常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

通草(あけび)

2013年09月18日 | 日記


秋の山に自生するのはあけびである。通草と書いてあけびと読む。「秘密の県民ショー」でやや自虐的に山形県民は、野の草などどこでも食べないものを食べるというので有名になった。あけびも普通は中の種の部分の綿のような実を食べる。皮の部分は捨てられるのが一般的だが、山形ではこれを食べる。

皮を短冊に切って油で炒め、豚肉を入れて醤油で味付け。皮には少し苦みがあって、これが酒の肴に合う。あけびは実だけ食べるのではない。春一番に新芽が出ると、この芽を採って湯がいて胡桃をかけて食べる。これも苦みがあって春一番の山菜である。やや春がたけなわになると、新芽は蔓を伸ばし始める。山形ではこれをツンといってやはりお浸しにして食べる。山近くに住む人には、春欠かせない味になっている。

あけびはこうして人に食べられるが、さらに蔓は編んでハケゴや魚篭に利用する。こんな風に、あけびは山村に暮す人に利用されつくしてきた。もう少し朝夕の気温が下がると、あけびは紫の色をおびて、部屋に飾られ、紅葉や秋の花の生け花の材料としても用いられる。人の生活になくてはならぬものだが、生命力はつよく、里山の雑木林にはとてもよく繁殖する。

林ゆく雨や通草がぬれしのみ 水原秋桜子
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

月見の風習

2013年09月18日 | 日記


きのう、残照が瀧山を照らす頃、青空に月が出ていた。13夜ぐらいの月か。19日が中秋の名月である。新聞の声の欄に、84歳になる赤穂さんの投書が載った。題して「お月見の風習 孫に伝えたい」。少し引用させていただく。

「空気も澄み、一年で最も美しく見える「中秋の名月」を眺める風習が日本には古くからあった。ススキの穂と三方に乗せただんごときぬかつぎを縁側に飾り、満月に供えた。きぬかつぎは里芋を皮付きのままゆでたものだ。十五夜を芋名月という。」

赤穂さんの孫は小学生で、孫とだんごを食べながら、名月の風習などについて由来を話たいという内容である。たしかに月見の話をする年代は、いまでは60代以降の人々なのかも知れない。飾るだんごの数は決まっているの?など疑問が次々に出てくる。

『和漢朗詠集』に紀長谷雄が延喜年間(900年)に、中秋の名月を詠んでいることを知るだけで、日本人がいかにふるくから、名月を愛してやまなかったかが分る。

十二廻の中に 此夕の好きに勝りたる無し
千万里の外に 皆わが家の光を争ふ     紀長谷雄

(1年12ヶ月のうち、この8月15夜のすばらしさに勝るよい夕はありません。千万里の遠くまでも、どこまでも、人々はわが家で見る月の光が一番美しいのだと、誇るのです)

ことしもまた名月の季節が巡ってきた。台風が北海道の先へ去っていったので、これから名月にかけて好天が続くらしい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする