
新春一番のアルバムはこれにしようとおもっていたけれど、なかなか手に入らずやっとショップで買ってきた。
スキューバダイビング中の不慮の事故で亡くなるわずか数週間前に、自宅で録音されハード・ドライブに保存されていたものが、10年後に発見されリリースされた
た。
タイトル名も決まっていなかった、公開を目的としていなかっただろう9曲のピアノ・ソロ。
1曲目、語りかけるように始まるピアノは音源を発見したオクサン、エヴァ・スヴェンソンが「まるでエスビョルンの声が部屋の中に聞こえるようです。」と語っていることがとても理解できます。
2曲目、3曲目とオクサンが続けて語った「彼はまだ言いたいこと、伝えたいことがあるのです。」という通りの 何か大切なものを伝えるような曲。
突然の訃報に衝撃をうけ、思い出せばいまだに喪失感は感じます。そんな感じでこのアルバムを聞き出しました。
この録音の存在は誰も知らなかったわけで、録音の目的も定かではありませんが、病に侵されていたわけでもない彼は、何らかの目的のために録音したのでしょう。それは惜別の歌ではないはず。3曲目を聴きながらそう思った。メランコリックに聞く必要はない。4曲目、非常にアグレッシブな主張だと思う。それを返すと5曲目の平静さに変わる。
7曲目、何とも力強く彼は語りかける。とても前向きな音が構成される。10年間置かれていたものかもしれないけど、まさに、今のための希望の置き土産のように感じる。
話は飛んでしまうのだけれど巻頭のジャケ写真はネット上から借りてきた。ショップで買ったものはこれなんだけれど、なぜなのでしょう。

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Esbjörn Svensson (p)
Music composed, recorded, mixed and produced by Esbjörn Svensson at his home, spring 2008
2022年作品
1. Alpha
2. Beta
3. Gamma
4. Delta
5. Epsilon
6. Zeta
7. Eta
8. Theta
9. Iota