二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

Aさんと二人で

2011年05月06日 | Blog & Photo
たぶん、1年半ぶりのAさんからの電話。
それがきっかけで、連休最終日の昨日、足利市内をカメラ散歩してきた。

8、9年つづいた「はぐれ雲」というアマチュアの写真集団は、わたしとAさんの出会いを発端にしてはじまったのである。最盛期には、17、8人のメンバーがいて、月1回の例会と、年1回の写真展をやっていた。会費、会則のない、ゆるやかな、ある意味でとても自由でアバウトな集団。「花・風景」派、スナップ派、私写真派、そしてたくさんの「初心者」集団という色合いをもっていた。

そのAさんと二人、じつに久しぶりの撮影行。
1990年代の昔と違って、むろん、いまではおたがいデジタルカメラである(^^;)
「いやあ。このところ、久しぶりに写真を撮りたくなってねぇ」
彼はある老人の収容施設で、入所者のポートレイトを撮影しはじめたという。
むろん、ボランティア。

「はぐれ雲」解散後、時間が一巡した・・・といったような話題で、話に花が咲いた。
Aさんとの思い出は、たっぷりとあるから、それをつつきだしたらきりがないだろう。かつてわたしが自費出版した「パーソナル・リレーション」に、横浜美術館でわたしが撮った、Aさんの若かりしポートレイトがある。首から二眼レフをぶらさげ、白いコートを着ている。
あれから、16年ほどの歳月が流れてすぎた。

このAさんと、もうひとりHさんが、元プロとして写真の世界に身をおいた経歴の持ち主で、事実上「はぐれ雲」の牽引役だった。Aさんはどちらかといえば私写真派、Hさんは、カルティエ=ブレッソンばりのスナップシューターで、わたしはその間をゆれていた。
「見て。こんな張り紙があるよ」
足利市内を歩いているとき、そういわれて眼に止めたのが、つぎの一枚。



足利、家富町、雪輪町界隈には、数カ所に、区画整理絶対反対の張り紙が、大きく貼ってあった。道は狭く、家々は傾き、昭和のにおいが、そこかしこに色濃くたちこめていた。



老人たち。そして、子どもたち。
わたしは昨日撮影した「季節風 第二部」を、この張り紙中心にまとめることにしたのであった。
過去・・・そして未来。そこにそそがれたAさんと、わたしのまなざしは、写真の本質のようなものと、むろん、深くかかわっている。そんなことは、はなさなくても、すぐにぴんとくる。
それだけの「つきあい」が、これまでにあったからだ。





元気な子どもたちを見ていると、なんともいえず、心がなごみ、やさしい気分に支配されてくる。陽だまりでうたた寝するネコと、子どもたちが無邪気に遊んでいる光景が、わたしの「幸福論」そのものなのだ。
この日の撮影もまた、それを確認するための、ささやかな旅であった。
人びとはどこからきて、なにをし、どこへ去っていくのか?



A day in the life.
こんな人生の一日を、わたしはだれかに感謝せずにいられない。
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