熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

キヤノン勝訴

2007-11-08 23:03:22 | Weblog
プリンター用インクカートリッジのリサイクル品販売で特許権が侵害されたとして、「キヤノンがリサイクル品販売会社「リサイクル・アシストに販売差し止めなどを求めた訴訟の上告審判決が8日、最高裁第1小法廷でありました。

横尾和子裁判長は、リサイクルが特許権侵害に当たるケースについて「製品を新たに製造したと認められるとき」との初判断を示し、リ社の上告を棄却、キヤノン勝訴の2審知財高裁判決が確定しました。

横尾裁判長は、リサイクルが「新たな製造」に当たるかを判断する要素として、(1)特許製品の属性(2)発明の内容(3)加工の態様(4)取引の実情-を挙げ、これらを総合的に考慮することを示しました。

横尾裁判長はこの基準に沿って、リ社製品が特許権侵害に当たるかを検討し、リ社製品はキヤノン製カートリッジ本体に穴を開け内部を洗浄し、他社製インクを注入したもので、こうした加工の態様を、「インク漏れ防止の特許の効果を復活させるもの」と判断し、「製品が新たに製造されたと認めるのが相当」と結論付けたようです。

判決文からは、1)特許製品の属性(2)発明の内容(3)加工の態様を考慮して、「製品が新たに製造されたと認めるのが相当」と結論付けたように思われます。
(4)取引の実情は、キャノンのインクタンクが、1回で使い切り、新しいものと交換するものとしていること、使用済み品の回収を図るために包装箱の表示、HPでの回収の呼びかけ等を総合的に考慮しているように思われますが、明確ではありません。

今後は、最高裁が示した基準の具体化を検討して、判例の射程範囲を定めることが必要です。


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