Polepole Life new

びわ湖の湖南に在住。
亡きA.コッカーNOIRと山歩きを愛すシニアライフを綴ります。

秋の特別展

2011-10-26 20:18:00 | 美術・絵画


田上でのフィールドワークの後、
私達はさらに信楽に向かった。


二つ目の目的地は
このBlogでも何度か登場させたミホ・ミュージアム。







実は、今秋
『特別展 神仏います近江』と題し


MIHO MUSEUM信楽会場) 
『天台仏教への道―永遠の釈迦を求めて―』

滋賀県立近代美術館(瀬田会場)
『祈りの国、近江の仏像―古代から中世へ―』

大津市歴史博物館(大津会場)
『日吉の神と祭―神と人の交歓―』


宗教法人・県・市、それぞれ異なる管理団体を持つ
ミュージアムが協力し、開催時期に微妙なずれはあるものの
ほぼ同時に企画展を開催している。







チケットも三館共通チケットが発売され
昼食や専門家の案内込みの旅行会社ツアーなども訪れ
なかなかの盛況ぶりなのだ。


私達も田上から信楽のミホ・ミュージアム、
さらには朝の集合場所の横を通り過ぎ
大津会場の大津市歴史博物館をも
イッキに観覧した。


時代の匠たちが権力者や民衆の期待を一身にひきうけ
魂を傾けて作った仏神たちは、みな真剣に対峙するほど、
たくましく、優しく・・・魅力的だ。


経済的な余裕の見えるミホ・ミュージアムの
神経の行届いた照明や配置などにも、ため息が出た。


一方、質素な大津市博物館の赤毛氈の上に窮屈に
ならべられた木彫りの神々や神と仏と一体化したモノなども
かたくるしい歴史の重みより、味わいと親しみが感じられて
とてもよかった。


今回の展示は、意外にも幼い子供達の団体観覧者にも
人気があり、老若男女引きこまれる。
日頃はあまり美術館に足を運ばない方も、
瀬田会場、信楽会場などは、周囲の環境も
季節柄美しことでもあるし、足を向けていただきたいと思う。




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フィールドワーク

2011-10-26 11:50:00 | 美術・絵画







小倉遊亀 『故郷の人たち』

作者の父の郷里、大津市南郊外の田上地区の
農家の女たちをえがいている。
この土地独特のものという撒きスカート状の
前掛け
をつけ、和む女性四人・・・
(滋賀県立近代美術館名品選:小倉遊亀から抜粋)



この絵の『三幅前垂れ』『田上手ぬぐい』
実際に見るために『田上郷土資料館』
解説ボランティア火曜日班7名で出かけた。


先輩三人は既に個人で来たことがあるというから
解りづらい場所にあるし、ばらばら訪れては
先方も迷惑だろうと新人がまとめて連れて行って
いただいたといった方がいいだろうか。





真光寺というお寺の太鼓堂
『田上郷土資料館別館』であり、
予約をして資料館の管理をしてらっしゃる
ご住職のおはなし・ご説明をお聞きした。







田上の民具に囲まれ、お話を聞いていると
遊亀が帰省した際、スケッチに出かけるようすや、
実家のトイレの修理の職人にサラサラと絵を描いて
イメージを伝えるようすが、目に見えてくる気がした。







前垂れは上の真ん中のような版木の見本帳で注文して
染めの済んだ糸を買って、わざわざそのための
新品を織っていたという。
(私は古いキモノを解いて作ったと思っていた。)


丁寧なスクラップブックには
制作者と寄贈者の名前があり
「(母の名)が、(娘の名)の嫁入り支度に織ったもの」
と、書き込み。
きもの同様に嫁入りじたくのひとつでもあり、
野良着でもあり、ちょっとした外出着でもあった。


三幅前垂れの汚れや傷みを防ぐため
さらに一幅半の丈の短い前垂れがあったというのも、
頷ける。






これが実物の『三幅前垂れ』。


反物巾×3の巾と、腰からひざ下までの丈
長身のN氏が広げてくれてもこのとおり。
おおきい。






こちらは『田上てぬぐい』
三分の一が連続柄で、それにときには色を添えた
飛び柄が入るのが特徴。


ところが、遊亀さんの絵にはそれがない。
デザインだけでなく頭に掛けたまま結んで
いないかぶり方もなかったという。


かぶり方は、ひとぞれぞれ工夫して
キチンとアイロンをかけ、角をたてた大原女のように
かぶる人もいれば、結び方もいろいろあって
後ろから見れば、誰が誰だかわかったらしい。


また、女性が集まりで片手懐で
キセルを咥える等という男勝りにも取れる粋な姿も、
この地域では見られなかったという。


絵の見栄え・構成を考えた 
遊亀さんの創作であろうとご住職。


お話を聞きしている間中、
ご住職の土地や人々に対する温かい愛情や
小倉遊亀という画家への親近感、加えて
失われつつある文化を大切に思う心を
ひしひし感じた。


そのおかげで、打ち捨てられそうだった
絣くくりに用いられる板締めに使う絣板
実物を見せていただけて、『染め』に関しても
大変勉強になりました。


ありがとうございました。


それに、先輩・・・
「ここまで来ていろいろ知ったからってね、すぐに
解説に生かせる、解説が変わる、ってわけじゃないんだけどねー。
でも、なんか感じ方が変わるでしょ。どこかかが、変わるのよ。」


そう。よー解らないながら、わたしもそう思います。
でも、個人では思いついても
実行に至らず頓挫していただろうと思います。



感覚の鋭さ・アンテナの高さとフットワークのよさ、
見習いきれないけど・・・


もう少しがんばらないとなぁ。。。わたし。感謝。。。







コメント (2)
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