常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

浅草岳

2013年09月22日 | 登山


新潟県の魚沼小出と福島県の只見。この二つの集落の間を遮るように立つのが浅草岳である。標高1585m、それほど高い山ではないが、日本有数の豪雪地であるため、この山は雪の侵蝕を繰返して急峻な山容が形づくられた。この日、山友会5名は小出の奥にあるネズモチ平の駐車場に車を置いて前岳から浅草岳山頂を目指すコースをとった。

登山口の近辺で殉職警官4名の顕彰碑を見る。浅草岳の春山登山の救助に向かった警官の二次遭難の顕彰碑であった。春山とはいえ、残雪の多いこの山は雪崩が頻発する。一瞬の雪崩にあった救助隊もその雪崩を避けることができなかったのであろう。痛ましい事故を思い起こさせる顕彰碑であった。夏を越したこの季節に冬の過酷さを想像するのは難しいが、積雪を表す紅白のポールの長さが半端でない。見た目でゆうに3mはあるようだ。



大陸からの高気圧が張り出していて、さわやかな秋晴れである。尾根道に辿りついたころのは多少汗ばんだものの、体力の消耗は少ない。青い空とこの山を取り囲む越後の山や燧ケ岳などの会津の山々が一望できた。ただ惜しいことに、高山の花々は咲き終わり、美しいであろう紅葉はまだまだであったことだ。



前岳から山頂に向かう広い尾根には、板敷きの登山道である。左手の斜面には草叢が広がっている。浅草岳の名称は、この草原に由来していると案内書にあった。種をつけたコバイケイソウの茎が枯れる前の姿を見せていた。

頂上から会津側にある鬼ヶ面山の切り立ったスバル。垂直の面に木が生えている風景は、植物の生命力の強さを物語っている。その頂上を経て浅草岳へ通じる登山道がかすかに見えている。こんな急峻な道を通れば、積雪の季節には危険が伴うことは容易に想像できる。



頂上から見えるもう一つの眺望は田子倉湖である。只見川の上流に作られた田子倉ダムで出来た人造湖だ。干しタコの足を広げたような格好である。この辺りの水力発電は日本の最大級の規模を誇っている。車をネズモチ平に置いてあるので、只見方面への下山はかなわず、桜ソネの登山口に下山する。要所に板敷きの階段があって下山は楽だ。このあたり嘉平与ボッチなど珍しい名の高台がある。この日の歩行距離8キロ、5時間半ほどの所要時間であった。



帰路は高速を使わず、国道252号で峠を越えて、只見町へ抜ける。田子倉湖の展望台で小休止、湖の夕景をみる。丁度、日没前の湖は風情のある景色であった。252号の山中は、道の両側に切り立った山並みが連続している。こんな景色も日常のドライブではめったにみることの出来ない風景だ。




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