今日は敬老の日。現在日本で100歳以上の人は、54000人を数えるという。10万人に40.6人が100歳以上という勘定である。世界にはさすがに驚くほどの長寿記録がある。旧ソ連邦コーカサス地方のアゼルバイジャン共和国のミスリモフさんは1805年に生まれ、1973年に死んだ。168歳という驚くべき長寿である。
ミスリモフさんは死ぬ168歳まで、馬に乗り、羊を追い、木を伐りそして菜園を耕した。晩年の記録では、1850年のクリミア戦争の記憶も確かであった。アゼルバイジャンでは長寿は珍しいことではない。100歳以上の人は2500人、10万人に63人という統計がある。ミスりモフさんの死んだとき、妻は107歳であった。65歳で妻を娶り、子、孫、曾孫は219人で、孫のなかには100歳を超えるものいた。
この長寿に異を唱える論評も出た。当時ソ連邦では、懲役を免れるため年齢をサバ読んで登録する風潮があったことがその論拠であった。だが、この地方に徴兵制は及んでいなかった。この国には長寿に有利な環境があった。清潔な山の空気、ゆっくりした生活のリズム、脂肪の少ない食べもの。イスラムの禁忌のため、酒、煙草を嗜まなかった。
日本の長野県は男女とも、長寿日本一である。10万人あたりの100歳以上の人は、50.8人であるという。テレビの特集で、長野の長寿に貢献している活動に食改というのがあった。地域の家を廻って、塩分の摂取量を測り、減塩食の提案や公民館で体操を皆で実施するのである。この活動で医療費が減り、高齢での勤務も可能になるなど、いいことづくめである。
今年1月、101歳で亡くなった詩人柴田トヨさんは死を迎えるまで詩作を続けた。「100歳」と名づけた詩集がある。100歳を超えて生きることの意味を教えてくれる。
くじけないで 柴田 トヨ
ねぇ 不幸だなんて
溜息をつかないで
陽射しやそよ風は
えこひいきしない
夢は
平等に見られるのよ
私 辛いことが
あったけれど
生きていてよかった
あなたもくじけずに