
昨夜の強風が残ったが、気温があがり、青空も見えてきた。計画していた最上町の大森山の登山に行って来た。家にいては見れない雪景色をカメラに収めた。尾根筋には強風が吹き、巨大な雪庇を作る。木々を揺する風の音を聞きながら、カンジキで一歩ずつ登るごとに、驚くような風景が眼前に広がる。
白さもて魅惑す朝の雪嶺は 相馬 遷子
この句を詠んだ作者は、我々が見たような臨場感で雪嶺の白さを見たのであろうか。それは分らないが、まさにこの句にあるような、魅惑的な白い尾根の雪であった。

木に吹き付けられた雪は、この季節にしか見ることのできない見事な造形を生み出している。9時ころに登り始めたが、大森山の山頂への尾根に着くころには日がさし始めた。気温が上がっているのが分る。見渡すかぎりの雪景色ではあるが、そこには目には見えない春山の気配がある。
残念であったのは、山頂近くから東に見える一番美しい、霧氷の木立を撮ったが、取り出したカメラがいつの間にかモードが変わってしまい思ったようなものにならなかったことだ。日がさすと、どうしてもモニターが見ずらくなりモードの確認までの気がまわらない。吹きつける風が冷たく、長時間にカメラ操作ができない。
朝方の氷った雪の上で、今冬初めてアイゼンをつける。ネットで求めたワンタッチのモンベル製だ。思いのほか装着が簡単で、固い雪の上で効果を発揮する。正午過ぎに下山するが、気温の上昇とともに、ザク雪に変わった。和カンジキに履き替えて下山。苦手な急勾配の下山だが、雪の状態に助けられ気持ちよい下山となった。参加者全員、大満足の春の雪山であった。次々に気圧の谷が通過する不安定な気候のなかで、まさに幸運に恵まれた山行だった。