を認めないことで、多くの不平等が生まれている現実を直視しているのか疑問である。 一方、女性だけに離婚後6カ月は再婚できないと定める733条がある。これについては、100日を超える部分が男女平等に反し、違憲だとした。 いずれの規定も1898(明治31)年施行の明治民法で定められた。戦後、基本的人権の尊重をうたった日本国憲法の下で新しい民法ができたが、二つの規定はそのまま残り、120年近く続いてきた。 再婚禁止規定は、生まれてくる子どもの父親が誰かという混乱を防ぐためにつくられた。しかし、医学が発達し、DNA型鑑定で親子関係がわかる時代を迎え、女性にだけ再婚禁止を課す根拠は揺らいでいた。 やっと禁止期間を短くすることは、司法による一定のチェック機能が働いたといえるが、それでも、今の時代に規定自体が必要なのかとの議論も残る。 新たな時代の民法はどうあるべきか、国会は真剣に論議を進めるべきである。 ■憲法の番人の役割は 夫婦同姓を定める規定については5人の裁判官が、両性の平等などを定めた憲法24条に反すると述べた。3人の女性裁判官は、夫婦の96%が夫の姓を名乗るという不平等が起きている現実を踏まえ、「夫婦が別の氏を称することを認めない点で合理性を欠く」と指摘している。 「通称使用で不都合が一定緩和されている」などという理由で合理性を認めた多数意見は、およそ説得力に欠ける。 結婚後も夫婦が望めば別々の姓を選べる。そんな制度を盛った改正案を法制審議会がまとめたのは1996年のことだ。 しかし、「家族の崩壊につながる」などと保守系議員らが反対し、20年近くたっても実現の見通しは立っていない。 「結婚後も同じ姓で生き、同じ姓で死にたい」。そんな思いを抱えながら、苦しんできた人たちが、司法に救済の場を求めたのが今回の裁判である。 選挙で選ばれた代表でつくる国会が法改正を実現するのが民主主義の筋道ではある。しかし、一人ひとりの人権を多数決で奪うことはできない。 立法という民主的な政治過程を通じた解決が困難なとき、救済の手をさしのべるのが「憲法の番人」の役割であるはずだ。 ■国際的な流れをみよ 夫婦同姓の規定を最高裁が合憲としたことは、法改正に動かない政治への免罪符にはならない。別姓を選べる制度に合理性がないとしたわけではない。 判決は「選択的夫婦別姓のような制度のあり方は国会で論ぜられ、判断されるべきことだ」と述べている。この言葉を国会議員一人ひとりが、党派を超えて真剣に受け止めるべきだ。 国際社会の見る目は厳しい。日本政府は85年に国連の女性差別撤廃条約を批准したが、国連女性差別撤廃委員会から改正するよう勧告を受けてきた。 海外では、夫婦同姓を法律で義務づけている国はほとんどない。タイではかつて「結婚した女性は夫の姓を使う」と法律で定めていたが、憲法裁判所の違憲判断を機に05年に選択的夫婦別姓が導入されている。 国際的な流れをみても法改正に向けた議論を始めるときだ。 朝日新聞社の11月の世論調査では、選択的夫婦別姓に賛成は52%で、反対の34%を上回り、20~50代のどの年代でも6割前後が賛成だった。若い世代になるほど抵抗感が少ない。 ■女性に強いられる壁 女性の社会進出は進み、家族の形は多様化した。結婚したカップルの3組のうち1組が離婚する時代。男性が働き、女性が家事をするという家族モデルが時代に合わなくなって久しい。 ところが、姓を変えずに事実婚を選んだ人たちが様々な壁で苦労している。配偶者として相続人になれず、子どもが生まれても共同で親権を持つことができない。そんな女性たちの不利益をこれからも政治が放置し続けることは重大な怠慢である。 家族をめぐっては、無戸籍児など民法の規定が想定していなかった様々な問題が生じている。親や子どもが生きやすい社会にするには、民法をどう見直していくべきか。今回の判決を機に議論を深めていきたい。 |
