我が家は、10階建ての集合住宅だが、西にと南が開口部になっている。建物の西の空がカラスの飛行路になっているらしく、朝、塒からえさ場を目指して夥しいカラスの集団が南下していく。夕刻、日没の時間が迫ると、今度は塒を目指して北上する。よほどの荒天でもない限り、カラスの飛ぶ時間は太陽の光りとともに行動する。それだけに、カラスの朝起きは早い。烏は鳥のなかでも最も進化が進んだ種らしい。
カラスの身長はほぼ55㌢、体重は550㌘ほどだ。その内脳の重さは14㌘。ツバメの脳が2.6㌘だから、カラスは体重に比べて脳が大きい。因みに人間の脳は1300㌘ほどである。カラスの知能について、こんな話がある。三浦半島でカラスの巣が壊れて中のヒナを、保護するために横浜にある動物園まで運んだ。ヒナを気遣った親鳥が、約30㌔の道のりをついていったそうだ。そればかりでなく、人間の顔を覚えることもできるらしい。巣に意地悪をした人を覚えていて、野良仕事をするたびに急降下して襲ってくることがある、という話はよく聞く。
集団狩猟を行って、大きな動物を食べることもできる。カラスは、子鹿の目をつついて見え無くし、次に肛門から大腸を引っ張りだす。こうして出血多量で、鹿が死んだと見るや、多くのカラスが寄ってたかって食べてしまう。都心で、スピッツや鶏が襲われて殺される、というのもよくあるらしい。生ごみの集積所など、餌のある場所は、カラスの狙いどころとなる。人間の生活に合せて、カラスは行動を変えて、餌を巧みにとっている。そのためか、都市部でカラスの集団がおおきくなっている。
夕焼けの大きな山に迎へられ 及川 貞