
フランス語の先生が貸してくれたDVD「La Marche de L'empereur(皇帝ペンギン)」を見ました。
『数十万年前の氷で覆われた南極大陸、マイナス40℃。時速250kmのブリザードの中、120日間絶食して子供を育てる、皇帝ペンギンの物語』(パンフレット・INTRODUCTIONより)です。
8880時間をかけて南極で撮影したという皇帝ペンギンの繁殖活動は、白一色の静かな世界に繰り広げられる壮大なドラマ。苛酷な自然の中で卵を産み、守り、孵った子供達を懸命に育て、やがて自立を促す親達の姿は愛に満ちて、感動的です。

南極の風景は季節によって表情を変え、実に厳しく、実に美しい。そして、そこに生きるペンギン達の姿は自然が作り出した芸術です。孵ったヒナたちの可愛らしいことといったら!
時には寒さそのものや、アザラシやオオフルマカモメの犠牲になるものも出て、悲しく痛ましい気持ちにさせられますが、それが人が介入しない自然の世界の現実なのだと納得できます。本当に心洗われる作品でした。
ちなみに、このDVDをフランス語の先生が貸してくれたのは、クラスで使っている教材の最近のテーマが「南極」だったからです。教材によれば、南極で記録された最低気温は-93.2℃とのこと。これではペンギン達も生きられないかもしれませんね。
「南極」に纏わる話で最も面白かったのは、「南極条約」です。1959年12月にワシントンで調印されたこの条約には、「平和目的にのみ利用」「科学的調査の自由と協力、結果の共有」「南極海域における領土私権の放棄」などの他に、「核実験の禁止」「放射性廃棄物の処分禁止」などが取り決められていて、この条約の際立った先見性が感じられます。
こうした人間の知性、理性が、南極という掛け替えのない地域を今も守り、皇帝ペンギンの貴重な姿を、こうして私達に見せてくれているのですね。この知恵を世界の全ての地域に生かせると良いな~。(三女)