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(時時刻刻)夫婦同姓規定、15人中5人「違憲」 最高裁 2015年12月17日 朝日新聞 姓についての制度のあり方は国会で論じ、判断するものだ――。民法の「夫婦同姓」を合憲とした最高裁大法廷の判決は、「選択的夫婦別姓」を含めた議論を国会に促した。15人の裁判官のうち、3人いる女性全員を含む5人は、違憲だとする意見を述べた。だが、この問題に向き合うべき政治の腰は重い。 ■「男女平等に根ざさぬ」3女性裁判官 「旧姓の通称使用で緩和」多数意見 5人の裁判官は、女性の社会進出などの時代の変化を踏まえて、この規定の問題点を指摘した。 岡部喜代子裁判官は「制定当時は合理性があったが、女性の社会進出は近年著しく進んだ」と指摘。「改姓で個人の特定が困難になる事態が起き、別姓制度の必要性が増している」と述べた。この意見には桜井龍子、鬼丸かおるの2人の女性裁判官も賛同した。桜井氏は旧労働省出身で、官僚時代は旧姓を通称として使用していたが、最高裁判事に就任後、裁判所の決まりに従って戸籍名を使っている。 10人の裁判官による多数意見が「旧姓の通称使用で緩和できる」としたことに、3人の女性裁判官は反論した。「(改姓が原因で)法律婚をためらう人がいる現在、別姓を全く認めないことに合理性はない」。女性のみが自己喪失感などの負担を負っており、例外規定を認めないことは憲法が保障する「個人の尊重」や「男女の平等」に根ざしていない、と断じた。 一方、弁護士出身の木内道祥裁判官は「同姓以外を許さないことに合理性があるか」という点から意見を述べた。同姓のメリットとして「夫婦や親子だと印象づける」「夫婦や親子だという実感に資する」などの点がある一方、「同姓でない結婚をした夫婦は破綻(はたん)しやすい、あるいは夫婦間の子の成育がうまくいかなくなるという根拠はない」。例外を許さないのは合理性がない、と結論づけた。 同じく弁護士出身の山浦善樹裁判官はただ1人、「違憲」とするだけでなく国の損害賠償責任も認めるべきだ、と踏み込んだ。法相の諮問機関「法制審議会」は1996年、選択的夫婦別姓を盛り込んだ民法改正案を示し、国連の女性差別撤廃委員会も2003年以降、繰り返し法改正を勧告してきた。こうした点を挙げ、「規定が憲法違反だったことは明らかだった」と国会の怠慢を指摘した。 一方で、多数意見は「夫婦同姓は家族を構成する一員であることを対外的に示し、識別する機能がある」「嫡出(ちゃくしゅつ)子が両親双方と同姓であることにも一定の意義がある」などと述べた。 この意見に賛同した寺田逸郎長官は補足意見の中で、「多様な意見を司法はどこまで受け止めるべきか」を論点にあげた。「選択肢が用意されていないことが不当、という主張について、裁判所が積極的に評価することは難しい」。姓のあり方を考えることは「社会生活への見方を問う、政策的な性格を強めたものにならざるを得ない」からだという。「むしろ国民的議論、民主主義的なプロセスで幅広く検討していくことが、ふさわしい解決だと思える」とした。 (河原田慎一) ■自民、別姓導入後ろ向き 「姓」のあり方について最高裁から議論をゆだねられた国会だが、自民党は積極的ではない。「選択的夫婦別姓を認めるかについて、国民の中でしっかり議論すべきだということできている。(最高裁裁判官が指摘した)立法の不作為にはあたらない」。自民党の稲田朋美政調会長は16日、記者団にこう強調した。「(議論は)活発にやるべきだと思っている」とも述べたが、見通しは立っていない。 96年に法制審が選択的夫婦別姓を柱とする民法改正案をまとめるなど、一時は追い風も吹いたが、自民内の議論は進まなかった。「家族の絆が壊れる」「日本の伝統を壊す」といった反発が強かったためだ。 02年に野田聖子・前総務会長らが中心になって党内に「例外的に夫婦の別姓を実現させる会」を設立。反対派議員が03年の衆院選で数多く落選したこともあり、04年に家庭裁判所が許可した場合だけに認める「例外的夫婦別姓」案を作った。それでも「別姓にしなくても女性の社会進出は進んでいる」などの反対で、案は日の目を見なかった。 野党だった10年の参院選の党公約には、「民主党の『夫婦別姓制度』には断固反対します」と明記。