
展覧会パンフレットから:《花魁》
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近代洋画の開拓者 高橋由一
日本一有名な鮭
・・・と題された展示会を見てきた。
上の画像の花魁:小稲さんは、「私はこんなじゃない。」と
泣いて怒ったという。
涼しい目元や、通った鼻筋、上った口角を見れば
美しい人だろうとこの絵からも想像は出来る。
けれど、描かれた女性が見て受け入れやすい美ではなく、
癇に障るような何か酷さを感じるリアルを、
この絵はたしかに持っている。
写実という言葉を耳にするたび、念頭に現れる
昔見た《鮭》の印刷物。
その実物を見に行って、同じく重要文化財の《花魁》を
目の当たりにすることが出来た。

展示会パンフレットとチケット
他にも、スタートの遅かった初期の代表作~晩年の作品、
スケッチ、版画や、刊行物など、由一という画家の
集大成を一堂にした見ごたえのある展覧会だった。
こういう時代、こういう人を通して、私たちはいま
観て、描いて、洋画に親しむことが出来るのか。。。
そして、短い年月の間に描かれた膨大で且つ綿密な描写の作品を
見ていると、私と友人は感動し、感心し、そして遂には
笑い出してしまった。
長年会わなかったこの日同行の友人は、一緒に洋画を学び、
ともに卒業後絵筆をにぎっていない。
そして、由一の鬼気迫る仕事量を観て、
多分、普通の観覧者と違う心境に期せずして一緒に到達した。
絵を描こう。
ただ、描くことに集中して描いてみようと。
身近な、ただ1つの小さな静物でいいからと。
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常設室内の企画展に関連する特別展では
京都の由一といわれた画家が紹介されていて
これも興味深かった。



京の由一 田村宗立 のポスター:《洋童図》と《写生画帖》から