常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

秋の歌

2019年09月23日 | 日記

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先日、立山に登った帰りに、新潟の弥彦神社に立ち寄った。その神聖な境内は、伊勢神宮を彷彿とさせるような雰囲気があった。神社の裏にはケーブルで登れる弥彦山が聳えていた。その脇には、国上山、角田山と同じよう規模の里山が並んでいる。なかでも、国上山の中腹には五合庵が、良寛が生活していた場所でもあったので、懐かしく感じた。

秋もやや夜寒になりぬわが門につづれさせてふ虫の声する 良寛

コウロギを「つづれさせ」と言った。この虫の声を聞けば、もう寒い冬はすぐそこだ。人々は、冬の衣を出して、縫ったり刺したり、つまり「つづれ」をしなければ、と気忙しくなった。そこでコウロギをツヅレサセムシと呼んだのである。

秋もややうらさびしくぞなりにける小笹に雨のそそぐを聞けば 良寛

良寛は聴覚にすぐれた歌人だと言った人がいる。あの国上山の山中で、笹の葉の上にしとしと降る雨。その音をじっと聞き入っているのが良寛だ。もう、手毬をついて遊ぶ子どもたちの声もしない。山中はあくまでも静かで、わずかに笹の葉を濡らす雨の音が聞こえてくる。麓の村の家をまわって、今日食べる米や味噌を托鉢してきた。ただ無為のうちに一日が過ぎていく。コオロギの声が、ひとしきり五合庵を包んだ。

コメント
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