計画していた不忘山への山行は急遽中止になった。理由は白石スキー場のリフトの営業が20日で終了したからである。すでに雪は大半が消え、雪上のピークハントには向かなくなってしまった。代わりに選ばれた山は泉ヶ岳から北泉ヶ岳への縦走である。
泉高原スキー場のリフトを使い、スキー場のゲレンデから泉ヶ岳の尾根を目指すコースである。雪はやはり固くしまり、尾根の急坂にさしかかったところでアイゼンを履く。先週よりも風が弱く、晴天に恵まれた。急登で頂上を目指すが、尾根筋近くになった一部夏道が現われる。
頂上は灌木の林のある広いところだ。2,3組のパーティーに行き会う。どの顔も春山ののどかさを楽しんでいるように見えた頂上から北泉ヶ岳へ向かう縦走コースで船形山の山並みの見晴らしが開けた。カメラを持参したメンバーがこのパノラマを撮る。
泉ヶ岳から北泉ヶ岳への縦走コースは、以外に楽なコースであった。太いブナの木が一面に斜面を覆っている。どの木も冬芽が少しふくらんでいるような気配だ。遠目に山の林を見ると木が放つ息のような靄がかかっているように見える。
三叉路で昼食休憩をとる。ここは風もなく、のんびりとした時間が流れる。まだ鳥や昆虫の姿は見えないが、春はすぐそこまできている気配である。雲の形がやさしく見える。ここからアイゼンをカンジキに履き替える。
凍解(いてどけ)の径光りそむ行手かな 野村 泊月