山形の由緒ある神社に嫁いだ女性から、都内のミネラルショーで購入した石笛を手直しして欲しいとの相談メールがあった。
彼女自身も神主である夫の父親から雅楽を習い、竜笛を奏でているとの事。
写真を送って貰ったら、ペンダント仕様になっているので安易に私のデザインをパクった石笛らしいが、写真を観ただけで石笛として未完結・・・というか、作り手の石笛に対する真摯な姿勢が感じられず、依頼主には申し訳ないが、やっつけ仕事の石笛であると思った。
手直し依頼を受けた石笛・・・ヒスイ原石に孔をあけただけでバレル研磨機にぶち込んで研磨しただけ。私の石笛デザインをパクっている人の作品は概ねこんなもんだ。
勾玉もそうだが、上質なヒスイを使っていても「よい原石をお使いですな。」とか「お上手ですね。」としか感じられない作品を観るにつけ、やるせなくも哀しい気持ちになる。
例え技術が稚拙でも、良いヒスイを使っていなくても、作り手の何かが伝わってくる作品は「佳い」と思えるもの。
それは作り手の真摯な姿勢だと思うのだ。
手直し後の石笛・・・卵型に成形して、平面研磨機で仕上げたら、青系ヒスイの石笛として評価していいレベルになったと思う。
デザインはお任せだというので、石笛の手直しを受ける事にした。
手直しを終えて送り帰したら依頼主の女性から、まったく別物の石笛としてイノチが吹き込まれた、という評価。
もちろん、石笛としての吹き易さが改善されて、不愉快なビビリ音が消えてクリアーな音色になったし、音域も広くなった。
メールでやり取りする内に、依頼主の女性が古代史や神道について並々ならぬ見識と経験を持ち、ぬなかわ姫と不思議な縁を持っている事が解り、意気投合して糸魚川市に遊びに来ることになった。
以下次号!