山形神室は仙台市との境にあり、蔵王連峰の北の端に位置する。標高1344m、トンガリ山、ハマグリ山など尾根筋に瘤のようなピークを持ち、山形の登山愛好家に親しまれている山だ。春は山ツツジをはじめ、高山植物の花が咲き誇り、6月ともなれば東斜面の笹薮にネマガリダケが採れる。
夏山は市民の登山家の足慣らしの山として登られている。冬山は、この山が風の通り道であるため、途中まで断念することが多い。金曜日が久しぶりに晴れ上がり、絶好の気象条件になったが、計画が土曜日であったので、雨マークが付き、風も8m位との予報であったのでやや不安を抱えた山行となった。
急峻な尾根筋は10本爪のアイゼンを履いた。山には春の陽気が訪れ、固雪のためアイゼンがよく機能した。この日は雪道アップダウンを約9キロ歩いたが、アイゼンは使う筋肉が違うのか、いつもより足に疲労を感じた。だが、見晴らしのきく主尾根に着くと、その眺望のすばらしさに、疲労が吹き飛んだ。
山頂の標識は雪に埋れているが、しっかり頭を出している。周囲の山々のパノラマは息を呑むような美しさだ
帰路は夏の登山コースを辿る。アイゼンが機能しているとはいえ、急峻な下りは怖い。馴れている他のメンバーが先行する。登りはさほど苦にならないが、雪山の下りはこれからも課題になる。もっと馴れる事、あるいは二本ストックも必要か。
山形神室の頂上から、仙台神室、大東岳など宮城の山々を望む。左手に月山、葉山の眺望も得られたが、写真にうまく収められない。