八丈島のあたりに台風が停滞して、太平洋側に局地的な大雨が降っているが、こちらはフェーン現象で朝から28℃を越えている。その影響からか、きのうから青空に浮かぶわた雲がきれいに見える。難しい名では、積雲と呼ばれる。普通500mから3000mの上空に浮かぶ。朝出たものが、夕方に小さくなれば翌日も晴天といわれる。だが、夏にこの雲が発達して、積乱雲になる場合がある。こうなると、雷が発生し、夕立に見舞われる。
畑の水やりは欠かせない。特に苗で植えたブロッコリー、モロヘイヤは根付いたものと太陽の強い光に力尽きて枯れ果てたものも半分ほどある。牛蒡が葉を大きくし始めたので、過密になったところを疎抜きする。疎抜きしたものは、アブラ炒めをすればおいしいと教えられてやってみた。葉はどこかほろ苦いが、15㎝ほどに伸びた根は、すでに牛蒡の味と香りで、なるほどおいしい。こんなものを食べられるのも、野菜作りをしていればこそだ。
ほろ苦い牛蒡の炒め物をほおばりながら、思い出すのは、堀口大学の『夕ぐれの時はよい時』である。
夕ぐれの時はよい時。
かぎりなくやさしいひと時。
それは季節にかかはらぬ、
冬ならば暖炉のかたはら、
夏ならば大樹の木かげ、
それはいつも神秘に満ち、
それはいつも人の心を誘ふ。
親友であった佐藤春夫はこの詩を評して、「甘い、甘い」とけなした。大学は「サトウ、甘いのも味のうちだよ」と警句を吐いた、とものの本に書かれていた。