一昨日(1月23日)、渋谷Bunkamura・ザ・ミュージアムで開催中の「ロマンティック・ロシア」展を観てきました。
この美術展では、ロシア・国立トレチャコフ美術館所蔵の、『19世紀後半から20世紀初頭の激動のロシアを代表する作家の作品72点を、自然や人物像に内在するロシア的なロマンに思いをはせて紹介』(HPより)しています。
上の絵は展示会のシンボルともなっているイワン・クラムスコイ《忘れえぬ女(ひと)》(1883)。美しい女性の、静かな中に芯の強さを表す意志的な表情がとても印象的です。
上は「ロマンティックな風景」の作品群から。左はイワン・シーシキン《正午、モスクワ郊外》(1869)。広く高い空の透明感、澄み渡った空気、夏の光の射す田園の長閑な風景が何とも美しく、見ていて気持ちが安らぎます。
真ん中は同じくイワン・シーシキンの《雨の樫林》(1891)。雨に濡れた森の暗さとその先の光のほの明るさの対比によって、森の深い奥行が感じられます。これまでロシアの画家には馴染みがなかったのですが、シーシキンという画家が描く風景画の美しさに魅了されました。
右はワシーリ-・バクシェーエフ《樹氷》(1900)。雪深い林と青空、雪の上に射す日の光が、ロシアの冬の厳しさと、厳しさの中にある温かさ、静けさを伝えています。
その他、「春」シリーズのイサーク・レヴィタン《森の小花と忘れな草》、「秋」シリーズのイワン・ラクムスコイ《花瓶のフロックス》など、美しい季節を象徴するような可憐な花々の絵にも心惹かれるものがありました。
「ロシアの人々」の中では、トップの《忘れえぬ女》を始め美しい女性像が色々ありましたが、「子供の世界」のワシーリ-・コマロフ《ワーリャ・ホダセーヴィチの肖像》(1900)の、あどけなく満ち足りた表情の聡明そうな少女像が何とも魅力的。女性像、子供像はどれも自然な美しさ、可愛さが描かれていて好感が持てました。
全体として、宗教や古代神話ではなく、日常の暮らしを題材としたこれ等作品群は、どれも優しい気配で押し付けがましさがなく、「ともしび」「トロイカ」「赤いサラファン」など私たちが好むロシア民謡を思い出させるような、何かほっとする懐かしさがありました。
☆「ロマンティック・ロシア」展は、1月27日までです。興味のある方はお急ぎください!(三女)