整体の京都稽古会の帰りは何時も真夜中。
滋賀から福井に抜ける国道161号線は真っ暗な小雨だった。
前を走っていた大型トラックが突然の蛇行運転・・・居眠り?飲酒運転?
違った・・・センターライン近くに大きな動物が座り込んでたので避けたのだ。
路肩に車を寄せて近寄ってみたら、車に轢かれて動けなくなったらしい小鹿だった。
目立った外傷はないようなので、取敢えず小型ライトを振って後続車と反対側車線の車の交通整理をして二次災害を防ぎつつ、どうしたものかと思案。
放置しておくと車に轢かれて死んでしまうだろうから、抱きかかえて安全圏まで移動せねばなるまい。
ライトを振って交通整理をしていても、私と小鹿めがけて突っ込んでくる不注意な運転手もいたのだ。
「大丈夫か?車に轢かれちゃったのか?」と小鹿に声を掛けながら優しく撫でて、敵意がない意思表示。
車が途絶えたので、小鹿を抱きかかえたら嫌がりもしなかった・・・重さ四十キロ弱くらいだろう。
そのまま人目に付かないよう、路肩下の河原に運んで、草叢に置いた。
内臓破裂や骨折さえしていなかれば、そしてショック症状から抜け出る事ができれば、もしかしたら動けるようになるかも・・・。
何処かから鹿の仲間が事の顛末を観ていれば・・・小鹿の回復を願って車に戻った。
思えば野生の哺乳類を抱っこしたのは初めてだが、非常に申し訳ない心境だった。
ドライバーの不注意もさることながら、昔から住んでいた生き物たちのクニに人間の都合を持ち込んだ結果なのだ。
せめて夜だけは、この小さき生き物たちのクニにさせてやりたい。