熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

転職適齢期

2010-01-26 18:55:23 | Weblog
先日、ある人から転職(正確には部門間の異動)の相談を受けました。

その方は、40代前半で、企業の研究開発部門で仕事をしていますが、知財の仕事をしたいそうです。

相談というのは、40代前半で知財の仕事へ移ることは遅いのではという内容です。
まあ、結論は人それぞれということなのでしょうが、それではあまりにも愛想がないので、私の経験をお話しました。

私は、企業の研究開発部門に約20年間勤務して、40代前半で知財部門に異動しました。
したがって、この方とほぼ同じような状況で知財部門へ異動した訳です。

当時、部門間異動は、ローテーションによる異動が大半で、個人が希望する部門へ異動するのは極めて難しい状況にありました。
私の場合、幸運なことに研究所の先輩が知財部門へ異動してマネジャーとして活躍しており、その方が私を知財部門へ強引に引き抜いてくれたので、交換要員なしに異動できました。

私の場合、知財部門へマネジャーとして異動したので、知財部プロパーの人達からの好奇の目に晒されてかなり苦労しました。
知財部門へ異動した日に、当時の部門長に挨拶に行ったときに、その方から「もう10年早く異動してきたら良かったのに」と言われました。

つまり、知財部員として1人前になるのに10年はかかるので、30代前半で異動してくれば、40代前半で1人前になります。
この年齢ならば、企業内で知財部門のリーダーとして活躍することも、あるいは独立して特許事務所を経営することも十分に可能だということです。
40代前半での異動では、1人前になるのが50代前半となり、それから転身するのは難しいということらしいです。

この言葉に刺激を受け、知財部プロパーの方の好奇の目に応えるために、猛烈に知財のスキルアップを図りました。
それから5年経ち、知財部門長と食事をしているときに、その方から「君は5年で1人前になったね。僕の予想の半分だ。頑張ったね」と話しかけられ、思わず「ありがとうございます」とお礼を述べました。

やっと認めてもらえた、という嬉しさで今までの苦労が吹き飛んだことを鮮明に覚えています。
私が、知財のスキル向上策として実施したことは、①弁理士の受験勉強による知的財産権法の知識向上、②中央大学法学部での法律の広範で基礎的な知識の獲得、③先輩弁理士からのOJT(私から強引に教えを請うたもの)です。

その後、早稲田大学大学院修士課程で知的財産権法の専門的知識を勉強し、弁理士資格も取得して現在に至っています。

その方に、お話したことは、「40代前半での異動でも本人の努力次第で十分仕事ができるが、並みの努力では難しいことは覚悟しておいた方がよい」ということです。

正直なところ、40代前半で知財の仕事に挑戦するのは、相当の努力が必要です。
将来、企業の知財コンサルティングの仕事をすることは十分可能ですが、独立して特許事務所を経営することはリスクが大きく、お勧めできません。

その方は、当時の私と違って、弁理士の受験勉強をして短答試験合格レベルにあるので、もう少し早く1人前になれるでしょう。

「もう一段の努力を望みます」といって激励し、別れました。

この方が、どちらの道へ進むのかは分かりませんが、成功することを願っています。





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