去年10月から始まっていよいよ明後日(1月8日)で終了する「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」を見に、東京都美術館に行ってきました。
『1853年にオランダに生まれ、1886年にパリに移り住んだファン・ゴッホは、自らの絵画表現を模索する中で、日本の浮世絵に出会い、構図や色彩を学び取り、さらに浮世絵をはじめとする美術作品や日本を紹介した文章を咀嚼しながら、独自の日本イメージを醸成していきます。
1888年に、芸術家たちの共同体を作ろうと南仏のアルルへ赴いたゴッホは、この地をしばしば日本と重ね合わせます。ゴッホにとって日本は、創意の源であり、夢にまで見た理想郷だったのです。
1890年、パリ近郊のオーヴェール=シュル=オワーズで死去。』(HP「構成」の要約)
上の絵は、今回の目玉「花魁」(1887年)。「パリ・イリュストレ」誌の表紙にあった渓斎英泉「雲龍打掛の花魁」をモデルに、背景に二代目歌川芳丸の蛙や、佐藤虎清の二羽の鶴を配した作品とのこと。美しい絵とはとても思えませんが、ゴッホの日本に対する並々ならぬ好奇心と持って生まれた独自性が感じ取れます。
「アイリスの咲くアルル風景」「糸杉の見える花咲く果樹園」「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」(いずれも1888年)。
穏やかで落ち着いた、どちらかと言うと印象派の影響を強く感じる作品たちですが、地平線の高さや遠近の配置、橋のあしらいなどに広重や北斎などの影響があるという解説でした。
「種まく人」「たらすコンの乗合馬車」(いずれも1888年)。
斜めに横切る樹木、壁と馬車と馬車に斜めに掛けられた梯子の配置に、浮世絵の影響が感じられるとのこと。
「夾竹桃と本のある静物」(1888年)。浮世絵の関係はよく分かりませんが、穏やかな色合いと大らかな構図に、ゴッホの束の間の心の平安を感じました。
ゴッホというと最晩年の不安なイメージが浮かんでしまいますが、今回の作品は総じて創作の楽しさ、喜びが伝わってきて、美しい色合いと独特の筆使いも心地よく、彼の稀有な才能と個性、作品の魅力を改めて感じました。
それにしてもすごい混みよう!私達同様、お正月の行事が一段落したところで、この展覧会もいよいよ残り3日と気付いて、皆さん駆け込んだみたいですね。
雑踏の館内から外に出ると、美術館の門の前の、ゴッホの色遣いを意識したような色合いの門松が、冬晴れの光を受けて明るく輝いていました。(三女)