ステンドグラスが記憶した物語 ~「橋本旧遊郭」②
八幡市の京阪電鉄 橋本駅は大阪府枚方市樟葉駅と京都府八幡市駅の間に位置し「天王山の戦い」で有名な大山崎を淀川の向う岸に望む。
今回、訪問した「旅館 橋本の香」の女性オーナーさんは中国出身の方(30年前来日で今は帰化されている)で数年前に売りに出されて、建て壊し寸前の遊郭「旧三枡楼」を買い取ったという。
というと、また中国人の買い占めかと思ってしまうが、さにあらず、「こんなに日本文化が残る建物をつぶしてはもったいない」と思われたそうだ。
「貧しかったころの日本の歴史や名残を後世に伝えていかねば」ともおっしゃる。
(貧しかった!?遊郭の客が・・・!?そりゃ、舞子はんを囲う旦さんほどではないにしろ・・・。いや、娼妓のことか。)
遊郭最盛期の1930年代には約90の貸座敷が並び、娼妓600人程度がいたそうだが、恐慌により疲弊した農村で身売りを余儀なくされた女性が多く働いていたそうだ。
「旧三枡楼」の煌めくステンドグラスはそんな記憶を有しているに違いない。
購入したあと、「旧三枡楼」は相当、大掛かりな改修が必要だったというが、容易に想像はつく。
購入額と同額くらいの改修費が必要だったかもしれない。
オーナー女性は「旧第二友栄楼」という屋号の橋本遊廓で最も古い築120年の物件を借金をして購入したというから、日本文化を残そうというご情熱には感じ入るものがある。
「客よ、来い!」の「鯉」の透かし彫り。
街中を少し散策してみた。
私は子どものころ、橋本のお隣の樟葉に住んでいたが、親に「橋本って、何があるの?」と聞くと、親の視線がふと宙を漂う瞬間があったことを覚えている。
現地の方にとっては負の遺産かもしれないが、歴史に目を背けてはいけないと思う。
水路にヌートリアが蠢いていた。
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