1982年公開
実際におこった誘拐事件を描いている
ショーケンかっくいい
・・・
あたしの映画鑑賞は、食べもの中心にみてしまう
この映画には、意外と「食事シーン」が多く
それが五感に訴えて、臨場感を増しているように思う
子供が誘拐され犯人に翻弄されて一睡もしてないのに
刑事さん達のご飯を拵える、被害者の母.........
いただく方も辛いが、バテては困るので無理して食べる刑事たち
身代金の金策に苦労してる被害者の父も、エサを掻きこむように食べる
どんなときも「食べなきゃ」頑張れない、生きていけない哀しいさが
犯人(ショーケン)が、逃亡途中に自分の母親を訪ねる
母はいそいそと、食事の支度をしてやる..............
凍てつくような丹後の海辺の町(伊根町・舟屋集落らしい)
漬物樽から菜漬けをとりだす、凍って漬物石が木蓋に貼りついている
こういう光景は、あたし(道産子)にとっても懐かしい
歯にしみる「しばれた漬物」は、郷愁の味...........
なんの菜っぱだろうか?
ちらちら母の顔を盗み見ながら、母に世話されて食事をする犯人
甘えて干物の身をむしってもらったり、お茶を煎れてもらったり
熱いお茶を、味や香りや熱を、母の愛を、強烈に味わっているかのよう
どこかで、もう会うのは最後かもしれないと感じているのだろうか
凍る車のトランクには、誘拐した子供を監禁したまま、なのだけど
「メロンパンも好きだけど、ジャムパンはもっと好き」という子供
そういえば、犯人宅で妻が焼いているのも鰈だった
どうも犯人の好物でもあるようだし...........
やっぱり笹鰈の干物かな、若狭鰈とか有名だし
このシーンは、ふがいない夫と借金苦生活苦に追いつめられる妻と
せっぱつまった誘拐犯である夫との、身を切られるような場面だけど
干物が焼ける音や煙、映らないけど汁物か煮物の湯気(蓋をとって)
などがバックにあって、なんでもない普通の日常と尋常じゃない現実との
そのギャップが怖く、キリキリと絶望感を味わった(湯船の湯気も)
香ばしい魚が焼ける匂い、目にしみる煙、湯気の暖かさや湿り気
本当なら、冬の1日のおわりに何よりもホッとする状態なのに
いちばん大切なのは、人の営みの温もりなのに
お金や見栄や名誉が諦めきれない愚かな男
母の温もりにふれ嬉しかったはずなのに、妻子の前では忘れてしまう
とういうより、もう後戻りできないところまで来てしまっていたのだが
どのシーンも、湯気がやけに際立っていた
※風は息をしている(エンディング)など
この曲はなんとなく聞き覚えがある
魚の身を「むしって~な」と甘えるシーンをみて
そっか~男は幾つになっても、こういうのが欲しいのか
と思った
女には、この手の幼児性は残っていないから...............
つい「甘えるなっおまえさんの母親ではない」っと突き放すけど
そっか~欲しいのか、気がむいたら甘えさせてやるか(むりかもだけど)