縄文人(見習い)の糸魚川発!

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土偶博覧会!・・・縄文オカリナの仲間たち

2015年09月16日 11時50分22秒 | ぬなかわヒスイ工房

フェイスブックで7縄文オカリナを紹介したら、えらく受けたので、今回はモデルになった土偶のご紹介。

 

一番人気はやっぱり誰もが知っている遮光器土偶。

前回のブログで紹介した、青森県つがる市の「亀ヶ岡遺跡」出土の国宝の土偶で、縄文時代晩期(三千~二千五百年前)に青森から東日本全体に影響を与えている。(詳細は前号を観てください)

 

民族楽器コイズミさんに卸した時に、店員さんも面白がって買ってくれた人気オカリナは、青森県八戸市の風張1遺跡出土の「合掌土偶」がモデル。実物は扁平な顔付きなのだけど、笛にするには中空である必要から、立体的な顔付きにしてある。

山猫を思わせるのは山梨県笛吹市の上黒駒遺跡の土偶。上二つの青森の土偶と違って中期(五千~四千年前)の出土品で、中期の土偶は人と動物や両生類、爬虫類などの中間的な顔付きをしている。縄文時代の本州にはネコがいなかったようだが、ネコ好きの人が買ってくれているらしい(笑)

このオカリナのモデルは土偶ではなく、 同じく中期の長野県岡谷市「海戸遺跡」の「顔面把手付深鉢」という土器の口縁部を飾る人面。母胎たる土器から新たな生命が誕生する様を表現していると推測され、・・・顔の周りは女性器の抽象表現とも・・・信州を中心にして北関東まで分布する土器様式である。土器は豊饒の地母神の憑代であり、土器で煮炊きした食物は神のチカラを宿した祈りの供物であったのだろう。だから身にチカラが湧いてくる。男女和合の神である道祖神信仰の分布や、諏訪系神社の分布と一致するとの研究もある。生半可な知識で生殖器崇拝だよ~ん!と簡単に言って欲しくないですな。

 

石笛や勾玉といった作りは、硬い石材を削って研磨する引き算的な仕事で、これは趣味の木工もそうだ。

ところが、縄文土器やオカリナ作りといった粘土細工は、基本的に柔らかな素材を足していく作業で、石材加工とは真逆なのだ。

だからヒスイ仕事に疲れると土器やオカリナ作りをしたくなる・・・箸休めみたいになって具合がいい。

カタイ仕事とヤワラカイ仕事。この振幅が楽しい。