党の空気は元に戻った。女性の活躍を掲げる安倍晋三首相も「家族のあり方に深く関わるもので、慎重な検討が必要だ」と消極的だ。 こうした空気を象徴するように、有力な女性議員の間でも認識は食い違う。 稲田氏は民主党政権時、夫婦別姓反対の「急先鋒(きゅうせんぽう)」として、当時の千葉景子法相を追及。「『夫婦別姓』の問題は、お父さん、お母さんの一方と子どもの名前が違う『親子別姓』の問題である」と主張した。 高市早苗総務相も、過去に国会で選択的夫婦別姓を議論した際に「家族の絆が大切な価値だ」などとして反対を表明している。朝日新聞の取材に「別姓を認めると、両親のどちらかと子の氏が違う状態を作る」と語った。 一方、野田氏は11月のTBSの番組で「(別姓反対論者は)子どもがかわいそうなどというが、夫婦が違う名字を使っていても子どもはしっかり育てられる」と主張した。個々の家族観に関わるだけに、合意形成は難しいのが実情だ。 自民と連立を組む公明党は01年には選択的夫婦別姓導入の民法改正案を国会に提出したこともある。だが、自民を積極的に説得する様子はみられない。 野党側は夫婦別姓の導入に積極的だ。 民主党は今年6月に選択的夫婦別姓を認める改正法案を提出した。通称名を使う蓮舫・代表代行は16日、記者団に「時代の要請に応じて当然変えるべきものだ」と述べた。共産党の穀田恵二国会対策委員長も16日、「不当な判決だ。一刻も早く(夫婦別姓を)実現したい」と語った。 最高裁判決では、夫婦別姓について「社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく、国会で論ぜられるべき事柄である」と指摘した。実際、朝日新聞が11月7、8日に行った全国世論調査(電話)では、選択的夫婦別姓について「賛成」は52%で、「反対」の34%を上回っており、こうした世論と国会の動きがねじれているのが実情だ。 (岡村夏樹) ■<解説>「司法の限界」解決は国会で 明治時代から続く結婚をめぐる規定を、時代の変化に照らして変えるべきか。最高裁は、たなざらしを続けてきた国会に一石を投じるにとどまった。 改姓により個人の信用や評価などで不利益を受ける人の増加を指摘しながら、夫婦同姓はなお合理的だとした。「女性のアイデンティティーの喪失感」にも理解を示したが、旧姓の通称使用で緩和できるとした。 これに対し、女性裁判官たちは少数意見で「同姓の不利益を避けるために事実婚を選ぶ人がおり、結婚の自由を制約している」と異論を呈した。しかも事実婚では、親権や相続などで不利益を受けるが、判決はそれには言及しなかった。 「再婚禁止期間」も違憲としたのは民法の別規定と整合性が取れない「100日を超える期間」だけ。国際的には廃止が主流だが、無戸籍児問題の解決や女性差別をなくす道筋を示したとまでは言えない。 「選択肢がない不合理を裁判の枠内で見いだすのは困難。国民的議論での解決がふさわしい」と寺田長官は「司法の限界」をにじませた。国会がどう受け止めるかが問われている。 (河原田慎一) ■多様な家族、国会議論を 元最高裁判事の宮川光治弁護士の話 判決は、氏名は人が個人として尊重される基礎であり人格の象徴だと指摘している。ならば、結婚による氏の変更の強制は、個人の尊厳をおかす可能性があると考えるべきだ。少数ではあっても、人格的価値に深い喪失感を抱く人がおり、そのことの評価が軽きに過ぎるのではないか。個人の尊厳を基礎に多様な家族のあり方を認めることは成熟社会に不可欠だ。こうした視野を持って、国会では選択的別姓を認める方向で議論してほしい。一方、再婚禁止期間は世界では廃止が趨勢(すうせい)だ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(以下略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
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