常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

春待つ桜

2013年03月01日 | 日記


テレビで知ったが、静岡県の河津桜が見ごろを迎えているらしい。桜のたよりを、一番早く知らせてくれる名所だ。4キロ800本の桜、加えて温泉と海の幸、雪国に住むものにはうらやましいたよりでもある。

妻の実家の隣に、山形城主であった最上義光の墓を守る光禅寺という寺がある。この寺の参道は桜の並木になっている。カメラを携えててその参道に立ってみた。桜は雪のなかで、春を待つかのように、しっかりと冬芽持ちながら立ち並んでいた。4月の中旬ともなれば、参道は満開の桜の花でうめられる。

若き日の島崎藤村は「旅の歌」で春待つ心情を詠んでいる。

心の宿の宮城野よ

みだれて熱きわが身には

日影も薄く草枯れて

荒れたる野こそうれしけれ


ひとり寂しきわが耳は

吹く北風を琴と聴き

悲しみ深きわが目には

色なき石も花と見き

この詩を若き日の心情として振り返りながら、己が過ぎ越し年月に思いを寄せて所感を書き綴っている。

「眼前の暗さも、幻滅の悲しみも、冬の寒さも、何一つむだになるもののなかったと思うような春の来ることを信ぜずにはいられないでいる。」


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする