常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

秋草

2019年09月06日 | 日記

耕作を放棄した田んぼの跡に、雑草が繁っていたが、秋の訪れとともに黄色い花が咲き出した。グーグルレンズで検索してみると、オオマツヨイグサとある。1、2本と離れて咲いていると、月見草、宵待ち草とすぐ分かるのだが、これほどの群生になると自信を持って月見草とは言えない。間に交じっているのは、紫苑の小菊か。何れにしても、秋草であろう。

若山牧水の名歌といえば、「白鳥は悲しからずや」や「しらたまの歯に沁みとほる」などを思い浮かべるが、忘れてならないのは秋草を詠んだ名歌だ。

かたはらに秋草の花かたるらく ほろびしものはなつかしきかな 牧水

この歌には「小諸懐古園にて」題詞がつけられている。藤村の詠んだ「小諸なる古城のほとり」で有名になった城跡で詠んだ歌である。ほろびしものとは、かって城を守りながら滅んでいった武将に向けらたように見えるが、牧水がここを訪れたのは破局に終わった恋の傷心を癒すためであった。

歌の作者は、野草が咲き乱れれる野原に寝てみたのであろう。傍らに咲いた秋草が、傷心に作者に語りかけてきたのだろう。人間の営みと変わらぬ自然を対比させることによって、この歌には深みが生まれている。

コメント
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