常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

キューポラのある街

2014年03月19日 | 日記


鋳物には古い歴史がある。鋳物師が石、土、砂などで型を作り、その型に熱で溶かした金属を流し込んで、いろいろな器を作る技術だ。茶道で使う茶釜、農具など全国的に需要が増えると、鋳物師は組合を作って全国を渡り歩いて需要に応えた。江戸時代になると、都市の発達とともに、鋳物業が盛んになった。江戸に近い川口鋳物は特に名高かった。

映画『キューポラのある街』は、鋳物の街川口を舞台にした映画である。1962年に封切られたこの映画は浦山桐郎監督の作品で、吉永小百合と浜田光男のコンビによる青春映画である。もう50年も前に見た映画であるので、細部は忘れてしまっているが、高校進学に憧れる吉永小百合の溌剌とした初々しさは今も記憶に残っている。

キューポラは鉄を溶かす小さな溶鉱炉だ。吉永が演じるジュンの父は、鋳物工場で働く鋳物職人だ。この鋳物の街ににも技術革新の波が押し寄せ、昔かたぎの職人であるジュンの父は工場を解雇される。ジュンやその兄の同級生のなかには、在日朝鮮の友達がおり、北朝鮮帰還も描かれる。当時のガキ大将、駅前の飲み屋街、学校でのクラブ活動など、どれも戦後の日本の現実を詳細に描いた映画である。吉永小百合はこの映画でブルーリボン主演女優賞に輝き、その後の映画人生のスタートとなる作品である。

戦後、鋳物の技術は岩手の南部鉄器を生み、そこから学んだ山形鋳物も生産を続けている。わが家には鉄瓶のほか、南部鉄器の急須がある。


日記・雑談 ブログランキングへ
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする