ぬなかわヒスイ工房のホームページを一時閉鎖して外部と連絡を絶ち、日に12時間も工房に籠り「大首飾り」製作に専念してから幾日経ったのだろうか?
曜日も定かでなくなってしまった。
切子玉の難しさは、水晶が欠けやすいので慎重さが必要ということもあるが、シンメトリックな十四面体の接線と接点をピッタリ合わせ、なおかつ寸法表通りの縦・幅になっていなくてはならない事。
気が昂っているのか、夜は眠れず、眩暈と疲労感が常態化しているが、仕事を始めると疲れも忘れて没入する。
4日目くらいから神様が降りてきた。
寸法合わせにさんざん苦労してきた水晶の切子玉が、突然と簡単に作れるようになったのだ。
63点もある面倒な切子玉がスイスイと作れて完了。実物通りの氷砂糖のような質感を目指した。
神様の正体は、古代の名もなき職人たちの記憶か。
単に仕事に慣れてきたから早く作れるようになったんだろ?と感じる人とは友達になれない(笑)
我ならざるナニモノカと共鳴して手が動いたという感覚こそ、縄文クラフトマンの料簡というものだろう。
してみると我は依り代、人社(ヒトヤシロ)。
243点ある大首飾りも、残すは勾玉10点あまり。
「悠々と急げ」・・・20代の頃に耽読した作家、開口健の座右で、「毒ヘビは急ぎまへんで」が口癖の一つであったらしいが、最近はこの二つの言葉をよく呟いている。
完成したら、久しぶりに開口健の文章をじっくり味わいたい。
焦らず、慌てず、悠々と急げ!