常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

94歳の誕生日

2013年03月10日 | 日記


義母がきょう94歳の誕生日を迎えた。妻はチラシ寿司を作り、義母の家に持参して、3人で誕生日を祝った。94歳という年齢は、まわりの人からみても大変なことらしい。雪片づけをしていると、向かいのアパートの管理人さんが声をかけてきた。「凄いね。あの年まで生きるには、俺たちあと30年もかかるよ。」

義母は一人住いである。老人ホームやショートステイを勧めても、「ここが一番いい」の一点張りでその気はまったくない。近隣では、この年齢の一人住いを、或は危惧しながら、またその生命力の強さを驚きの目で見つめている。火を使えず、調理もできないので、毎日食べるだけの食事を持参する。娘の作った食事を食べるのが唯一の楽しみらしい。

今年になってから月に一回、2泊3日のショートステイに、なかば強制的に行かせている。先月で2回目だが、温泉やウォーターベッドが気持ちいいと言いながら、口癖のように、家が一番いいと言う。先日、妻に血相を変えて、怒声を上げた。「私をムリムリ温泉に行かせて、置いてあったお金を持っていっただろう」妻は狼狽して、涙声で電話をかけてきた。「どうすればいい?」無論、名案などない。「泥棒のようなことしていないよ」と説得する以外ないな、と答えた。

一晩中ショックで、腹のおさまらない妻であったが、義母は翌日にはけろっとしてもう金のことなどすっかり忘れている。94歳になった老人とはそんなものであろう。今日の誕生日でも、口からでるのは、寿司が美味しいことと感謝の言葉だけ。日本中で介護に携わっている人の気持ちがわかる気がする。妻とこの老母の関係は、若いころからいいものではなかったが、老い先短い母への娘の思いやりが痛いほど伝わってくる。
コメント
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