5時に目を覚まして、窓から外をみると、東の空は日の出前の見事な朝焼けであった。こんな光景は、おそらく繰り返して現れているのであろうが、外を丁度いい時間に見てはじめて気づく。調べてみると、朝焼けは空気中の水蒸気の量が多いことが要因、とある。太陽の高度が低いために波長の長い赤い光が、地球に届く。そのとき、この赤い光は、水蒸気が多いとあまり拡散されずに、人の目に見えるらしい。それにしても、これほどの美しい朝焼けは、年に数度ぐらいしか見られないのではないか。ウェザーニューズを見ると、朝焼けの日は雨になる確率が高いと解説している。しかし、今日の場合は、秋晴れで、雨の心配はない。
秋の味覚がうれしい。もう畑には、わずかばかりのトマト、モロヘイヤ、ナツナ、成りの悪いナス、オクラぐらいしか収穫できなくなっているが、産直から里いも、トウモロコシ、新ショウガを買ってきた。秋風が吹いてきたので、秋ナスがうまくなっている。トウモロコシももう最後なのか、売り場には数本しか残っていない。モロヘイヤはこのところの雨天で、収穫した後から、新しい葉が伸びてきて、新鮮なお浸しが毎日のように食べられる。
庭畑の秋茄子をもて足れりとす 富安 風生
ギッシングの『ヘンリ・ライクロフトの私記』の一節、一節が身に沁みる。
「辛酸をなめてもそれに打ちのめされないで賢明になってゆける人々をうらやましく思う。こういう人々はそう珍しくないらしい。(中略)聡明で大らかな心の持ち主で、いつも常識によって導かれているようにみえる人々、着実に人生の段階から段階へと進んで行くが、いつも正しいこと、分別のあることを行い、気まぐれに陥ることなく、いつの間にか他人の尊敬をかちえ、自らはほとんど他人の援助は必要とせず、むしろ他人にはしばしば援助を与え、しかもあらゆる場合を通じて善良で用心深く幸福になれる人々、こういう人々がうらやましいのだ。」
暑い夏から涼しい秋へ。一夜のうちに、風景が変わる。ひと夏の活動のうちに、木々も赤い実をつけて、次世代へと世代を繋ごうとしている。