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これは早坂暁が書いたフィクションである。しかし、この様な話は実際に山ほどあったという。80年代の初めから中国残留孤児の肉親捜しが始まった。このシリーズが放送されたのは84年だが、当時は中国残留孤児のことがニュースやワイドショーなどで頻繁に放送されていたので、早坂はこれを巧みにシナリオに取り入れたのである。
中国残留孤児といえば僕には忘れられないこんな話があった。僕の会社の先輩Oさんには、終戦直前に中国に残された兄がいた。中国残留孤児の肉親捜しが始まり、孤児たちが日本へやって来たニュースがテレビで盛んに放送されていたある日、テレビを見ていたOさんのお母さんが、テレビに映し出された一人の中年男性を見るなり、「○○○だ!」とOさんの兄の名を叫んだという。赤ん坊の時に中国に残してきて40年、その中年男性の顔に、おそらく一日たりとも忘れなかったであろう愛しいわが赤ん坊の面影を見出したのだった。そして間違いなくその男性はOさんの兄であることが証明された。当時、マスコミでも話題になったものだが、この話を同僚から聞いた時、何という母の愛の深さ、そして母と子の強い絆だろうと涙がとまらなかった。
そしてもう一つ、満蒙開拓団の悲劇は決して忘れてはならない。国は国策として満州に開拓団を送り出しながら、結局最後は国民を見殺しにしたという歴史が厳然としてある。そのことは昨今の何やらきな臭い政治の動きを警戒する上でも、もう一度しっかりと思い起こすべきだ。