Polepole Life new

びわ湖の湖南に在住。
亡きA.コッカーNOIRと山歩きを愛すシニアライフを綴ります。

根をもつこと、翼を持つこと

2007-08-24 11:20:58 | 





根をもつこと、翼をもつこと
2001年10月30日
田口ランディ 株)晶文社



この人の『できればムカつかずに生きたい』を読んでから、もう一年以上になっていた。
続けさまに同じ著者のものを読みたいと思ったのになぁ。

前作同様、眼に飛び込んだら手にとらずには入られないタイトル。
とてもストレート。そして、今回もタイトルから期待した以上の内容。

正直、「真夏の夜の夢」~本の1/3以上が、肩透かしだったり、わたしには消化不良だったり・・・アレ?という感もあった。地球環境に対する危機感に関しては、
『へ?もう少し持てよぉ。』と反感さえ感じた。

でも、、、著者の書くことへのこだわりを書いた『言葉の船を流す』、“共同生活者である亭主と子供とは仲良くやりたい”『家族ゲーム悪戦苦闘中』、自身の暗部をさらす『幼児虐待と子猫と私』『魂のコード』・・・あー、やっぱりこの人は沁みる。

futaba


『アニミズムという希望-山尾三省さんのこと』は特に、出会えてよかったと思う。

私は争いの元になるような宗教は好まないし、信じない。
でも、何か大きな存在を畏れたり、祈ったり、願ったり、感謝する対象としての「神」のイメージは薄っすらと、でも大きな存在としてに心に持っている。
それは日本古来の神々とも違っていて、今まで知っている中ではアイヌの人の神に近く、人に聞かれると「『森羅万象の中の八百万の神』は信じています。」と答えていた。

だから、山尾三省の講義録をまとめた『アニミズムという希望』(野草社)からの抜粋
『森羅万象に向き合う個人が、そのなかの一象に意味性や喜びとしてのカミを見出し、、それを他者と共有していく新しいアニミズム思想は、個人が個人でありながらそれを越えていく自由を内蔵していると同時に、環境問題という私たちに突きつけれれているある必須の課題を解決していく、小さいけれども重要な方法論でもある』
には引きつけられたし、著者が
「自然だけでなく、パソコンのシステムの中に、人工的な都市の中に、電流のなかに、見つけようと試みている。」「精神世界だけではダメなのだ。」「山尾さんは社会とカミの間に立っている。『暮らす』ということにおいて、私は山尾さんの足元にも及ばない。」と、続けていることに共感を感じる。

《抜粋》
○あとがきの結びの一文

 根とはルーツだ。
 翼とは意識だ。
 飛翔し、想像する力。イメージし、自由に夢想する力。
 根をもつこと、翼をもつこと。
そのことを思い出し、それに支えられるなら、人はどのような環境においてもこの世界にしっかり関与して生きていける。
 たとえ私が限りなく続けようとも、根があるから戻ってこれる。
 たとえ私がある場所に縛りつけれても、翼があれば自由だ。」

○山尾三省の詩

 わたくしは、ここで夢を起こす
 どんな夢かというと
 大地がひと知れず夢見ている夢がある
 その夢を起こす
 大地には 何億兆ともしれぬいきものの意識が
 そこに帰って行った深い夢がある
 その夢は椎の木
 その夢は小麦
 その夢は神
 私はここで夢を起こす
 無言で畑を起こす一人の百姓が 一人の神であることを知り
 無言で材を切る一人の大工が 一人の神であることを知り 
 無言で網を引く一人の漁師が 一人の神であることを知って
 わたくしもまた 神々の列に加わりたいと思う
     (「夢起こし」詩集『びろう葉帽子の下で』野草社)




 
コメント (2)
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